2022年03月28日
【経営者必見!】コロナ事業支援策を一挙解説!
2021年9月30日、すべての地域の緊急事態宣言が終了し、コロナ禍も収束に向かうかと見られていました。しかしオミクロン株の感染拡大により、再び、「まん延防止等重点措置」が各都道府県で実施されるようになりました。
このようにコロナ禍が長引くことで、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃から現在に至るまで、国や自治体からさまざまな支援策が行われています。本記事では、そのコロナ禍に対する事業支援策について、まとめてご紹介します。
コロナにより企業の96%が売上減少、52%が資金不足に
日本政策金融公庫は2022年2月2日に「生活衛生関係営業の新型コロナウイルス感染症に関するアンケート調査結果」を発表しています。この結果は、2021年10~12月期に実施した「生活衛生関係営業の景気動向等調査・特別調査」を集計したものですが、それまでと比べると売上減少幅は縮小しているもコロナ禍のマイナスの影響が続いているとしています。
このアンケートでは、コロナ禍の事業へのマイナスの影響として、「売上の減少」と回答した事業者は96.6%にも上っています。その結果、資金繰りが悪化し、52.5%の事業者が「運転資金が不足した」と回答しています。
2021年7~9月期に実施した前回調査と比べて、「運転資金が不足した」という回答は2.0ポイント低下しているものの、依然として苦しい状態が続いている状況が見て取れます。
出典:日本政策金融公庫
これまでの主なコロナ支援策
新型コロナウイルスの感染拡大が始まりつつあった2020年2月から、オミクロン株感染拡大による「まん延防止等重点措置」が実施された2022年1月まで、国や各都道府県などの自治体から、さまざまな支援策が行われています。
既に申請期間が終了している支援策や申請期限が決まっている支援策もありますが、新型コロナウイルスの感染状況によって延長される可能性もあります。
雇用調整助成金
2020年2月から始まり、2022年6月30日まで実施される予定の支援策が雇用調整助成金の特例措置です。本支援策は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により業活動の縮小を余儀なくされた場合、従業員の雇用維持を図るために労使間の協定に基づいて、雇用調整(休業)を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するといった厚生労働省の措置です。
休業支援金・給付金
新型コロナウイルス感染拡大や「まん延防止等重点措置」の実施による影響で休業させられた労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった方に対して支給する厚生労働省の支援金です。時短営業などで勤務時間が短くなった人やシフト日数が減少した人でも申請できます。
中小企業感染症対策事業 利子補給
公的金融機関による新型コロナウイルス感染症特別貸付等や都道府県制度融資に対して利子補給を行い、実質的に無利子化を実現する独立行政法人 中小企業基盤整備機構の支援策です。
持続化給付金制度
新型コロナウイルス感染拡大によって影響を受けている事業者に対して、中小企業の場合は最大200万円、個人事業主の場合には最大100万円を給付する国の支援策です。この支援策は2021年2月15日をもって申請期間は終了しています。
新型コロナ特例リスケジュール
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、資金繰りに窮している中小企業を支援するために実施されているのが、特例リスケ支援(特例リスケジュール計画策定支援)です。借入金の元金返済を止めて資金繰りを守り、ポストコロナに向けた取り組みをサポートする支援策です。中小企業庁により行われています。
地方創生臨時交付金
内閣府では地方創生推進交付金を実施していますが、緊急事態宣言の発出により影響を受けている事業者に対し、都道府県が地域の実情に応じた支援の取り組みを確実に実施できるよう、特別枠として「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(事業者支援分)」を2021年4月に創設しています。
実質無利子・無担保融資
政府系金融機関(日本政策金融公庫と商工中金)による実質無利子・無担保融資が経済産業省により行われています。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、直近1か月間の売上高が前3年のいずれかの年の同期と比較して一定程度減少することにより、利子補給を通じて当初3年間は実質無利子・無担保融資になるという支援策です。
資本性劣後ローンによる支援
政府系金融機関(日本政策金融公庫と商工中金)による中小企業者・小規模事業者向け新型コロナ対策資本性劣後ローンが実施されています。資本性劣後ローンは法的倒産時の返済順位の劣後性により、金融機関からは資本とみなされることで財務安定化が図られ、金融機関から融資が受けやすくなります。
中堅・中小事業者への月次支援金
緊急事態措置や「まん延防止等重点措置」に伴う飲食店の休業・時短営業、さらに外出自粛等の影響を受け売り上げが50%以上減少した中堅・中小事業者の事業継続と立て直しを図るための支援策です。経済産業省の支援策ですが、2022年1月7日をもって申請受付は終了しています。
産業雇用安定助成金
新型コロナウイルス感染拡大の影響により事業活動の一時的な縮小を行った事業者が、在籍型出向による労働者の雇用を維持すれば、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を助成するものです。厚生労働省が実施している支援策です。
トライアル雇用調整助成金
職業経験、技能、知識などから安定的な就職が困難な求職者が、ハローワークや職業紹介事業者などの紹介でトライアル雇用した場合に助成する厚生労働省の支援策です。新型コロナウイルス感染拡大の影響により休業した場合、特例的にトライアル雇用期間を変更できるようになっています。また、未経験職種へのチャレンジを希望する離職者もトライアル雇用の対象となっています。
J-LODlive補助金
J-LODlive補助金(コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金)とは、緊急事態措置区域で開催予定だった音楽、演劇などの公演、展示会、遊園地・テーマパークの開催などを延期・中止した主催事業者に対して、そのイベントに関する動画の海外向けデジタル配信を行うことを要件に、会場キャンセル費をはじめとするキャンセル費用などを支援するものです。2021年2月22日から申請受付が開始されています。
地域観光事業支援
新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いている「ステージ2」相当以下と判断した都道府県が、同一県内での旅行への割引支援を実施することを決定し、国による支援を希望する場合には、1人1泊当たり5,000円を上限として、国から補助金を交付する支援策です。官公庁が実施しています。
事業再構築補助金
ポストコロナ時代やウィズコロナ時代に社会に対応するために、新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編など、思い切った事業再構築に意欲を持つ中小企業等の挑戦をサポートする中小企業庁の支援策です。2022年3月24日18時で第5回公募を締め切っていますが、第6回公募も開始される予定です。
事業復活支援金
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた事業の継続や回復を支援する中小法人や個人事業主のための支援策です。
2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上あるいは30%以上から50%未満が減少した事業者に対して、中小法人に対しては上限最大250万円まで、個人事業主に対しては上限最大50万円まで支給がされます。、これは経済産業省が実施している支援策であり、申請期間は2022年5月31日までとなっています。
事業再編でピンチをチャンスに!事業継続は経営者の責任
日本政策金融公庫からは、「事業継続は経営者の責任」という力強いメッセージを発信しています。経営者には「危機の発生はチャンスである」と捉え、想像力を働かせながら、事業継続力強化を自主的・自律的に進めていく力を持っていることが不可欠です。ただし事業を継続できるよう生き残っていくためには、その場を凌ぐ延命措置となる支援策の活用だけでは不十分です。
例えば、カラオケボックスや居酒屋、温浴施設などといった、人が密にならざるを得ない業態に対しては消費者の意識が変化してきています。そのため、コロナ禍が収束したとしてもこれまでの売り上げへの完全復帰は難しく、ポストコロナ・ウィズコロナの新しい時代に適した形へと抜本的な業態転換や事業再編が必要です。
長引くコロナ禍の影響から将来への見通しが立てられない経営者は、事業再生のプロに相談して、ピンチをチャンスに変えていくことを考えてみましょう。
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