中小企業の私的整理ガイドラインが条件緩和! 事業再生のための補助金も導入へ

中小企業の私的整理ガイドラインが条件緩和!
事業再生のための補助金も導入へ

コロナ禍で経営に苦しむ企業を、より早く確実に再生すべく、条件緩和が行われてきた「私的整理のガイドライン」。政府では2021年からさらなる見直しを行っていましたが、2022年4月には「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」として生まれ変わりました。どのような点が変更されたのでしょうか。再生支援の補助対象要件や補助金などについて解説していきます。

ポストコロナにむけて政府が中小企業の事業再生を総合的に支援

2022年3月4日、経済産業省は金融庁や財務省とともに中小企業活性化パッケージを策定・公表しています。そしてこのパッケージに基づいて、中小企業再生支援協議会と経営改善支援センターを統合し、 中小企業を一元的に支援する中小企業活性化協議会を2022年4月1日に設置しました。

「中小企業活性化パッケージ」とは

中小企業活性化パッケージの主な柱は、コロナ資金繰り支援の継続と中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援の2本です。

コロナ資金繰り支援の継続については、年度末の資金繰り支援の徹底を官民金融機関に要請。それと同時に、新型コロナウイルスの感染状況などを踏まえて、融資期間を15年から20年へと延長した実質無利子・無担保融資、危機対応融資を2022年6月末まで継続するものです。さらに、 日本政策金融公庫の資本性劣後ローンも2023年度末まで継続しています。

中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援については、収益力改善フェーズ、事業再生フェーズ、再チャレンジフェーズの3つに分け、それらを一元的に支援する体制として中小企業活性化協議会を設置しています。

中小企業活性化パッケージの概要
収益力改善フェーズ 事業再生フェーズ 再チャレンジフェーズ

①認定支援機関による伴走支援の強化

②収益力改善支援強化

①中小企業再生ファンドの拡充

②事業再構築補助金「回復・再生応援枠」創設
⇒上限500万~1500万円

中小企業の事業再生等のガイドライン策定(私的整理)
・経営者退任原則、債務超過解消年数などが緩和
・計画策定費用の支援制度創設
⇒補助上限700万円

①経営者の個人破産回避ルールの明確化

②再チャレンジに向けた支援の強化

「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を策定

これまでも私的整理ガイドラインとして紹介してきた中小企業の再生支援策ですが、中小企業活性化パッケージの中であらためて中小企業の事業再生等に関するガイドラインとして生まれ変わりました。

増大する債務に苦しんでいる中小企業の円滑な事業再生を支援するために、これまで関係者間の共通認識を醸成してきました。そこで、関係者の事業再生等に関する基本的な考え方と中小企業版私的整理手続の整理を行い、2022年4月15日に適用が開始されています。

【関連記事】これまでの私的整理ガイドラインの経緯

「私的整理のガイドライン」はどう変わったのか?

新しく適用された「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」では大きく変わったポイントが2つあります。1つは、より実態を踏まえプロセス、事業再生計画を明確化したことです。

元本等返済の一時停止のタイミングはこれまでの「再建計画案提示と同時」から「事業再生計画案の策定前(債権放棄案件であっても再生の基本方針で可)」になったほか、実質債務超過解消までの年数はこれまでの「3年以内を目処」から「5年以内を目処」へと変わっています。また、 経営者責任の扱いを「退任が原則」とすることから「感染症等の影響に配慮しつつ、経営者責任を明確化」へも大きく変わった点です。

新ガイドライン 従来の私的整理ガイドライン(2001年)
元本等返済の一時停止のタイミング 事業再生計画案の策定前 (債権放棄案件であっても再生の基本方針で可) 再建計画案提示と同時
実質債務超過解消までの年数 5年以内を目処
(*)小規模事業者の債務猶予案件は更に緩和
3年以内を目処
経営者責任の扱い 感染症等の影響に配慮しつつ、
経営者責任を明確化
退任が原則

もう1つのポイントが、独立・公平な立場の第三者支援専門家(弁護士、会計士等)による支援が明記されたことです。中小企業再生支援全国本部と事業再生実務家協会で第三者支援専門家候補をリスト化。別途、第三者支援専門家や債務者を支援する外部専門家(認定経営革新等支援機関)にかかる費用を補助するとしています。

中小企業の私的整理の補助金は上限700万円

中小企業が私的整理を行う際には700万円まで費用の補助が受けられます。

主な補助対象要件

中小企業の事業再生等に関するガイドラインの中小企業版私的整理手続きにもとづいて私的整理を行うことと、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)による計画策定支援を受けていることが補助対象要件です。

補助率・補助上限

補助率は2/3、補助上限は1案件につき700万円までです。

その他

認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の認定を受けた外部専門家や第三者支援専門家(補佐人含む)の費用が対象です。

収益力改善を促す「回復・再生応援枠」でも補助金創設

事業再生に取り組む事業者の収益力改善を促すための事業再構築補助金でも、補助率を引き上げた「回復・再生応援枠を創設しています。

事業再構築補助金(回復・再生応援枠)の概要

補助率 従業員数 補助上限
3/4(中堅は2/3) 5人以下 500万円
6~20人 1,000万円
21人以上 1,500万円

主な補助対象要件

以下すべてに該当する事業者を補助対象としています。

  1. 2020年4月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計売上高が、コロナ禍以前と比較し10%以上減少している
  2. 事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関(補助額3,000万円超は金融機関も必須)と一緒に策定している
  3. 中小企業活性化協議会などから支援を受けている再生事業者である。あるいは、引き続き業況が厳しい事業者である

経営者の個人破産回避に向けルールを明確化

これまで会社が倒産すると経営者自身も個人破産することが多く、それが早期事業再生の妨げになると問題視されてきました。中小企業の事業再生等に関するガイドラインでは、個人破産回避に向けたルールを明確化し、経営者がより守られるようになっています。

【関連記事】破産したら無一文!?コロナに苦しむ経営者を救う「経営者保証ガイドライン」とは?

経営者保証ガイドラインはあったが…

これまでも保証人は個人破産せず信用情報登録機関に報告・登録されない経営者保証ガイドラインはありましたが、それでも中小企業の廃業時に個人保証を行う経営者が個人破産となるケースが多く、事業再生の早期決断をする阻害要因となっていました。

債権者の対応の明確化

そこで、保証人などから保証債務の整理の申出・協議を受けた場合には、ガイドラインに基づく保証債務の整理に誠実に対応するほか、保証人の保証履行能力の状況によっては、保証人が対象債権者に対して「ゼロ円弁済」(弁済する金額が無い計画)も許容されるなど、 債権者対応の明確化がなされています。

債務者・保証人の対応の明確化

同時に、廃業の検討に至ったときには直ちに債権者に申し出て、財産状況について適切に開示し、従業員や取引先などへの影響も踏まえて迅速・誠実に対応するよう、債務者・保証人の対応の明確化もされています。

債務整理を支援する弁護士等の支援

保証人に対して安易に破産手続を勧めるのではなく、ガイドラインに基づいた保証債務の整理が可能であるかどうか、保証人の意向を踏まえて十分検討することを弁護士などに求めています。

相談は認定経営革新等支援機関の専門家に

中小企業の事業再生等に関するガイドラインの支援を受けるためには、認定経営革新等支援機関への依頼が条件になっています。「事業再生のリアル」で おすすめしている事業再生のプロ(フロンティア・マネジメント山田コンサルティンググループみそうパートナーズロングブラックパートナーズ)はどれも、認定経営革新等支援機関です。

事業再生を行う際には、これらの事業再生のプロに相談をすることで、一刻も早く経営再建に向かえるでしょう。

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