人気子供服ブランド「マザウェイズ」の破産の真相!拡大戦略の先にあった落とし穴とは?

「マザウェイズ」破産の真相からみえてくるもの

破産女の子向けの子供服を中心に展開している、人気ベビー・子供服専門店「motherways(マザウェイズ)」。その経営母体であるマザウェイズ・ジャパン(東京都江東区、本店・大阪府大阪市中央区)は2019年7月に経営破綻しました。

同社の破産申立書によると負債総額は59億6000万円。しかし関連会社である根来(ねごろ、大阪府大阪市中央区)とネイバーズ(大阪府大阪市中央区)も連鎖して倒産し、3社の負債総額は約77億円に上っています。

「マザウェイズ」はヨーロピアンテイストとリーズナブルな価格帯で知られ、ショッピングモールを中心に出店を重ね、2019年1月期の売上高は81億円に上っています。店舗数は全国で94店、従業員は854人に達していました。

今回の記事では、2010年代後半、全国で100店舗近くを展開した人気ブランド「マザウェイズ」がなぜ破綻してしまったのか、その真相に迫ります。

人気子供服ブランド「マザウェイズ」の特徴

ベビー・子供服「マザウェイズ」は、最新のデザインと機能にこだわりながら、お手頃な価格帯の商品で人気のブランドでした。

最新の機能・デザイン性とお手頃な価格帯

ベビー・子供服専門店「マザウェイズ」は、ヨ-ロピアンテイストのかわいいデザインとお手頃な値段の商品で女の子向けの服を中心に揃えた人気のアパレルブランドでした。商品ラインナップとしては、ベビー服やキッズ向けのカジュアルウェアをはじめ、シューズやアクセサリーなどの服飾雑貨全も含めて揃えていたのです。

同ブランドの特徴は、商品の企画から製造まで、すべて自社で手がけることでした。最盛期には40人の専属デザイナーを抱え、最新のデザインと機能にこだわっていました。

もう1つの特徴は、お手頃な価格帯にありました。1商品あたり3000円前後という価格帯に設定し、1000円前後で展開するプチプラ(プチプライス)ショップと5000円以上がラインナップされている高級店との中間を狙っていました。

「マザウェイズ・ジャパン」の沿革

ライセンス契約「マザウェイズ」はイギリスの子供服SPA(製造小売り)であるマザーケア社と日本国内販売のライセンス契約を結び1991年に生まれています。

沿革

「マザウェイズ」の経営母体であるマザウェイズ・ジャパンの沿革は下記のとおりです。

1991年 イギリスの子供服SPA(製造小売り)であるマザーケア社と日本国内販売のライセンス契約を結び、資本金1000万円でマザーケア・ジャパンを設立する
2000年 マザウェイズ・ジャパンに商号を変更する
自社ブランド製品の販売に事業を転換する
2008年 全国40店舗に拡大。首都圏に出店を始める
2011年 中国の生産委託先工場40か所を本格稼働する
SPAの規模を拡大する
2012年 東京・駒沢、代官山、銀座など首都圏に出店攻勢をかける
2013年 80店舗目をオープン。青山に初の路面店を出店する
2014年 商品価格を10~15%値上げする
2018年 アプリ会員が20万人を突破する
2019年 5月に債務整理を弁護士に一任する
7月に大阪地裁から破産手続き開始決定を受ける

出典:東洋経済オンライン

設立の経緯

マザウェイズ・ジャパンは、1991年にマザーケア・ジャパンとして設立されたアパレル企業です。大阪・ 船場で営業していた大手現金問屋の根来が、全世界に800店舗展開していたベビー・子供服の英マザーケア社と日本での販売ライセンス契約を締結して誕生しています。

2000年には松本亮(仮名)氏が社長に就任。フランチャイズ契約をやめてマザウェイズ・ジャパンを設立し、自社ブランド商品の販売へと事業を転換していきました。

消費者ニーズに迅速に対応できる「SPA」をはじめる

マザウェイズ・ジャパン設立後には日本人デザイナーを雇用して子供服のデザインを行いながら、製造は中国の工場で行い、商品を輸入して店舗で販売する製造小売業を始めるようになりました。ファッション商品の企画から生産、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデルであるSPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)」を始めるようになったのです。

SPAは消費者ニーズに迅速に対応できることから、仕入れて販売するよりも無駄なく効率的だとされています。アパレル製造小売業で世界ランキング上位の「ZARA(ザラ)」を抱えるインディテックスや、「UNIQLO(ユニクロ)」「GU(ジーユー)」で有名なファーストリテイリング、「無印良品」や「MUJI(ムジ)」を展開する良品計画などが代表的なSPA企業です。

なぜ、順風満帆にみえたマザウェイズが経営破綻に陥ったのか?

経営破綻順風満帆な経営に見えていたマザウェイズが、なぜ経営破綻に陥ったのでしょうか。その原因を紐解いてみます。

経営は順調で、年間7、8店舗のペースで出店を続けた

マザウェイズ・ジャパンは設立後しばらくの経営は順調であり、年間7、8店舗のペースで出店を続けていました。最盛期には経常利益率10%程度あり、「20億円売ったら2億円」「50億円売ったら5億円」というように順調に利益が発生していました。

「子どもが身に着けるものすべてを売る」をコンセプトに事業拡大

最盛期の「マザウェイズ」は「子供が身に着けるものすべてを売る」「マザウェイズに行けば何かある」というコンセプトを掲げ、拡大路線を突き進んでいました。

2008年からは東京近郊への出店を強化するようになり、「イオンモール」や「ららぽーと」をはじめとするショッピングモールへ次々と100坪規模の店舗を出店していました。多い年には年間出店数が18店舗に上ったときもあります。

このように拡大戦略が進んだ理由としては、韓国の生産拠点を2010年から中国に移したことが挙げられます。中国国内で約40もの契約工場を確保したことで、4000アイテムを毎シーズン製造できる生産体制を持ったのです。

海外ブランドに対抗できるようコストダウン・値下げを実施

拡大戦略を進めていきながら商社との取引を中断し、仕入れにかかってくるコストを半分近くまで減らしていきました。これにより3000円前後で販売していた主力商品を平均で1000円も値下げしたのです。その結果、店頭での中心価格帯として1990円を明示するようになりました。

このことは、同価格帯で競合する「ユニクロ」のほか「ZARA」や「H&M」などといった海外SPAブランドに対抗できる値頃感とデザイン性との両立を追求できるようになりました。

拡大路線により、利益率の低下と大量の在庫を抱える

しかし、このような拡大路線の経営は、結果的に薄利多売による利益率の低下と常に大量在庫を抱える状況を招いたのです。それに追い打ちをかけるように、2013年から始まった円安が状況を一変させます。

2013年に始まった円安で、製造原価が増大。値上げを断行

2013年下期から円安が始まり、日本円の対ドル相場はその後の1年間で20円以上も下落しました。同時に、中国国内の人件費上昇も加わり、3割未満だった製造原価率が5割を超えるようになりました。

そこで商品を値上げせざるを得なくなり、約40万人の「浮動客」が離反。売り上げも落ちていきます。さらに、売り上げが減ることで商品の回転率も悪化し、大量の不良在庫を抱える事態に陥ってきました。

銀行から借り入れを維持するために、出店を続ける

このような状況に陥りながら、銀行からの借り入れを維持するために、苦しい言い訳をしながら融資を継続してもらい新規出店も続けていました。新規出店は企業が成長している証しであり、金融機関で借り入れをするための手段でもあったからです。

このような慢性的不良在庫を抱え続けているところに天候不順が追い打ちをかけました。2018年秋から冬にかけて続いた暖冬と2019年の春先に続いた寒波の影響により不良在庫がさらに増加してしまったのです。

その結果、2019年4月には短期借入金の返済ができなくなり、資金繰りも行き詰まったことで経営続行を断念するに至りました。

同社が破産に至る前の数年間は常に20億円前後の不良在庫を抱えていたといいます。

アパレル業界の抱える課題から脱却する新たなビジネスモデル

アパレル現在、アパレル業界にはさまざまな課題があり、これからの大きな成長には疑問が生じています。しかしこの課題から脱却する新たなビジネスモデルも登場しています。

大量生産・薄利多売・環境負荷の増大から脱却するには?

マザウェイズ・ジャパンが破産した要因ともいえる、大量生産による利益率の低下と大量在庫を抱える状況は、国内の繊維・アパレル業界に共通する課題でもあります。

さらに近年、繊維・アパレル業界では環境問題への対応という課題にも直面しています。染色などに大量のエネルギーを消費するために、繊維・アパレル業界が排出する温室効果ガスは世界全体の6%も占めています。音質効果ガス排出だけでなく、生産の過程で生じる化学物質排出による水質汚染により、同業界が及ぼす環境への負荷は大きくなっています。

経済産業省では2022年2月に「ファッションの未来に関する報告書」を取りまとめました。その報告書では、衣類がリセール品(古着)となって流通されても、取引されるたびに製造者や産地に収益が入る仕組みである「リセール市場における収益分配」が提唱されています。

この「リセール市場における収益分配」は、他の産業にも参考になるものです。人口減少で国内市場は縮小しており、大量販売を追求する成長モデルが崩れつつあるからです。

米国のアパレル業界では、リセール(再販)市場の成長が加速している

環境への負荷などといった状況から、アメリカでは衣料品のリセール市場に対する関心が高まっています。かつては中古品、古着などと呼ばれていたリセール品ですが、現代では「中古品よりも新品がいい」という価値観は過去のものになりつつあります。

リセール品のオンラインECサイトを運営している米スレッドアップ社では、中古衣料市場に関する調査報告である「Thredup Resale and Impact Report 2021」を2021年6月に公開しています。それによると、アメリカにおける中古衣料品(リサイクルショップおよび寄付を含む)の2021年の市場規模は約360億ドルにも上っていることがわかります。さらに2025年には、その2.1倍である770億ドルへと拡大すると推定されています。

同時にこの調査では、米国のリセール市場は2030年までにファストファッションの約2倍の規模へと成長すると予想しています。

このようにリセール需要が拡大している背景には、中古衣料品に対する消費者のイメージの変化だけでなく、中古衣料品を買うことで社会的責任を果たしているという考え方や中古衣料品が持つ独特の魅力とその魅力を発見しSNSで他者と共有する喜びの発見などといった理由が挙げられています。

事業再生を目指すなら専門家に相談を

事業再生マザウェイズ・ジャパンを例に見るように、コロナ禍による影響前からアパレル不況は叫ばれてきました。それがコロナ渦によってアパレル不況が加速しているといえます。

流行はどんどん変化していき、消費者が求めるニーズも変わってきます。現代の企業ではこれまで成功したビジネスモデルに固執せず、新たなニーズに応えていくことが求められています。

もし企業が事業不振に陥っているのであれば、多角的に状況判断ができるプロ視点のアドバイスが必要です。まずは事業再生を多く手がけている専門家への相談をおすすめします。

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