【事業再生の流れ】待ったなしの再生手続きはスピード重視

2021年08月24日

事業再生の流れ

事業再生は、自社が保有している資金が底をつく前に行わないといけません。そのため、事業再生にはスピードが要求されます。何を捨てて何を残すのかを時間をかけずに判断し、事業再生ための準備を行い、実行に移していく必要があります。

本記事では、事業再生の一般的な流れを説明していきます。以下のような流れに沿いながら、スピード感を持った専門家と一緒になって事業再生を進めていきましょう。

1.事業実態の把握

事業再生は、事業実態を維持している間に行う必要があります。そこで最初に取りかからなければいけないことは、財務内容や資金繰り、銀行別の借入金残高、担保状況などを正確に把握することです。

自社の資産状況や負債状況、事業収支、売上規模、取引先の銀行などを細かく見返しながら、倒産を引き起こした原因や今後の事業見通しなどの現状分析するようにしましょう。

2.再生計画案の策定

債務免除を受けずに事業再生できるかどうか判断するために、財務内容や資金繰り表を細かくチェックしていきます。

借入金返済のリスケジュールだけでは資金繰りを改善できないとなり「債務免除が必要」と判断したら、「私的再生」「法的再生」のどちらを利用して事業再生を行うかを検討します。

3.デューデリジェンス

事業内容や財務状況、事業再生の法的な問題など、自社の現状を客観的な立場から把握する調査「デューデリジェンス」を行います。

4.事業計画案の作成

デューデリジェンスの調査内容を受けて、事業再生後の計画案を検討し、事業計画書を作成していきます。

事業計画書では、収益力を持っている事業は残しながら、赤字の事業は廃止したり遊休資産は売却したりすることで収益改善を行っていくといった計画を記載していきます。今後、3年程度の売上と利益の予想についても記述していくようにしましょう。

なお、債務超過となっていたとしても、事業計画書がきちんと作成されていれば新規融資が可能となるケースも存在します。

5.資金の確保

債務免除を受けず事業再生ができるとなったら、資金を確保するために金融機関などと交渉します。

その際、新たな融資は実現しないとなったら、リスケジュールにより借入金の返済計画の見直しを金融機関などと交渉します。債務免除を受けて事業再生を行う場合にも金融機関などとリスケジュールを交渉します。

リスケジュールが実現したとしてもまだ資金繰りの状況が改善しないとなったら、支払い金額の大きな取引先などに支払いの先延ばしをお願いします。

6.スポンサー企業を探す

信用力や資金力のある企業をスポンサーにすることで、事業を継続し再生するために必要な信用の回復や資金の確保を得ることができます。

スポンサー企業を見つけることで、商品などの仕入資金を獲得することができるようになります。仕入先が外国にあるなどの理由により、事業を続けていく上で金融機関の与信を必要とする事業再生企業はスポンサー企業の支援は不可欠となります。

7.事業再生の実行

実際に事業再生を実行していくにあたって、2種類の再生方法があります。
1つは、経営者自身で債権者と協議して再生を進めていく「私的再生」という再生方法です。債権者と協議をする場を設けて債務の返済計画について話し合い、経営者自身が事業の再生計画や返済方法を提案していく必要があります。

債権者全員から同意を取り付けなければいけませんが、債権者と交渉さえできれば会社の状況などに応じて柔軟に事業再生を進めていける方法です。

もう1つは、裁判所に申し立てて整理を進めていく「法的再生」です。「法的再生」には、経営者を変えずに会社の再生を目指していく「民事再生」、経営者は退任し裁判所が選出した管財人が事業再生計画を作成して経営を引き継いでいく「会社更生」、裁判所で調停を開き、債務者が債権者や利害関係者と話し合い、債務の履行期間や減額などの調整を行う「特定調停」という3つの再生方法があります。

8.事業再生の完了

債権者あるいは裁判所から承認を得た再生計画案に基づいて再生手続を実行します。再生計画案のとおりに債権者に弁済が行われれば再生手続の完了となります。

事業再生は再生手続きを行う企業の状況により異なりますが、様々な企業の事業再生事例を以下で紹介しています。

スピード勝負の事業再生は専門家に相談を

事業再生は、何を捨てて何を残すのかを時間をかけずに判断し事業再生ための準備を行い、実行に移していく必要があります。その際、資金が底をつく前に行わないといけません。待ったなしの事業再生はスピードが勝負というわけです。

その際、一人の力だけで正しい事業再生は行うのには限界がありますので、コンサル会社に依頼するようにしましょう。その中でも事業再生の専門家が在籍するコンサル会社に相談することをおすすめします。

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