【コンサルが徹底解説】事業再生の確実な足がかりになる「攻めのコストカット」とは | 事業再生のリアル

【コンサルが徹底解説】事業再生の確実な足がかりになる「攻めのコストカット」とは

2021年01月12日

事業再生を考えたとき、多くの経営者様は足元のコストカットからまず取り掛かります。

節約をするだけでは事業再生を実現するほどの馬力にはなりませんが、根本からのコストカットに取り組むことで、事業再生が現実になる例は枚挙にいとまがありません。

この記事では事業再生コンサルタントの視点から、事業再生を目指した抜本的なコストカットの考え方や実践方法などについて解説します。

この記事のポイント

  • 事業再生の成否は「コスト管理」で決まる。いくら売上を伸ばしても、垂れ流しの経費を放置すれば資金ショートによる倒産を招くのは時間の問題である。
  • コストカットには「絶対的な優先順位」が存在する。組織を壊すリスクのある人件費にいきなり手を付けるのは悪手であり、まずは購買費や不透明な経費の適正化を断行すべきである。
  • 短期的な数字を追う「盲目的な削減」は毒になる。必要な投資まで削って商品・サービスの質を落とせば、客離れというさらなる地獄が待っている。
  • 自社内での判断には限界がある。長年の慣習や私情が判断を鈍らせるため、「第三者による客観的なメス入れ」こそが、健全な経営を取り戻す最短ルートとなる。
  • 真のコスト管理の目的は、単なる節約ではなく「キャッシュフローの健全化」である。日々の収支を可視化し、PDCAを回し続ける仕組みがない限り、再生は一時的な延命に終わる。

目次

コストカットを「経営のアップデート」に変える3つの視点

事業再生を目指す上で、どのような視点でコストを削減すべきか。
本記事では、再生の鍵となるコストカットの定義とその具体的な進め方について、ポイントを絞って解説します。

コストとはそもそも何なのか

コストとは、売上を生むために投入される経営資源の総体です。
税金や人件費、設備維持費といった具体的な費用に加えて、売上を生むためにかかっている時間・情報などもコストとして捉えることで、削減対象と投資対象の切り分けがしやすくなります。

ただしコストカットの仕方を誤ると、削ってはいけない価値創出領域に影響を及ぼすおそれもあり、コストカットを行う際は注意が必要です。

コストカットとコストダウンの違い

コストカットは、

  • 必要のない・少ない支出
  • 効率的でない仕事の進め方

などを見直す行動を指す意味合いがあります。

対してコストダウンは、それらを継続している段階や、結果としてコストが下がった状況などについて言われることが多いようです。

一般的にコストカットは「不要な経費を切り捨てる・やめる」こと、対してコストダウンは「交渉や効率化によって単価や費用を下げること」というニュアンスで使い分けられます。

経費を「削る」より「正しく使う」意識で、事業再生を確実なものに

コストカットを実施するうえで重要なのは削減額ではなく、投下資源の最適な配分です。
無駄を省き、価値を生むよう再配置することで、収益構造を改善します。

「削減ありき」ではなく「削減および成果最大化」という視点に立つことで、組織の納得感と再生の実現性が高まります。

コストカットがもたらすメリット

コストカットの概要についてお伝えしたところで、メリットについてもくわしく説明します。
コストカットすることで、経営資源の投下を縮小できることに加えて、どんなメリットがあるのでしょうか。

利益・資金の最大化で組織力や競争力を強化

コストカットの大きなメリットとして、利益改善や資金繰り安定が挙げられます。

資金繰りが安定すれば、製品・サービスの強化や投資余力等が生まれ、競争優位の確立なども視野に入ってくるでしょう。

事業再生の局面では、コストカットによるキャッシュ確保実現で意思決定の自由度が増し、再生のスピードや内容が改善しやすくなります。

コストカット=業務の棚卸し。労働生産性も向上

コストカットは「業務の棚卸し」といっても過言ではありません。
現状の業務効率や作業工程を可視化し見直すことで、同じ人員や予算、設備でのアウトプット向上を目指します。

こうした取り組みの結果として、残業削減やワークシェアといった形で人的負荷の軽減がなされ、組織の持続力を底上げすることにもつながる可能性が高まります。

業務の簡素化・透明化につながり、持続可能性がアップ

コストカットを目指した業務フローの整理や標準化は「この人にしかやり方がわからない」といった属人化の解消や、透明性向上という点でも効果的です。

こうした取り組みにより、業務の引き継ぎや改善も容易になり、環境変化に柔軟に対応できる体制が整います。
結果として、持続可能な経営基盤の構築にもつながるでしょう。

新規事業への投資余力創出も視野に

削減したコストは、未来への投資に振り向ける「原資」です。
コストカットで生まれた資金・人員を新規事業へ投資できれば、収益源の多角化や成長機会の創出などにもつなげやすくなるでしょう。

経費削減(=守り)の意識を、攻めの戦略に転換できるかがキモになります。

コストカットを成功に導くポイント

ここまでお読みになった皆さんは、コストカットのメリットを「理解はできるけど、それをどうやって現場に落とし込むのか?」という疑問をお持ちかと思います。
本章では、コストカットを成功させるにはどうしたらいいかについて、現場で活用しやすいよう説明します。

どこから見てもわかる徹底的な「見える化」

社内のあらゆるコストを見える化し、誰でも理解できる形にするのがコストカットの出発点です。
部門別・用途別に整理し、数値と実態を明らかにすることで、コストカットに対する議論の質も向上します。

見えないコストは削れないため、データ整備が成否を分けます。

優先順位の徹底【費用対効果を意識】

洗い出したコストカット候補すべてを一度に動かそうとすると、失敗を招きやすくなります。
実行の難易度を考えながら優先順位を設定する、効果が高いと思われる領域からスタートするなど、順番に着手するといいでしょう。

個々のコストカットの取り組み段階では、費用対効果をどう変化したかを振り返り、できるだけ細やかに評価しながら慎重に行うことも重要です。

スモールスタートで検証し、本格展開を

まずは一部の部門や限定的な範囲からコストカットを試行し、そこで得られた効果と課題を十分に検証した上で、全社展開を目指しましょう。
いきなり大規模な変革を行うのではなく、「小さく試して大きく広げる」ことで、想定外の失敗リスクを最小化するのが狙いです。

また、実際に成果が出ているデータを見せることで、変化を不安に感じる現場の納得感も得やすくなります。
成功体験を積み重ねながら着実にステップを踏むことが、最終的に組織全体の生産性を底上げする近道となります。

現場での、コストカットの具体的な進め方

経営側で準備が整ったら、いよいよ現場への落とし込みです。
従業員たちにどう伝えて、どう動いてもらうかを具体的に考え、慎重かつ大胆に進めましょう。

不採算部門からの撤退・売却

事業再生において最も優先すべきは、キャッシュの流出を止めることです。
利益を生まず、将来的な回復も見込めない不採算部門は、どれほど歴史がある事業であっても、撤退や売却を聖域なく検討しなければなりません。

不採算部門を切り離すことで、赤字を止めるだけでなく、管理コストや人的リソースを主力事業へ集中させることが可能になります。
また、売却によってまとまった現金を確保できれば、それを原資(資金)に充てられるという大きなメリットもあります。

情に流されず、数値に基づいた客観的な判断を下すことが、企業全体を生き残らせるための唯一の道といえます。

各種経費を見直し、次なる成長の「原資」を作る

まずは、現在利用しているあらゆるサービスや設備を「固定費」「変動費」に分類し、その利用実態を精査することから始めましょう。
無理に切り詰めるのではなく、「今の自社にとって本当に最適か」という視点で点検すれば、自ずと削減の余地は見つかります。

特に大きなインパクトを期待できるのが、以下の領域の最適化です。

  • インフラ・契約の最適化:電気・ガスなどのプラン変更や、漫然と払い続けているサブスク・リースの解約・見直し。
  • 物理コストの再設計:オンライン化による出張費の削減や、オフィス・土地の利用効率の改善。

これらは一度見直せば長期的な削減効果が続く、非常に効率の良い領域です。
拠点や規定のあり方を現代の働き方に合わせてアップデートすることで、現場の利便性を損なうことなく、会社に眠っていた資金を「次の一手」への原資へと変えていくことができます。

AIによる自動化と外部リソースへの置換

コストを効率よく見直すなら、AIの活用や「外の力」を借りることも重要です。
システムで自動化できる作業はAIに任せ、自社で抱え込む必要のない業務を外注に切り替えることで、社内全体の事務負担や管理コストを大幅に減らせます。

こうした施策は、単に支出を削るだけでなく、社内の貴重なリソースを「より価値を生む業務」へシフトさせるためのものです。
最新のツールと外部の力をうまく活用すれば、現場に無理な負担をかけることなく、組織全体のムダな出費だけを賢くカットできます。

コストカット時に陥りやすい、よくある失敗パターン

「削る」「なくす」といったネガティブなイメージではなく、効率化・簡素化といったポジティブなイメージで取り組むのが成功への足がかりです。
失敗パターンもあらかじめ心得ておき、実りの多いコストカットを目指しましょう。

材料・情報などが不足し、製品やサービスの品質を下げてしまう

本来必要なはずの材料・情報などを過度に削減すると、品質やサービスが低下し、顧客離れを招きます。
例えば、

  • 好きで食べていたお菓子が急に小さくなり別のを買うようになる
  • 愛用していた文房具の寿命が短くなり満足度が下がる

といったことなどは、短期的なコスト削減が長期的損失につながった典型例として経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

従業員のモチベーション低下

経営側の一方的な判断でのコストカットは現場の不満を招き、モチベーションを下げるおそれがあります。
全体の生産性が落ちれば売上に影響し、コストカットが意味を成しません。
目的の共有と、納得感の醸成は不可欠です。

人件費の過度なカット

人材は、企業価値創出の源泉です。
リストラなどで人件費を過度に削減してしまうと、企業本来の力が損なわれます。
人材は正しく配置したうえで、適切に効率化することが肝要です。

コストカットに時間や人的コストがかかりすぎてしまう

コストカット活動に時間や人の手がかかりすぎて、現場の負担になり本業に支障をきたすケースもあります。
金銭面だけでなく、従業員のメンタルなどに気を配り「そのコストカットには無理がないか」の見極めも大事です。
また、作業時間を人件費に換算する視点が欠けると、時間がかかりすぎた結果、かえってコストアップになることもあります。

単純作業からの解放、利益率・組織の柔軟性アップを図る「未来への投資」を

実現可能な最大限の効率化を図り、単純作業から従業員を解放して、付加価値の高い業務へ集中させることがコストカットの本質です。

それらによって生まれた余力を成長投資へ振り向け、利益率や組織の柔軟性を向上させるところまでが、コストカットのシナリオです。
事業再生の先にある「成長」を見据えた施策こそが、真のコスト戦略といえるでしょう。

よくある質問

Qどこが「無駄」なのか、自分たちで見極める自信がありません

A長年その環境にいると、異常が日常になってしまいます。まずは「1円単位のキャッシュフロー」を可視化すること。そして、その支出が「将来の利益に繋がっているか」という冷徹な基準で仕分けます。少しでも迷いが出るなら、それは私情が混じっている証拠。専門家の視点を入れるタイミングです。

Qコストカットに成功しても、また元に戻ってしまわないか不安です。

A一時的なイベントとして終わらせるからリバウンドします。コスト意識を「文化」として定着させなければなりません。日常的に収支をチェックし、毎月改善を繰り返す「管理の仕組み」を組織にインストールすること。これがリバウンドを防ぐ唯一の防壁です。

Q専門家に相談するタイミングは、やはり赤字になってからですか?

Aいいえ、理想は「資金繰りに少しでも違和感を覚えた瞬間」です。現金がなくなってからでは、取れる選択肢が極端に少なくなります。早めに相談することで、雇用や事業を守りながら、よりソフトランディングな形での再生が可能になります

「コストカットを事業再生の足がかりに」という企業様は、ご相談ください

資金繰りの改善やコストカットは、単なる数字の調整ではなく、事業全体を見渡した専門的な判断が求められます。
そのため、金融機関対応や事業再生の実務に精通した「事業再生コンサルタント」へ相談することが最も効果的です。

それぞれの課題に強みを持つ専門家を比較することで、自社に最適な再建プランが見えてきます。
客観的な視点でリスクを早期に発見し、経営者が本業に専念できる環境を整えるために、ぜひプロの知見を活用してください。

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