【事例から学ぶ】事業再生で必要なリーダーシップ | 事業再生のリアル

【事例から学ぶ】事業再生で必要なリーダーシップ

事業再生を果たすには「絶対に成功させるんだ!」という覚悟をもち、社員一丸となって取り組むことが大切。
そのためには社員の気持ちを「事業再生」というベクトルに合わせる、強固なリーダーシップをもつ旗振り役が必要不可欠です。

この記事では事業再生においてどんなリーダーシップが必要となるのか?事例を交えて解説します。

事業再生で求められるリーダーシップとは

経営コンサルタントの許斐義信氏は著書『ケースブック 企業再生』の中で事業再生の旗振り役となるリーダーに求められる最も重要な能力として「問題点を的確に把握・解決し、新たなビジョンを確実に実行できること」を挙げています。

具体的にどのようにして能力を発揮するのか?事例を見ながら事業再生に必要なリーダーシップを学んでいきましょう。

成功事例から学ぶ事業再生におけるリーダーシップ

経営者がリーダーシップを発揮して見事事業再生を果たした3社の事例をご紹介します。
いったいどのようにしてV字回復したのか?自分ごとに置き換えて考えてみましょう。

日産

日本を代表する大手自動車メーカーの日産も、かつては2兆円あまりの負債を抱えて倒産の危機にありました。
そのときにルノーと資本提携を結び、カルロス・ゴーン氏の手腕のもと再建が始まったのです。今でこそ起訴され国外に逃亡しているゴーン氏ですが、豪腕経営者として強力なリーダーシップで日産を再生させた立役者。組織改革やリバイバルプラン(再生計画)、社員の意識改革に取り組み、日産を根本から立て直したのです。

再建チームの結成

かつての日産は典型的な大企業でした。開発、生産、営業などの部門がそれぞれ独立している縦割り組織。
横の連携が脆弱で意思決定が遅く、お互いに責任を押し付け合っていました。
ゴーン氏は各部署から人材を集めた「クロスファンクショナルチーム」を結成。
メンバーには自分の部署だけではなく会社全体に視点を拡げ、改革に取り組むというミッションが与えられました。全社を横断的に再生計画を実行することで会社全体が活性化し、企業再生が進む土台が築かれました。

リバイバルプランの発表

次にゴーン氏はリバイバルプランを発表しました。
「2000年度連結当期利益の黒字化」、「2002年度連結売上高営業利益率を4.5%に改善する」、「2002年度末までに自動車事業の連結有利子負債を7,000億円までに削減する」という3つのビジョンを掲げ、どれか1つでも達成できなければ経営陣が全員退任するという大胆なものでした。社内外に再建に向けた経営方針と覚悟を強力に打ち出したのです。

社員への収益最大化意識の浸透

会社の人事評価制度にもメスが入りました。
これまで日産では「組織の和」を乱さないことが評価の大きな軸でした。
改革を進めて利益を上げるよりも、言われたことを無難にこなしていたほうが評価されていたのです。ゴーン氏はそれを180度転換させ、収益貢献度合いを人事評価の大きな軸としました。その結果、社員の意識を収益志向に向けさせることに成功したのです。

出典:上田統「企業再生 7つの鉄則 成功事例に学ぶ危機からの脱出戦略」日本経済新聞出版社 2011.07.01

日本電産サンキョー

三協精機は精密小型モーターを生産する高い技術力を持った精密機械メーカーでした。
しかし、三協精機は主力事業転換の失敗などにより赤字が続き、2002年、2003年には2年連続で50億円近い赤字を計上することとなりました。
赤字経営が続く三協精機でしたが、三協精機の高い技術力を認めていた日本電産の永守社長は三協精機を日本電産傘下に入れ再建に努めることにしました。傘下入り直後の2004年3月期には65億円の赤字を計上したものの、翌年2005年3月期には112億円の経常利益を上げるまでに成長しました。

リーダー自らコストチェック

永守社長は「経費削減部」を立ち上げ、購買費20%削減、一般経費半減を目標に掲げ様々な取り組みを行いました。
一般経費の削減に関して、社内各部署から予算管理者を募り、「Kプロ推進委員会」というクロスファンクショナルな組織を結成し、目標を達成。
購買費に関しても、各事業部から課長クラスの人材を募り、「Mプロジェクト」というクロスファンクショナルな組織を結成し目標を達成しました。

規律の重視

永守社長は社員に規律を遵守させることで社員の意識改革に取り組みました。具体的には、労働時間の延長や始業10分前出社を導入しました。また、3Q6S活動という永守社長独自の取り組みも導入しました。
3QとはQuality Worker、Quality Company、Quality Productsを意味し、6Sとは整理、整頓、清潔、清掃、作法、しつけを意味しています。6Sを実践することで初めて高品質かつ価格競争力のある製品が生産できるという考えです。

経営指針を示す人事評価

基本給以外の手当をなくし、実績に基づき給与やボーナスが決まる制度を確立しました。また、昇進・昇格基準を公開することで透明性のある評価制度を整備しました。こうした取り組みを通じて、利益志向の考えを社内全体に浸透させ、再建というマインドが社員一人一人に根付くようになりました。

出典:上田統「企業再生 7つの鉄則 成功事例に学ぶ危機からの脱出戦略」日本経済新聞出版社 2011.07.01

株式会社来島ドック

来島ドックは経営破綻していた来島船渠(せんきょ)という造船会社が坪内氏によって再建した企業です。誰も来島船渠の再建を引き受けない中、造船業に関してほぼ素人であった坪内氏でしたが独自の再生手法で見事再建しました。その実績を買われ、以後数多くの再建依頼を引き受けることになり来島グループを形成していきました。

強力なコミットメント

坪内氏の再生手法の1つに経営リスクを100%負うことが挙げられます。
具体的には再建のために時には億単位の身銭を切って、企業や従業員に資金提供を行うというものである。
桁外れの個人資産を投じ再建にコミットメントすることで社員に覚悟を示し、社員も再建にコミットメントせざるを得ないという風土を作り上げました。

徹底した費用削減

費用削減は事業再生において非常に重要であることは言うまでもありませんが、坪内氏は20作戦という独自の費用削減手法を活用しました。20作戦とは工費、材料費、経費全てを前年比20%削減するというものです。また、人件費削減も例外ではなく給与の15%カットを断行することで大幅なコスト削減を実現しました。

独自の工夫で売上増加

「一杯船主」という貨物船を開発することで売上を大きく伸ばすことに成功しました。この舟が売れた背景には大きく2つの理由があります。1つ目は銀行の協力を得ることで、舟の割賦販売を実現でき購入する障壁を下げたことが挙げられます。2つ目は船の重量を500トン未満に抑えたことです。
重量500トン以上の船を動かすには船員資格が必要となるのですが、500トン未満であれば船員資格が不必要なため広く普及したと考えられます。

出典:許斐義信、慶應ビジネススクール ターンアラウンド研究会「ケースブック 企業再生」中央経済社 2005.07.10

強固なリーダーシップが事業再生成功のカギ

以上でご紹介した企業はいずれもリーダーが強力な経営手腕を振るって再生計画を実行してたことでV字回復を果たしました。しかし、再生の過程にはリストラや人件費削減など痛みを伴う改革があったのも事実です。経営者に求められるのは強い覚悟とリーダーシップ。これがなければ事業再生はとうてい果たすことができません。

事業再生に取り組む経営者には悩みや迷いがつきものです。そこでまずは専門家に相談してみましょう。アドバイスを貰って課題が解消されれば、自信をもってリーダーシップを発揮し、具体的なアクションを実行していけるようになるはずです。

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