新型コロナウイルスの影響で売上が下がり、資金繰りが悪化し事業に悩む経営者の方も少なくないでしょう。
本稿ではコロナ禍の影響で経営が悪化している企業向けの資金繰り方法や事業の経営状況を抜本的に改善するためのポイントを解説します。新型コロナウイルスの感染拡大はまだまだ続くと思われます。ぜひ参考にしていただいて、コロナ禍を乗り切りましょう。
新型コロナウイルスで影響を受ける事業者
東京商工リサーチは2020年2月~現在(2020年12月21日時点)の間で808社もの企業が新型コロナウイルスの影響で倒産していると発表しました。特に大きな影響を受けたのは生活娯楽関連サービス業、具体的には宿泊業、旅行業、飲食店、クリーニング・理容・美容・浴場業、冠婚葬祭業、写真業、映画館、ゴルフ場、遊園地・テーマパーク、パチンコ店などが挙げられます。
倒産が増えた要因として挙げられるのは緊急事態宣言。人々が外出を自粛し、企業は時短営業や休業が余儀なくされ、売上が減少しました。宣言が解除された後はGoToトラベルやGoToイートなどの支援策も実施されましたが、感染拡大も相まって完全に人出が戻ることはなく、体力がない中小企業を中心に倒産してしまったのです。
国や民間が行う資金繰り支援
新型コロナウイルスの影響を受けた企業に対して国あるいは民間がさまざまな支援策を行っています。金融機関では「融資」や「支払い猶予」などの施策を通じて、困窮している企業の資金繰り支援を行っています。
中小企業向けの融資
中小企業向けの融資はさまざまな種類があり、要件や貸付条件もそれぞれ異なります。コロナ禍においては、平時と比較すると好条件で融資を受けやすくなっています。売上高を問わず無担保で融資を受けられる制度もあるので、今後の経営改善を見越した借り入れも可能です。
コロナ禍の影響を受けている事業者向けの融資制度については経済産業省のホームページに掲載されています。 詳しくはこちらをご覧ください。
出典:経済産業省「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」
生活衛生関係事業者向けの融資
公共財団法人全国生活衛生営業センターでは生活衛生関連事業者(飲食店や旅館業、クリーニング業、理容・美容店など)を対象とした特別貸付制度を実施しています。特別利子補助制度を利用して実質無利子で融資が受けられます。
前述のとおり、コロナ禍の影響が最も大きいのは生活娯楽関連サービス業と生活衛生関連事業者です。売上減少・資金繰りの悪化で困られているなら利用を検討してみましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
出典:経済産業省「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」
中小企業向けの支払猶予
中小企業再生支援協議会では新型コロナウイルスの影響を受けた企業に対して特例でリスケジュールに対応。最大1年間の返済猶予措置を受けられます。専門家がヒアリングの上、金融機関と調整してくれるので、返済に困窮されている方、リスケジュールを考えている方は各都道府県に設置されている中小企業再生支援協議会に相談してみると良いでしょう。詳しくはこちらのページをご覧ください。
事業再生には抜本的な見直しが必要
融資などを使って資金繰りを行うことで、コロナ禍の影響を受けた事業の経営状態を改善できる見込みは大いにあるでしょう。ただ、長期的な視点で見るとそれだけでは不十分な可能性もあります。
そもそも提供している商品やサービスの需要が低い、過剰なコストが掛かっているなど、もとから利益が上がらない要因があって、それがコロナ禍で顕著になってきたということも考えられます。事業内容に問題がある場合、仮に今乗り切れたとしても経営を継続していくことは困難です。
特に今後人々の生活様式や価値観などが大きく変わっていくのは間違いありません。この機会に事業そのものを見直してみてください。
業態転換による事業の変革
商品の販売やサービスの提供方法を変える「業態転換」を行うことで経営状態を改善できるかもしれません。たとえば現在、ネット通販の需要が非常に高まっています。対面販売だけでなくオンライン販売も行うなどITを駆使して業務を効率化するDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用することで、より効率的に販売活動が行えるようになります。
システム導入などで初期費用がかかる場合がありますが、国や自治体の支援で賄うことも可能です。政府では業態転換する中小企業に最大1億円を支援する「事業再構築補助金」を創設予定。東京都でも「業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業」として補助金を交付しています。
市場に合わせて業態転換に成功すれば大きな利益を挙げられる可能性もあります。社会が大きく変わりつつある今はチャンスとも言えます。
私的再生による事業再生
国や自治体、民間金融機関による支援だけでは事業を立て直すことが難しいと感じる方は私的再生による事業再生を検討してみてください。債権者と交渉して債務を調整しながら再生を目指していきます。裁判所が介入しないので企業イメージの悪化も最低限に留めることができる、手続きに時間を要しないのでスピーディーに債務を整理できるといったメリットがあります。
本サイトでは私的再生も含めて事業再生の手法や流れを詳しく解説していますので参考にしてください。
事業再生で困ったら専門家に相談しましょう
事業再生のプロフェッショナルに相談することで、迅速かつ正確に事業を立て直すことができます。コロナ禍を乗り越えるための方策だけでなく、コロナ収束後の事業計画作成も支援してもらうことで、中長期的に取るべきアクションプランが明確になります。
「コロナだから仕方ない」「これ以上続けるのは限界」と諦めるのはまだ早いです。一人で抱え込まず、まずは事業再生の専門家に相談してみましょう。