2021年01月06日
目次
会社が倒産まで追い込まれている状況
企業を運営する上で欠かせない要素が、資金ですね。どれだけお客様に必要とされ愛されている会社でも手元に資金がなければ潰れてしまいます。黒字倒産という言葉があるほど、資金管理は大切なのです。
本記事は様々な事情で資金繰りに悩む方に向けて事業再生の基本を紹介します。何としても破産は避けたい、今を乗り越えれば復活の可能性があるならぜひご覧ください。
昨今、賃金が低いと悩む労働者の声を多く聞きますがその給与は一体どこから出てくるのか。申し上げるまでもなく御社の売り上げです。もっと厳密に言えば粗利から販管費として家賃や人件費を支払っていますね。 ところが人件費やその他固定費は売り上げが下がったからと容易に減らせません。在庫だって売りさばけなければ負債になってしまいます。
経営不振、赤字続きとはつまるところ純資産が減り続ける状況です。場合によっては純負債が増え続ける状況になっているかもしれませんね。銀行への返済も迫っています。会社を存続するため、固定費を払うためだけに借金をするようになれば倒産が近づきます。
企業の内部留保を問題視することは全くの的外れで、内部留保がなければ容易にキャッシュアウトするだけです。資金繰りの問題を起こさないためには、常に十分な資金を確保しておくこと。キャッシュアウトを起こす前に効率よく廃業する覚悟を持つことが大切です。
さて、経営不振の状態で赤字が続くと銀行融資に頼るしかありません。銀行から融資を受けられず消費者金融に手を出すこともあるでしょう。しかし借りたお金を返すためには、営業利益が必要です。利益を上げられないままあの手この手を尽くしても、残念ながら状況が悪化します。
倒産するしかないなら、早めに倒産することも選択肢になると考えられます。しかし、会社で働く従業員のことやこれまで会社を続けてきた先代の思いを考えれば簡単に破産を選べないものです。
それなら破産以外の倒産処理を含めた事業再生を選びませんか?
事業再生と企業再生で会社を倒産から救う
倒産が迫っている会社を救うためには、会社を根本から変える必要があります。それが事業再生と企業再生です。
これらの言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。
こちらでは事業再生と企業再生がどのように行われるのか紹介します。
事業再生と企業再生の違いとは
事業再生と企業再生はよく似た言葉であり、どちらも同じような意味で使われることが多くあります。しかし厳密にいえば、その内容は異なります。
事業再生とは、特定の不振事業に着目し、その事業を再生し安定して収益を得られるようにしていくことです。企業全体としては黒字だったとしても、問題となる事業があればそこを再生していくことを指しています。
対して企業再生とは、一事業ではなく会社全体を立て直すことを指しています。複数の事業が赤字に陥っている場合や、企業全体の経営状態が悪化している場合に、選択する再生形態です。
実質的に破綻状態にある企業や、債務超過に陥っている状態の企業を救うためには、その会社の中でもっとも業績が悪化している特定の事業だけを立て直したとしても、最終的には“焼け石に水”となることがあります。そのような場合には会社全体を見渡しての再生である「企業再生」が必要となってきます。
企業そのものの再生を目指していく再生形態のために、企業再生を選んだ場合には、それぞれの事業を見直していくだけでなく、会社全体のガバナンスやキャッシュフロー、職場環境など、会社の土台から見直していく必要があります。
ただし中小企業の場合には、1つの会社が1つ~3つ程度の事業を展開していることも多いために、「事業再生=企業再生」という見方をしても良いでしょう。
また、事業再生と企業再生は法律などで明確な定義がされているわけではありません。「企業の経営状態を改善する」というゴールは同じものであるため、あえて厳密に区別する必要もないかもしれません。
なお、事業再生にはメリットもあればデメリットもあります。その2つを念頭に置いた上で事業再生に取り組んでいくことが大切です。
事業再生のメリット
事業再生には大きく分けて3つのメリットがあります。
事業撤退を免れる
1つの事業が不振に陥ったとき、その不採算事業は精算する必要があります。しかしその精算を行ってしまうと、その分、会社の売上が大きく減少してします。特に中小企業にとっては1つの事業がなくなるだけでも大きな痛手となってしまい、企業破綻の引き金を引くことにもなりません。
しかし事業再生を行ってその事業を黒字転換させれば、事業精算の必要がありません。
従業員の雇用を確保できる
会社自体が倒産してしまえば従業員を解雇しなければいけません。同時に、経営者の収入を失うこととなります。
しかし事業再生を行って経営を立て直していくことで、従業員の雇用や経営者の収入を守ることができます。
事業の状況によっては、再生の過程でリストラや減給、異動などをせざるを得ないこともありますが、会社全体へのダメージは最低限に抑えることができます。
債権者への債務返済をスピードアップできる
事業再生を果たして売上額や利益率がアップし収益が増えれば、それだけ債務の返済に充てられる金額も多くなります。そうすることで債権者への返済期間も短くなり、利息を圧縮することができ、事業再生へのスピードも加速していきます。
このような債務返済がスムーズになることで、新たな投資や新規事業の創設なども視野に入ってくるでしょう。
事業再生のデメリット
事業再生を成功させるまでは多くの工数と時間が必要です。その再生の過程では自社の弱みに直視しなければいけないこともありますし、従業員のリストラや減給など、辛い決断を迫られる場面もあるかもしれません。
これらを乗り越えて、事業再生を成し遂げていくためには強い覚悟が必要になります。
事業再生の方法
どの事業を残すか調べて再生させるか考える
事業再生より企業再生の方が広い領域に関わるといえ、会社は事業の運営によって成り立っています。そのため会社を建て直すには残せる事業、建て直すべき事業、捨てるべき事業の見極めが大切です。いくら優れたコンサルタントが入っても再生できない事業はあるものです。
負債となっている事業を残すことは会社の損失だし、再生するメリットの低い事業にリソースを投入することはデメリットが大きすぎます。
したがって不振の事業が複数ある場合は、再生すべき事業の選択が求められます。明確に一つの事業が不振だとわかる場合でも残すか捨てるかの判断は欠かせません。
企業によっては全ての事業が赤字(営業利益すら出ていない)となっている場合もあります。このようなケースでも、赤字の原因や今後の展望を分析して事業再生の方向性を決めます。
また、事業再生するとして今までと同じ路線で生き残るとは限りません。ターゲットやブランディングを再定義し全く違う商品を売ることさえあるでしょう。
例えばIT化がすすみ、ハンコが法的に必要なくなる時代が来るかもしれません。となれば、同じ設備と人員でハンコを売り続けるとしても売り方やビジネスモデルは大いに変わるはずです。
事業再生は綿密な計画とビジョンに基づいて行われます。それらを作るための前提となるのが”現状把握”です。「事業不振だ」と一口に言ってもどのくらいの赤字があるのか、あと何年操業を続けられるのか、どれだけ企業に負担をかけているのか…というポイントを知らなければ適切な対策を打てないからです。
もちろん、利益が出ている事業についても検討が求められます。一つは、ビジネスの限界を把握し次の策を打つため。もう一つは利益をより大きくするためです。会社のポテンシャルを最大限に発揮することは会社の氏名といって過言ではありません。
事業再生の計画を考える
事業再生の必要性が分かったとしても、資金をはじめとするリソースが欠けている状況です。独力での事業再生は困難でしょう。そこで事業再生の計画を銀行や債権者、その他出資が期待できる存在に見せて十分な資金を募ります。法的再生でも私的再生でも、他者の力を変えいる点は変わりません。
だからこそ、事業再生には骨の通った計画案が必要となります。計画案が詳しく現実味を帯びているほど出資の可能性が高まります。事業再生計画案にはこれらの内容を記載します。
要するに「今どのような状況で、どのような経緯で事業再生が必要になり、どのような事業再生をすれば問題解決するのか?」を説明するための資料です。
① 再生計画案の内容 |
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② 再生計画案の実行可能性 |
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③ 法的手続きと比較した経済合理性(私的整理を行うことの経済合理性) |
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④ 金融支援の必要性 |
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⑤ 再生計画案の合理性 |
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事業再生計画書は内容が細かく、数字が苦手な経営者にとっては苦行になります。数字が得意な経営者であっても計画書を作るより協力者を見つけることや、采配を振るう方が優先されます。間違いなく公認会計士をはじめとする専門家に依頼すべきです。
必要な専門知識は適切な書類を書けること、そして適切な事業計画を作れることです。ただ法知識がある会計士では力不足かもしれません。コンサルティング機能を有している会計事務所を選びましょう。
事業再生を成功させるための大事なこと
繰り返しますが事業再生を成功させるために大事なことは、出資、融資を受けることです。ですから銀行や債権者を納得させることが最大の壁となります。
計画をみてそのまま通すことはまずありません。計画について事細かに質問されるでしょう。銀行側もリスクを減らしたいのは当然です。その質問に対して、会計士に丸投げしたのでは答えられません。かといってご自身で計画案を作ったのでは書類としての問題が発生しかねないです。したがって、会計士やコンサルタントは事業計画が承認され融資を受けるまでは最低限関わります。
できれば、事業再生して軌道に乗るまでは継続的なアドバイスを受けた方が良いでしょう。
ちなみに会計士に事業再生計画案を依頼するメリットはこれまでの不正や不手際を正せることにもあります。中小企業は往往にしてバックオフィスに十分手が回っていない状況です。したがって過去の決算資料を確認した時に、いくつかのミスが見つかります。これを放置することは企業の信頼を落とします。
赤字であっても企業としての最低限は守れるよう努めてください。
知っておきたい事業再生の方法
事業再生にはいくつかの方法があります。まずは法的再生と私的再生に分かれます。法的再生とは裁判所での手続きによって行う事業再生で、私的再生とは当事者のみで行う事業再生です。
法的再生を行う場合は事業再生の難易度が高く、債務を払いきれない時です。
法的再生には次のようなものがあります。
- 民事再生(債務の減額と外部からの監視がつく)
- 会社更生(大企業のみ)
- 特別清算(会社を解散するため緩やかな破産といえる)
いずれも破産とは異なりますが、倒産という言葉のイメージは対外的な印象を悪くするためいざという時まで避けたいものです。
私的再生は、法的再生をせずに会社を立て直せる時に用います。「事業再生 企業再生できる手段全て」が私的再生の定義となるため、実に多様です。例えば次のようなものがあります。
- 単純に経営指導を受ける
- 銀行に融資を受ける
- 助成金を獲得する
- 株式の一部をスポンサー企業に譲渡する
- 不振になった事業を他者に売る
- 会社分割して優良事業と社員のみを残す
- 雇用を守るため、会社そのものを売る
- 債権者との間で任意整理を行う
私的再生は柔軟性が高く、倒産したと言うイメージがつかない点もメリットです。しかし会社に最低限の体力と将来性がないと受け入れられない手段であることも事実です。経営不振になったら勇気を出して早めの行動をとってください。
事業再生ファンドで支援を受ける
事業再生ファンドとは、経営不振に陥った中小企業に出資をして事業再生を支援するファンドです。金融機関や地方公共団体から出資を受ける「投資事業有限責任組合」であり、「中小企業再生ファンド」とも呼ばれています。
事業再生ファンドを構成する組合員たちが経営危機に陥った中小企業に出資。企業側はそれを運転資金に充てて事業再生を目指し、業績が回復して出た利益でファンドに返済するという仕組みです。
ただし、事業再生ファンドは困窮している中小企業ならどこでも出資してくれるわけではありません。あくまで出資をするわけですから、返済の見込みがある企業のみが対象です。たとえば事業そのものは儲かる見込みがあるけど、資金繰りで経営不振に陥っているケースなどが挙げられます。 事業再生ができる見込みがない企業、すでに手遅れの状況にある企業に対しては、出資は行われません。
支援を受ける中小企業と事業再生ファンド、そして中小企業再生支援協議会が連携して、再生計画を策定します。その後、事業再生ファンドから出資を受けます。ファンド側は投資の代償として企業の株式を買い取り、あるいは新株予約権の引き受けを行います。また、出資ではなく、企業の債権者から債権を買い取るという手段で支援を行うこともあります。
中小企業側はファンドから出資された資金、あるいは債務買取で浮いた資金を元手に事業再生を推進するわけですが、随時事業再生ファンドの経営支援を受けながら再建を目指します。対象企業に補佐役やアドバイザーとしてファンド側の人材を常駐させる、あるいは経営者の一員として送り込むケースも少なくありません。
また、場合によってはM&Aを進めることもあります。不採算事業を譲渡することで企業がスリムになり、利益が出せる体質に生まれ変わります。
以上のような流れで事業再生ファンドから資金面あるいは経営面で支援を受けながら事業再生を目指すことができます。
まとめ
経営が不振になった時は経営を立て直してくれる誰かが必要です。資金繰りに困った時は融資を助けてくれる誰かが必要です。経営者が全ての問題を抱え込んで解決できなければ、その先に破産が待っています。大切な会社を失う前に事業再生の道を選びましょう。
事業再生を相談すべきはコンサルティング機能を持った会計事務所です。会社としてのパワーが小さいほど手厚く関わってくれることが望ましいです。当サイトでは、中小企業の経営課題解決に「みそうパートナーズ」「山田コンサルティンググループ」「フロンティアマネジメント」をオススメしております。それぞれの企業詳細や当サイトでの評価を一度ご覧くださいませ。
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