事業再生コンサルタントの仕事内容は?必要なスキルや資格、年収について解説

2024年03月29日

事業再生コンサルタントの仕事内容は?必要なスキルや資格、年収について解説

数あるコンサルタント業の中でも、やりがいがある職業として人気が高い「事業再生コンサルタント」があります。この記事では、事業再生コンサルタントとはどんな職業なのか、他のコンサルタントとの違い、仕事内容、必要となるスキルや資格など、事業再生コンサルタントを目指す人に向けて解説します。

事業再生コンサルタントとは?

コロナ禍が長引いたことにより、事業継続が危うい企業が増えています。そういった企業の立て直しが急務となっている今、事業再生コンサルタントが注目を浴びています。事業再生コンサルタントとはどんな役割をするのでしょうか。企業向けに存在する他のコンサルタントとは、どのように違うのかを解説していきます。

企業の再成長を支援するコンサルタント

事業再生コンサルタントとは、経営が困難な状況に陥っている事業を再生させ安定した利益を出せるよう支援を行う専門家を指しています。企業全体を立て直すこともあり、その場合には企業再生とも言います。

経営の危機に直面している経営を立て直すためには、負債を圧縮し、収益を上げていく必要があります。事業再生コンサルタントには、その負債を減らすという役目だけではなく、事業が再成長できるまでの計画を立て、その実行を支援し、再成長へと導くという、社会的にもやりがいのある仕事です。

他のコンサルタントとの違い

コンサルタントは主に、業務内容が総合的か専門的かで大きく分けられます。事業再生コンサルタントは、様々なノウハウと幅広い知識が求められるので、総合コンサルタントと言えます。一方で近いコンサルタントとして、経営コンサルタントや財務コンサルタント、戦略コンサルタントなども存在します。

事業再生コンサルタントが、これらのコンサルタントと大きく異なるのは、財務状況が悪化している企業に介入するところです。直接参加して、企業に実質的な指導を行うことが多いのも他のコンサルタントとは異なる特徴です。

事業再生コンサルタントの主な仕事内容は?

具体的に、事業再生コンサルタントの仕事内容とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、事業再生の流れに沿って事業再生コンサルタントが実行する主な業務を解説していきます。

事業・財務分析を通した現状把握

クライアントとなる企業の現状を正確に把握することから事業再生はスタートします。現状を把握することで、経営課題を明らかにすることは再生のために重要だからです。

この現状把握は、主に2つの視点という側面から行われます。1つは、競合や市場などの外部環境を含めた事業の現状分析の視点です。もう1つは、財務諸表や内部資料などから行う財務状況の分析の視点です。企業の財務に関わる、負債状況、資産価値、キャッシュフロー、収益性など、あらゆる側面が含まれます。これらの分析は、財務資料を紐といて行われるだけでなく、関係者へのヒアリングでも行います。

事業再生計画の策定

クライアント企業の現状把握から経営課題が明らかになってきたら、今後目指すべき方向性を含めた事業再生計画の策定を行います。その計画には、明らかになった経営課題に応じ、財務改善策や経営改善策、事業構造の見直し、人員配置の最適化などが含まれます。
なお、この事業再生計画には、クライアント企業が現状抱えている資金や人材で実行できる、具体的なアクションプランを策定することが求められます。

金融機関・取引先との調整

手元資金が不足していれば、事業再生計画の実行に必要な資金を確保することも重要です。そのためには、金融機関をはじめとした利害関係者との調整が必要になります。その際、事業再生コンサルタントが作成した事業再生計画をもとにして、クライアント企業と金融機関などの利害関係者との間に立ち、追加融資の依頼、返済額や返済期間の交渉などを行います。

モニタリング・実行支援

経営危機に陥っている事業を再成長に導くために、再生計画の策定後、進捗状況を確認するモニタリングを定期的に行っていきます。進捗状況をモニタリングした上で、必要に応じて計画の修正も行います。クライアント企業だけでは再生計画で策定した施策の実施が難しいときには、事業再生コンサルタント自ら、実行支援を行います。

事業再生コンサルに必要なスキル・経験5つ

事業再生コンサルタントには、求められる特定のスキルや経験があります。ここでは、事業再生コンサルタントに必要な主なスキルと経験を5つ紹介します。

1.基本的なコンサルティングスキル

事業再生コンサルタントの仕事は多岐にわたります。そこで、幅広いスキルが求められますが、その中でも基本的なコンサルティングスキルである、現状分析力、課題解決力、論理的思考能力、そしてクライアント企業との信頼関係を築くコミュニケーション能力などは必須といえるでしょう。
その他、複数のタスクを効率的に進めていくことができる、プロジェクト管理能力も大事です。

2.財務分析や事業分析のスキル

クライアント企業の財務状況を正確に評価して効果的な再生計画を立てていくためには、財務分析や数値分析のスキルは重要です。その事業自体の成長性の見極めや、成長戦略を立てていくことができる事業分析スキルも求められます。

3.業界に関する深い知識と理解

クライアント企業の業界や市場に関する深い知識がないと的を射た事業再生計画は立てられません。特定の業界に精通しているコンサルタントは効果的な再生計画を策定することができます。そこで、クライアント企業が属する業界特有の動向や競合・規制の状況などを理解して、的確なアドバイスを行います。

4.オペレーションや業務改善の経験

事業再生を行う際には、業務改善や組織改革も含まれることが多くあります。そこで、業務効率の向上やコスト削減、業務内容の再構築など、オペレーションや業務プロセスの改善に関する実務経験が事業再生コンサルタントに役立ちます。

5.金融機関や経営者など利害関係者をまとめる調整能力

クライアント企業内だけで事業再生コンサルタントの業務が完結することは少ないです。基本的には金融機関や株主などをはじめとする利害関係者を巻き込んだ仕事が求められます。特に金融機関に対しては融資条件の変更など厳しい交渉を行う必要があります。

事業再生コンサルに役立つ資格は7つ

事業再生コンサルタントとして働くにあたり、特定の必須となる資格はありません。しかし、様々な民間団体が運営する事業再生に関わる資格はあり、持っていると仕事に役立ちます。財務分析を扱うことで、下記の資格を持っていると、事業再生コンサルタントとしての信頼性を高められます。

1.事業再生士

TMA(日本ターンアラウンド・マネジメント協会)が主催する民間資格に、CTPとも呼ばれる事業再生士があります。実務経験やCTP資格保有者からの推薦を求められ試験の難易度は高いのですが、取得すれば事業再生のスペシャリストとして認知され、大きなアドバンテージになります。

2.事業再生士補

企業再生士の下位資格として、同じくTMAが主催する「事業再生士補」という民間資格があります。ATPとも呼ばれていますが、企業再生士を目指すのであれば、まずはこの資格を取得して知識と経験を身に着けスペシャリストとして成長していく必要があります。

3.事業再生アドバイザリー

金融協定協会が主催する民間資格に、事業再生アドバイザリーがあります。銀行などの金融機関に勤める融資担当者などが取得されるケースが多くなっています。この資格を取得することで獲得した知識を活用し銀行員の立場で経営者を支援できるようになります。

4.中小企業診断士

中小企業の事業再生において重要な役割を果たす中小企業診断士は、経営全般の知識を持つことで、財務面の他、経営戦略や業務効率化の面からも事業再生に貢献できます。中小企業診断士の資格を保有していれば、経営者と密接に連携でき、実践的なアドバイスを提供できるようになります。

5.公認会計士

財務会計や税務、監査の深い知識を持ち、企業の財務状況の詳細な分析や、財務健全化計画の策定ができる公認会計士は事業再生にも必要不可欠な資格となっています。

6.税理士

税務の専門知識を持つ税理士資格を保有していることで、クライアント企業の税負担の最適化を図れるようになります。節税等の切り口でキャッシュフローの改善に結びつけることができます。

7.弁護士

事業再生を進めていく際、契約書作成や契約書チェックの他、法律手続きのサポートや法律相談などが必要になる場面もあります。弁護士の資格を持っていることで、これらの法律業務を外部に委託することなくスムーズにこなせるようになります。

事業再生コンサルの年収は?

これから事業再生コンサルタントを目指す人は、収入も気になるところですが、年収相場は約700万~1,500万円前後といわれており上下の幅は広く存在します。コンサルティング会社によって金額の差はありますが、報酬体系は下記のとおりです。

アソシエイト 600万~800万円前後
マネージャー 800万~1,200万円前後
ディレクター 1,000万~1,500万円前後
パートナー ディレクター以上

ハンズオン支援型の場合には、30代で年収1,000万円前後からスタートします。なお、インセンティブ設定が高いPE(プライベート・エクイティ)ファンド系の場合には、30代で年収2,000万円を超えることもあります。

この記事のまとめ

事業再生コンサルタントとは、経営不振に陥った企業を再成長させる大事な仕事です。財務分析や事業分析など幅広いスキルが求められ、実行可能な再建計画の策定や金融機関など利害関係者の調整といった対応力やコミュニケーション力も必要となる難易度が高い職業です。

しかしその分やりがいがあり、事業再生に成功したときは大きな達成感を得られます。この職業に就くことで事業に関する幅広い経験とスキルも身につくため、挑戦しがいのある仕事といえるでしょう。

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