【2025年最新版】旧ビッグモーターが会社分割方式でWECARSを設立!再生状況の動向を解説

「店頭の街路樹に除草剤を散布する」といった報道などで大きな騒動を呼んでいたビッグモーター。2023年11月には伊藤忠商事など3社連合が企業買収を検討していましたが、それから1年以上が過ぎた今、事業再生はうまくいっているのでしょうか。

2024年5月に買収が実現したビッグモーターのその後の経緯を追いながら解説します。

伊藤忠商事グループとジェイ・ウィル・パートナーズ共同でビッグモーターを買収

2022年から2023年にかけて次々と不正行為が明るみになり、中古車販売業界だけでなく保険業界も巻き込んで大きな騒動を呼んでいた株式会社ビッグモーター。2024年5月1日には伊藤忠商事グループとJWP(ジェイ・ウィル・パートナーズ)が共同で買収を行い、新会社WECARS(ウィーカーズ)を設立しています。

会社分割方式を採用しWECARSを設立、債務はBALMへ

2024年5月1日に、ビッグモーター買収後に設立したWECARSは、負債と事業を切り離すために会社分割方式を採用しています。WECARSはビッグモーターの事業を引き継いでおり、現在も中古車販売事業を続けています。一方、旧ビッグモーター が抱えていた金融債務の弁済や係争中の損害賠償などの負債800億円は同年同日に設立した株式会社BALMが引き継ぎ、必要な補償を行っています。

会社分割方式とは

経営危機に陥ったビッグモーターがWECARSを設立できた理由は、会社分割方式の新設分割を活用したからです。

会社分割方式とは、会社が展開する事業を他の企業に承継する手法であり、その事業に関して有する権利義務を分割により新たに設立する法人に承継させる新設分割を活用することでWECARSを設立したのです。

会社分割方式は買い手企業は対価として新株を発行するだけで、買収資金は不要というメリットがあるため、この方式を採用しています。

買収した伊藤忠商事のねらいとは

伊藤忠商事は、グループ企業内に高級輸入車ディーラーである株式会社ヤナセをはじめ、カーリース大手の東京センチュリー株式会社といった数々の自動車関連企業を抱えています。

伊藤忠商事が旧ビッグモーターを買収した理由は、ここに旧ビッグモーターを加えることにより自動車関連で培った総合力を会社再建に生かすほか、伊藤忠グループが新会社の設立を支援することで、効率的な運営体制を構築しようとしたのです。また、ビッグモーター再建後には伊藤忠グループの成長へとつなげる狙いもあります。

WECARSとBALMそれぞれの状況とは?

ビッグモーターが存続会社である株式会社BALMを設立し、事業継承をする新会社WECARSを設立してから1年以上が経過した今、WECARSとBALMの状況はどのようになっているのでしょうか。それぞれの今と経営状況をお伝えします。

WECARS

ビッグモーターの経営再建を目指し、事業の継続と回復を図る役割を担った新会社WECARS。現在では中古車販売だけでなく、車検や買取りなど、信頼回復のためのさまざまなサービスを提供しようとしています。

旧ビッグモーターが凍結していた整備士の採用をWECARSでは2024年11月8日には再開しており、事業を継承した時点では770人の整備士を15%増となる890人まで増やす計画を発表しています。

また経営幹部による店舗訪問やビデオ会議、人事制度改定、お客様の声を大切にする仕組み作り、内部通報制度の拡充、社員研修の実施、伊藤忠グループとの協業といった取り組みを行っています。それらを経て行った社内アンケートでは、社員の約85%が「同社は風通しの良い職場だと感じている」と回答しています。

経営幹部に対してはコンプライアンス研修を実施し、内部通報件数や賞罰委員会での審議対象者数の減少を記録しています。

WECARSの経営状況

伊藤忠商事グループが再建支援に乗り出した条件には、創業家の関与を排除することが挙げられてます。一部の不動産などは別の会社が引き継ぎ、不正請求問題の対応にあたるなど、状況に合わせた対応がなされていると見られています。

WECARS発足時の2024年5月1日には約4200人だった従業員数は一時的に不正問題の影響で減少していましたが、最近ではその数も回復基調にあります。

また、保険金の不正請求問題を受けて、2023年12月から損害保険代理店の登録を取り消す処分がなされていたビッグモーター。その事業を引き継いだWECARSも保険代理店の登録ができていないまま保険を取り扱うことができない状況が続いていましたが、現在、WECARSの店舗には「ほけんの窓口」のブースが設置されています。「ほけんの窓口」は伊藤忠商事の子会社であり、保険代理店がWECARSの店舗に出店し、保険相談サービスを提供している形となっています。

BALM

株式会社ビッグモーターは、2024年5月1日付けで株式会社ビーエムハナテンおよび株式会社ビーエムホールディングスを含め会社分割を行い、株式会社WECARSへ全ての事業と従業員を継承しています。

会社分割後の存続会社は、不正請求被害者の補償手続きや訴訟対応などを行う株式会社BALMです。同社では現在、ビッグモーターの被害回復に向けた補償手続きを行っており、2024年3月にスポンサーとなった企業再生ファンド「JWP(ジェイ・ウィル・パートナーズ)」が実務を取り仕切っています

BALMの経営状況

2024年5月1日に設立されたWECARSは現在、伊藤忠商事グループが事業を継承しています。ビッグモーターの事業はWECARSに引き継がれたため、BALMは事実上、債務整理に特化した会社となっています。

BALMの債務整理についてはまず、2024年11月には顧客に対するお詫びとして、被害の有無に関わらず自動車を修理した顧客に対して一律500円分のクオカードを送付しています。また2024年12月2日には東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、「全額賠償を目指す方針に変わりはない」としています

WECARSが力を入れていることとは?

WECARSでは現在、ビッグモーターが行ってきた不正行為のマイナスイメージの払拭とお客様の信頼回復のために以下のような内容に取り組んでいます

・経営陣の入れ替え
新会社WECARSではビッグモーター創業家の兼重宏行前社長ら旧経営陣を全て入れ替え、経営には一切関与しないと言明しています。

・企業風土の刷新
WECARSでは、お客様を第一に考えた“お客様ファースト”を実現するための組織・社員としての成長を約束しており、信頼される中古車市場創造を先導する役割を担うとしています。

・伊藤忠商事の子会社「ほけんの窓口」設置
伊藤忠商事の子会社である、ほけんの窓口グループを通じて、WECARSの店頭に対して、お客様の意向に合った保険選びをサポートする「ほけんの窓口」を出店しています。この「ほけんの窓口」はWECARSが行う自動車販売とは明確に切り分けており、「ほけんの窓口」が保険代理店としてサービスを提供しています。

経営のことでお困りの際は事業再生コンサルにご相談を

次々と不正行為が明るみになり、中古車販売業界だけでなく保険業界も巻き込んで大きな騒動を呼んでいたビッグモーターでは、負債と事業を切り離すために会社分割方式を採用。この会社分割方式により、事業を引き継ぐWECARSと金融債務の弁済や係争中の損害賠償などを行うBALMを設立することで事業再生にチャレンジしています。

再生の道はまだ半ばと言えるビッグモーターですが、「資金繰りが苦しい」「経営難に悩んでいる」という会社経営者であれば事業再生コンサルへご相談を

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