事業再生はコンサルに報酬を払っても依頼したほうがいい理由

2023年03月30日

事業再生はコンサルに報酬を払っても依頼したほうがいい理由

事業再生を検討している企業の経営者であれば、「借金の返済で大変なのにコンサルティングに依頼するような会社の資金の余裕なんてない…」と思っているかもしれません。しかし、会社の資金に余裕がなくてもコンサルティングに相談した方がいい理由があります。本記事では、その理由を解説していきます。

無駄なお金は徹底的に見直す

コンサルティングに依頼する前に、1つ1つ、無駄に支払っているお金が無いかどうか、徹底的に見直す必要があります。

過剰債務・キャッシュフローの改善

借入額や担保状況から借金を精査してみましょう。そして、返済を停止することや減額することで支出を抑制そして、返済額を妥当な金額へと訂正していきます。多くの企業が、この見直しをすることによってコンサルティング費用がまかなえるようになると思います。

とあるコンサルによると、取引額の多い企業ほどムダな借入金も多く、比較的容易に資金は確保できるようになるとのことです。

担保価値を把握し、金融機関との交渉がスムーズに

担保価値の把握をしましょう。金融機関別に抵当権の設定状況を洗い出し、抵当権が実行された時の担保価値を把握することで、債権者の立場から見た担保価値が明らかになります。

さらに、担保価値だけでなく、過去の返済状況や将来の返済可能額をもとにして債権価値を算出します。このデータをもとにすることで、金融機関との交渉がスムーズになります。

経営不振に陥った原因を究明

経営不振に陥った原因を究明し、不採算分野を明らかにしていきます。そこでもし、不採算部門が見つかったのであれが、その部門を切り離すなどの処置を行うことで、コンサルティング費用を捻出できるようになるかもしれません。

再生計画の実行支援

無駄に支払っているお金が無いかどうか判明したら、その調査結果をもとに、再生にむけて計画を作成し実行していきましょう。

金融機関へリスケ交渉

事業再生の基本は金融機関へのリスケ(リスケジュール)交渉です。借入金の返済計画の見直しを意味するリスケに成功して借入金の元利ともに一時的に猶予されれば、悪化していた資金繰りがかなり改善できるからです

2020年から2022年に発生したコロナ禍においては、中小企業庁において「特例リスケ(「新型コロナ特例リスケジュール)」が制定されました。この特例リスケを利用したことにより、多くの企業が事業再生に成功しています。

リストラクチャリング

資産売却、事業譲渡、会社分割など、「事業構造の再構築」を意味するリストラクチャリングをすることで、事業再生に向けて大きく動き出すことができます。日本ではよく「リストラ」と略して使われていますが、そのリストラを意味する不採算分野の切り離しや人員カットも事業再生には必要となってきます。

実例で見る事業再生

実際に事業再生を成功させた事例も数多くあります。以下で代表的な例を紹介しましょう。

崖っぷちを脱した「いきなり!ステーキ」

2021年以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、外食産業が大きな影響を受けました。そのコロナ禍になる前に、事業再生を行った企業に「ペッパーフードサービス」が展開する「いきなり!ステーキ」があります。

かつて、「いきなり!ステーキ」は連日、行列ができるほどの盛況の外食チェーンであり、売上、利益が大幅にアップし株価も大幅に上昇するなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いを持っていました。

しかし短期間に多くの店舗を出店したため、2019年12月期には27億円の赤字を出してしまったのです。しかも赤字は2期連続であり、自己資本比率は2%にまで低下していました。

そこでペッパーフードサービスでは「いきなり!ステーキ」をファンドに売却することで、企業再生を図ったのです。売却額は85億円。その売却益をもとにペッパーフードサービスは経営再建を目指すこととしました。

また、「いきなり!ステーキ」では不採算店を閉店し従業員200人希望退職を募るなどコストカットを実施。コロナ禍や牛肉高騰により経営危機はその後も続いたものの、ステーキの再値上げや本社経費圧縮のほか、食肉大手のエスフーズ株式会社が20億円を出資することなどで営業黒字化を実現しています。

一等地の不動産を売却、リストラで20億の債務超過を解消した老舗企業

150年の社歴を持ち150名の従業員が在籍していた老舗の小売業A社では、バブル景気時代に過剰な出店を繰り返した結果、バブル崩壊により多額の赤字を計上する事態に陥っていました。

しかも同社は、売上至上主義で売上ノルマの達成に応じて報酬が支払われるため、特定店舗や特定人員が売上を粉飾。多額の架空売掛金が計上されていたのです。あわせて店舗の在庫管理きちんとしていなかったため、在庫調査の結果、特定店舗の店長が在庫を詐取しているという架空在庫が計上されていました。

そのため同社では、20億円の債務超過に陥っていたのです。そこで先代の兄弟から、時価30億円の土地を譲ってもらったことで一気に資産超過となりました。

同時に、不採算店舗の閉鎖や在庫処分による資金確保、従業員15人から半数へとリストラを行ったことで、コストカットを実現。準メイン銀行に売却された債権も、メイン銀行の協力で新たにシンジゲート・ローンを組むことができ、その債券を取り戻すことができました

高額なコンサル費用は助成可能

経営破綻した企業や経営破綻の危機に陥っている企業を救済する債務整理手続きの1つに「事業再生ADR」があります。裁判所を介さずに債権者と債務者との合意に基づき債務を猶予・減免するなどの手続きを行うものです

しかし事業再生ADRは通常の民事再生よりも手続きの公正さを担保するため弁護士費用は高くなるので気を付けたいものです。

そこで、2000万円や3000万円の費用を払うのが難しい中小企業のための力強い制度もあります。それは「中小企業の事業再生ガイドライン」です。本制度は、大企業や中堅企業を念頭に置いた「私的整理に関するガイドライン」を2022年4月15日に中小企業向けへリニューアルし、中小企業の事業再生等に関するガイドラインへと生まれ変わったものです。本ガイドラインでは1案件につき最大700万円まで補助されるので活用することを考えてみましょう。

まとめ

事業再生の専門家が指導して企業経営のムダを徹底的に洗い出し、コストをカットしていけば売上げを上げることができ、そこから利益が発生して事業再生を検討していた会社でも経営が回っていくようになります。過剰債務に陥っても競争力のある会社であれば、その過剰債務となっていた原因を排除すれば再生は可能なのです。

ただし、再生するための体力がゼロになってしまえば再生できる会社でも再生することはできません。たとえ資金繰りが厳しくても会社の体力がゼロになる前に、事業再生の専門家に相談をしましょう。

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