【5分でわかる】民事再生手続きとは?図解を用いて徹底解説!

2023年07月25日

民事再生手続とは

民事再生とは、会社の経営状態が悪化して債務の超過や支払不能などの「借金が返せない状況」に陥る可能性がある、またはそうなったとき、債権者の同意のもと会社の経営を維持しながら債務をカットするなどを足がかりとして経営再建を目指していく制度のことです。

裁判所が法的に債務を整理する倒産処理の手続きは「法的整理」と呼ばれ、その中には、「会社更生・特別清算・破産・民事再生」という4つの方法があります。
民事再生は4つある法的整理の内の1つです

2種類の事業再生

事業再生には「法的整理」と「私的整理」といった、大きく2種類のパターンがあります
裁判所などの公的機関が関わるものが「法的整理」で、公的機関を挟まないのが「私的整理」です。
以下の記事では、事業再生全体について詳しく説明しています。

法的整理は再建型と清算型がある

法的整理には再建型と清算型の2つの方向性があります。会社の事業を存続しながら法的整理を行っていくのが再建型であり、会社自体を消滅させる法的整理方法が清算型です。

再建型の法的整理方法の1つである民事再生の場合、会社の業務を継続しながら「再生計画案」を立案していきます。その後、債権者による多数決で「再生計画案」を採択され、業務を継続しながら「再生計画案」を実行して会社の経営再建を目指します

民事再生は4つある法的整理のひとつ

4つの方法がある法的整理のうち、事業を存続しながらできる会社を再建できる「再建型」には「会社更生」と「民事再生」がありますが、会社更生を使えるのは株式会社だけである一方で、民事再生は全ての法人・個人が選択できます
したがって事業再生を目指す多くの中小企業が選べるのは民事再生になります。実際のケースでも、ほとんどの場合は民事再生を選択しています。そこに加えて、債務の履行期間や減額などの調整が可能な「特定調停」もあります。ざっくりとしたイメージとして、特定調停は民事再生から再生計画案以降がないものだと考えてください。

民事再生手続の再生計画は3パターンある

民事再生には、「自力再建型」「スポンサー型」「清算型」という3つのパターンがあります。民事再生は再生計画としてどのパターンを選ぶかによって、取るべき行動も変わってきます。

なお、民事再生でどのパターンを選んだとしても、カットできる再建は無担保債権者の権利だけであり、担保を持つ債権者は自由に権利を行使することができます。そのため会社更生を選んだ際の手続きと比較して手続きの効力が弱くなっています。その反面、迅速に手続きを進めることができます

自力再建型 第三者の力を借りることなく本業の将来収益から 再生債権を弁済し、自力で再建を図る。
スポンサー型 スポンサーに資金援助を受け、その資金を返済財源 として再建を図る。
清算型 営業譲渡などの手法により、 営業の全部または一部を受け皿会社に移管したうえで、旧会社は清算する方法。 営業譲渡の代金が、 債務の返済財源となる。

民事再生手続きを利用するためには、要件と条件がある

民事再生手続きの開始申立をするためには様々な条件があり、どんな会社でも利用できるわけではありません。民事再生の開始申立要件には主に以下の2つがあり、条件としてはいくつかあります

民事再生の開始申立の要件

  • 破産手続き開始の原因となる事実(債務の超過や支払不能など)が生じる恐れがある場合
  • 事業の継続に著しい支障をきたすことなく、弁済期にある債務を弁済できない場合

民事再生の開始申立の条件

  • 債権者に賛成してもらえる再生計画案を作成できること
  • 民事再生のための費用や今後の運転資金を調達できること
  • 税金や社会保険料の滞納金額が少ないこと
  • 今後、収益を上げる見込みがあること などが主に挙げられます。

再生手続きを成功させるには、債権者の協力が必須です。そのため、債権者には「会社を破産させるよりも再生計画を信じて待ったほうが最終的には得だ」と判断してもらうことが必要です。そこで説得力のある再建プランを立てられるかどうかが民事再生のポイントになるのですが、自身が経営で手いっぱいになっている状態では、精度の高い再建プランを作成するのは困難です。再建プランの作成に関してはプロに依頼するほうが得策だといえます。

再建プラン作成について依頼するのにおすすめの5社は以下で紹介しています。

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民事再生手続きの主な流れとスケジュール

民事再生に必要な期間について、東京地方裁判所を例に挙げて見ていきます。民事再生申立から再生手続開始決定までの期間として約1〜2週間程度を必要とし、再生計画認可決定までは6ヵ月程度がかかります。そして、その再生計画の履行が完了したとき、あるいは再生計画認可決定確定後3年が経過すると、再生手続きは終了することになります。ただ、弁済が終了していなければ、その後も再生計画に従い弁済を続ける必要があります。

作成した再生計画案にもよりますが、再生計画認可決定確定から弁済完了までは最長で10年程度の期間がかかることがあります。

民事再生手続のメリット/デメリットは?

法的に債務を整理する倒産処理の手続きとして民事再生にはいくつものメリットがあります。その反面、デメリットもありますので、メリットとデメリットをよく理解してから選択するようにしましょう。

民事再生手続きのメリット

民事再生には、大きく分けて3つのメリットがあります。

債務を大幅に減額できる、必要な資金を残せる

民事再生の申立てをすれば担保権のない債権の支払い義務がなくなりますので、債務を大幅に減額できます、また、その申立の通知後に口座に入金された債務者の預金については金融機関による債務との相殺が禁止されますので、債務者の資金繰りに利用ができます。このようなことから必要な資金を手元に残せるようになります。

会社を存続できる 

民事再生では事業を継続したまま債務を減らしていきます再生計画を実行し債務を減らしていけば、会社を存続したままで再建することが可能です。

経営陣が引き続き経営権を維持できる

民事再生では経営陣の刷新は必要ありません。そのために経営陣は引き続き会社の経営権を維持できます。民事再生申立後は監督委員が必要となるため、経営陣の権限は弱くなりますが、経営自体は問題なく続けられます

民事再生手続きのデメリット

民事再生にはメリットだけでなく、デメリットもあります。

社会的信頼やブランドイメージの低下

民事再生は裁判所が関与する法的整理ですので、申立が受理されると法的倒産処理を開始したことが公になります。そのため、会社に対する社会的信頼やブランドイメージの低下が発生する可能性もあります。

担保として提供している財産を取られる可能性がある

担保権のない債権とは異なり、担保権がある債権については権利行使ができます。そのため、会社の財産を融資の担保にしていた場合には、担保権が行使され、その財産を回収される可能性があります。

予納金や弁護士費用など多額の費用がかかる

民事再生の手続きを開始するにあたっては裁判所へ予納金(負債総額5000万円未満で200万円から)を支払う必要があります。さらに、予納金の1.0〜1.5倍にあたる弁護士費用も負担しなければいけません
しかし、事業再生を依頼する際の金額については特に心配する必要はありません。その理由は過去の記事の中で詳細に説明しておりますので気になる方はご覧になってください。

民事再生手続に踏み切るタイミング

民事再生は、会社の経営を維持しながら債務を圧縮し、事業再生を目指せるというメリットがあります。債務に苦しんでいる会社にとっては、民事再生の申立を検討する価値は大いにあるといえます。

ただし、民事再生の申立が遅れれば遅れるほど金額が余計にかかる場合もあるため、会社の経営状態が悪化してきたと感じたときには、その傷が浅いうちに早めにプロへと相談することが大切です。

民事再生を成功させるにはプロに相談を

民事再生手続は、再生計画を債権者に対して提示しながら数ヵ月間かけて、様々な法的手続きを行うものです。また、自身で債権者に対して説得力のある再生計画を作成するのは困難です
そこで、早い段階で事業再生のプロに相談することをご検討ください。会社の経営状況の悪化が進んでいく前にもしくはその兆しが少しでも見え始めたときには、躊躇せずプロに相談しましょう。

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