2023年がピーク!ゼロゼロ融資の返済をどう乗り切るか?(後編)

2022年12月28日

2023年がピーク!ゼロゼロ融資の返済をどう乗り切るか?(後編)

前編では貸出残高43兆円に達するゼロゼロ融資の返済期日のピークである2023年を迎えようとしており本来は倒産するべき「ゾンビ企業」が増加し続けているということを解説してきました。後編では自社が「ゾンビ企業」にみなされないためにやるべきことや、現在も続いている政府の支援策を具体的に解説していきます。

政府は「令和の徳政令」発令で債務減免

鎌倉時代から室町時代にかけ、朝廷・幕府などが債権者や金融業者に対して、債権放棄(債務免除)を命じた法令として徳政令があります。現代の日本においても国が認めた借金の免除は存在しており、直近では東日本大震災被災企業への債権カットがあります。そして今、「令和の徳政令」とも呼ばれる債務減免も含めた支援策が発令されようとしています

自由民主党金融調査会では2022年10月13日にまとめた緊急決議に、総合経済対策に債務減免などを盛り込むよう提言されています。支援に際しては、地域企業の事業再生を支援するREVIC(官民ファンドである地域経済活性化支援機構)や中小企業基盤整備機構の企業再生ファンドを活用していく予定です。

官民ファンドが企業の債務を金融機関から買い取り、過剰債務分については債務減免やDES(債務の株式化)などで債務を圧縮して企業の負担を軽減することで新たな資金を貸し出し、企業の事業再生を支援する構想となっています。

返済するにはコロナ前よりも売上高増が必須

2023年にピークを迎えようとしているゼロゼロ融資は「通常よりも増加してしまった負債」であり、返済していくためにはコロナ禍の前よりも売上高が増加していることが必須です。しかしいまだ、コロナ禍における売上高の減少が回復していない企業も多いほか、円安に加えて原材料高騰や物流コスト高などにより売上高が回復していない企業も多くいます。

業態転換、事業再構築が鍵

売上高の増加が見込めなければ、自社の業態転換や事業再構築を考えてみましょう。業態転換、事業再構築に対しては補助金が用意されています。業態転換や事業再構築にチャレンジしてみることが、自社を倒産に追い込まない近道です。

そのためには運転資金が必要です。そこで政府では負債を免除して事業再生を促していこうとしています。自由民主党金融調査会では、2023年春までに事業再生の「型」を作り、必要な債務減免額、融資額を算出する予定となっています。

支援のためのセーフティーネットの規模は、融資が貸し倒れになった金融機関への資金注入分を含めても約30兆円という分厚いものとなっています。

対象業種は宿泊・観光・飲食中心

コロナ禍や物価高騰などに苦しんでいる業種は主に旅客運送業(地域交通)、宿泊・観光業、飲食業、小売業、医療・福祉業、冠婚葬祭業です。そこでこの6業種を対象に、債務減免も含めた支援策が優先されようとしています。

『ゾンビ企業』は救済せず

自由民主党では、経営が改善しないまま、生きることも死ぬこともできない「ゾンビ企業」は救済しない方針です。「ゾンビ企業」は何も改善をしないで支援したとしても、なんの効果もないという考えからです。とはいっても、再生意欲のある事業者は応援していく予定であり、債務が足かせになって再生できないということがないようにしていく予定です。
再生意欲のある事業者の方はなるべく早いうちに専門家への相談をお勧めします。とりわけ以下で紹介している5社はそれぞれ事業再生領域に強みがありますので是非ご相談ください。

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5大補助金を活用する

だけでなく原材料高騰や物流コスト高の影響を受け大手でも経営が厳しい状況の企業が存在しており、中小であれば、なおさら厳しい企業が多くいます。そこで負債から脱却するための、現在でも行っている政府の支援策である、5大補助金を紹介します。

事業再構築補助金

ウィズコロナ/ポストコロナ時代の社会の変化に対応するために、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編や、これらの取り組みを通じた規模の拡大など、思い切った事業再構築に意欲を持つ中小企業などの挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。

[通常枠] 中小企業者など、中堅企業などともに

【従業員数20人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円
【従業員数21~50人】 100 万円 ~ 4,000 万円
【従業員数51~100人】 100万円 ~ 6,000万円
【従業員数101人以上】 100万円 ~ 8,000万円

そのほか、[大規模賃金引上枠]

【従業員数101人以上】 8,000万円超 ~ 1億円

[回復・再生応援枠] 中小企業者等、中堅企業等ともに

【従業員数5人以下】 100 万円 ~ 500 万円
【従業員数6~20人】 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数21人以上】 100 万円 ~ 1,500 万円

[最低賃金枠(※)] 中小企業者等、中堅企業等ともに

【従業員数5人以下】 100 万円 ~ 500 万円
【従業員数6~20 人】 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数21人以上】 100万円 ~ 1,500万円

[グリーン成長枠]

【中小企業者等】 100 万円 ~ 1億円
【中堅企業等】 100 万円 ~ 1.5億円

[緊急対策枠] 中小企業者等、中堅企業等ともに

【従業員数5人以下】 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数6~20人】 100 万円 ~ 2,000 万円
【従業員数21~50人】 100 万円 ~ 3,000 万円
【従業員数51人以上】 100 万円 ~ 4,000 万円

補助率は中小企業者など2/3、6,000万円超は1/2、中堅企業などは1/2、4,000万円超は1/3

そのほか、
[大規模賃金引上枠]
[回復・再生応援枠]
[最低賃金枠]
[グリーン成長枠]
[緊急対策枠]があり

ものづくり補助金

中小企業・小規模事業者などが今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など)に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資などを支援するものです。

最大2,000万円まで補助、グローバル展開型は最大3,000万円まで

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継を契機として新しい取り組みなどを行う中小企業者、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業者などを支援する制度です。

補助率は2/3、補助上限は150万円まで

IT導入補助金

中小企業・小規模事業者などが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートするものです。

[通常枠]

補助率は1/2以内、補助上限は30万円~150万円未満
補助率は1/2以内、補助上限は150万~450万円以下

[デジタル化基盤導入枠]

補助率は3/4以内、補助上限は5万円※1~50万円以下
補助率は2/3以内、補助上限は50万円超~350万円

来春以降、企業再生、M&Aが活発化

現在、低金利で余剰資金のあるファンドによるM&Aが増加してきており、企業の事業再生も加速していく見込みです。

再生か破産か求められる経営者の英断

事業者が長年の膿を出しきって事業を再生していくことは経営者の判断次第です。結果的に自社が破産を免れ再生の道を辿るのか、倒産に至るのかの英断が求められます。

企業再生は信頼できる専門家へ相談を

銀行や専門家に早めに相談すれば倒産を免れたのに、資金繰り悪化を隠してゼロゼロ融資の返済猶予期間が過ぎてしまい、取引がない金融機関に融資を断られて、倒産してしまう事業者も多くいます。

経済産業省が策定した「中小企業活性化パッケージ」は、コロナ関連融資の返済が難しいとされる1割弱の事業者を支援するためのものです。中小企業活性化パッケージは専門家の再生計画に対する支援費用も最大700万円まで助成されますので、被害が大きくなる前にぜひ事業再生の専門家に相談を。5大補助金の申請についても難易度が高いので、積極的に専門家へと相談してみましょう

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