2021年01月06日
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データから見る、中小企業が倒産にする原因【ワースト5】
会社の経営状況が悪くなってくると、頭によぎるのが「倒産」です。物が売れない、災害にあった、資産管理がおざなりだった、不祥事を起こしたなど倒産の原因は数多くあります。
本記事では、データを元に中小企業が倒産する原因を、倒産に至るまでの流れや倒産を回避するために今できることとあわせてご紹介。
「このままでは倒産してしまうのでは?」と自社の経営状況に不安を抱いている方、必見です!
中小企業が倒産する原因は様々ですが、一体どういうものが多いのでしょうか?「東京商工リサーチ」の調査データから倒産原因ワースト5が浮き彫りになりました!
出典:東京商工リサーチ
1位:販売不振
販売数が伸びない→売り上げが上がらない→会社の経営状況が悪化するという流れは誰でも容易に想像がつきます。経営状況が悪化すればするほど倒産に近づいていくので、雲行きが怪しくなってきた時点でしっかりと対策をとることが大切です。
ニーズが薄れてきたのか?競合他社が新たな強みを打ち出したのか?情勢が変化したのか?現状分析を行って対策を立てていけば、倒産という事態を回避できるのではないでしょうか。
2位:既往のしわよせ
徐々に悪化している経営状況を注視せず、具体的な対策を講じないまま問題を放置して最悪の状態「倒産」を招くことを、既往のしわよせと言います。年々少しずつ売り上げが落ちている、仕入れの数が減っている。違和感を感じているにも関わらずそのままにしていると、問題は解決できないレベルにまで膨れ上がってしまいます。
上のグラフにある中で放置している問題はありませんか?現状気になっている分野で手を打てることがあるのであれば早急に対策を講じましょう。手遅れにならないうちに改善することで、倒産は回避できるはずです。
3位:過少資本
現在、資本金1円から会社を設立できるようになりました。それが原因かは明らかではありませんが、無計画な融資を受ける経営者も増えてきています。身の丈に合わないキャッシュフローで、自らの身を滅ぼしているのです。
「黒字倒産」が多いのも、過少資本が原因。現金を軽視し手元に確保しておかないために、支払いが滞り、倒産しなければならないのです。経営者である以上「これくらいで大丈夫」は通用しません。しっかりと収支の計算や資金計画を立て、コツコツ利益余剰金を積み重ねることを意識しましょう。
4位:放漫経営
3位の過小資本とも繋がってきますが、会社の倒産リスクを明らかに高める「放漫経営」をしている会社は少なくありません。
面倒だからと会計の記録をしていなかったりしませんか?「自分の会社だから」と流動資本を着服していませんか?家族や気に入った社員を重要ポストにおいていませんか?身の丈に合わない無駄遣いをしていませんか?
放漫経営は、特にワンマン経営者に多いです。仕事は仕事!プライベートはプライベートです!「利益を出すにはどうしたらいいか?」「経営状況を少しでもよくするにはどうしたらいいか?」を考えるだけでも、放漫経営から脱する一歩となります。
5位:連鎖倒産
中小企業にとって不可抗力とも言えるのが、連鎖倒産です。元請けの倒産や大口顧客の離脱があると、中小企業はひとたまりもありません。建設や製造など実質的に子会社のごとく扱われている会社ほど高リスクです。
連鎖倒産を防ぐためにも、取引先は分散させておきましょう。大口顧客1社の売上比率は30%程度に抑え、たとえそこが離脱や倒産をしても、他の取引先で賄えるようにしておくのです。そうすれば、連鎖倒産といった最悪の事態は防ぐことができます。
中小企業が倒産に陥るまでの流れ
中小企業の倒産原因ワースト5でお分りいただけたかと思いますが、どれも「このままではまずいのでは?」と思った時に、現状分析をして適切な手を打たなかったことが原因です。
対策を講じずにそのまま経営を続けると、経営状況はどんどん悪化していきます。そこから倒産に至るまでどういった段階があるのかをご紹介します。
1)債務が支払えなくなってくる
従業員の給与や銀行融資返済などの、債務が支払えなくなってきていていませんか?
以前の記事『待ったなし!銀行融資が返せない経営者に待ち受ける現実』でも書いていますが、黒字であっても、手元に現金がなければ銀行融資などの借入金の返済ができなくなり、債務の不払い状態を続けることになります。
2)債務の弁済が不可能=倒産
打てる施策が尽き、経営が立ち行かなくなって債務の弁済が不可能な状態になったら「倒産」の状態です。
他にも、手形の不渡りが6ヶ月のうちに2回あり当座預金の利用や融資が停止された場合や「事業活動が停止し再開の見込みもなく賃金支払い能力も無い」と労働基準監督署が判断した場合も、事実上の倒産と見なされます。
3)法的倒産処理手続に入る
「倒産」となった場合は関係者に迷惑をかけないためにも、早急に債務者であるあなた自らが倒産処理法に従って申し立てをする必要があります。
法的倒産処理手続は2パターンあるので、どちらかを選びましょう。
①清算型倒産手続
会社の財産や債務を清算し、会社を消滅させる方法です。清算型倒産手続には、破産法に基づく「破産手続」と会社法に基づく「特別清算手続」があります。
よく耳にする「破産手続」は、株式会社だけに限らず,あらゆる法人が利用することができる手続きです。
裁判所から選任された破産管財人が破産者の財産関係などの清算を進めていきます。破産者の様々な財産は金銭化され、債権者への弁済金または配当金へ回され、破産手続が終了すると破産者である法人の法人格は消滅するといった流れです。
一方の「特別清算手続」は、裁判所によって選任された特別清算人が、対象会社の財産関係等を清算していき,破産手続と同様に金銭化して各債権者に弁済または配当し、手続きが終了すると法人格は消滅します。
破産手続との違いは、株式会社のみが利用できること。特別清算人に就任するのは、破産管財人のように清算会社と関連のない第三者ではなく、むしろ手続対象会社の代表者等であることです。
②再建型倒産手続
債務の一部である借入金の返済期間の延長や債務カットをしてもらって会社を再建するのが「再建型倒産手続」です。下記の3種類のやり方があります。
「会社更生」
裁判所の選任した更生管財人の主導のもとで、更生計画を策定。債権者等の利害関係者から多数の同意を得て計画を遂行し、利害関係者の利害を適切に調整しつつ会社の事業再建を図る方法。
「民事再生」
現経営者の主導のもとで、再生計画を策定。債権者等の利害関係者から多数の同意を得て計画を遂行し、利害関係者の利害を適切に調整しつつ会社の事業再建を図る方法。
「特定調停」
これまで会社の債務整理にはあまり利用されてこなかった方法です。債務者が借入金などの処理について裁判所に特定調停の申立を行って、調停委員会に当事者間の利害関係を調整してもらう特別な調停手続きです。必要であれば、債務免除等も調停の内容とすることができます。
中小企業においては、手続きの効力が弱い反面、迅速に行える「民事再生」を用いることがほとんどです。
倒産=終わりではない!一つでも当てはまるなら今すぐ対策を
先にも書いたように「民事再生手続」をとれば、法人格を失うことなく、会社を再建することができます。つまり、倒産=終わりではありません。最後の最後まで、会社を立て直すチャンスは残っているのです。
だからといって、現状の経営状況の改善や債務が払えない状況の放置をしていいわけではありません。会社再建のチャンスはありますが、世間的には「経営がうまくいかなかった会社」「倒産した会社」といったイメージを持たれてしまうことを避けられません。今後の経営に影響しそうなマイナスなイメージを持たれないためにも、今できる対策を事前に取ることが大切になってくるのです。
「データから見る、中小企業が倒産にする原因【ワースト5】」や「中小企業の倒産から法的処理までの流れ」で紹介したことに当てはまる項目があるのであれば、今後経営状況が悪化して、最悪の場合倒産することもあり得ることをまず肝に銘じましょう。そして現状分析をしてしっかりと対策を講じていく。そうすれば、経営状況を少しずつでも改善していくことができ、倒産を防ぎ会社を再建することができるのです。
先を見据えた「事業再生」で対策
事業再生とは
事業再生とは経営状況が良くない企業が経営あるいは資金面での支援を受けて事業を建て直すことを指します。まずは借金の問題をクリアするため、弁護士や公認会計士など専門家の手を借りながら 債務の免除や返済の繰り下げ、あるいは私的整理や法的整理を行います。
その後、収益が出る事業、他社との競争に勝てる事業のみを残す「事業の再構築」を試み、これ以上損失が出ないような対策を行い、最後に事業の黒字化を目指します。
借金を整理し、会社をスリム化し、儲かる仕組みを作る。以上のような流れで改善を行うことで、経営を建て直すことができます。
「事業再生」の知っておきたい大事なポイント
①新たなリーダーを選ぶ
厳しいようですが、経営不振を招いたのは経営者や会社のリーダー層の責任でもあります。同じ人が陣頭指揮をとっていては、せっかく事業再生を果たしても、また同じ轍を踏む危険性が高いです。
また、経営不振に陥った会社では、リーダーに対する求心力が著しく低下しているケースが往々にしてあります。そんな状態で事業再生を旗揚げしても、なかなか社員はついてきてくれません。
まずは的確な判断ができるリーダー、社員を率いて強力に改善を推し進めるリーダーを据える必要があります。
②なぜ、経営危機になったのか原因を究明する
事業再生で最も重要なパートと言っても過言ではありません。
「そもそも、なぜ経営危機に陥ったのか?」原因をしっかりと分析しましょう。不景気の影響なのか?経営者の手腕の問題なのか?事業内容の問題なのか?ムダな設備投資の問題なのか?……徹底的に分析をしてください。
また、原因は極力深掘りしましょう。たとえば、顧客離れが原因なら、「なぜ顧客が離れたのか?」「どうすれば防げたのか?」というように掘り下げていきましょう。
原因を把握することで、次行うべき施策が見えてきます。逆にここでピントが外れた分析をしてしまったら、あるいは全く振り返りをしなければ、また同じ失敗を繰り返すことになってしまいます。
③明確なビジョンと戦略を組み立てる
原因がはっきりしたら、次は「何をしていくか?」ということです。
まずは事業再生の明確な目標を立て、社内にも共有してください。ビジョンは会社が進むべき方向を示す羅針盤であり、経営者の覚悟でもあります。一本筋を通すことで、会社が一丸となって事業再生に向かうことができます。
そして具体的な道筋を決めていきましょう。「だれが、いつまでに、何をするか?」「どうやって資金を調達するのか?」「どの事業を畳んで、どの事業を伸ばすか?」具体的な施策に落とし込んで、スケジュールを立てましょう。
国の支援を受ける、ファンドから資金を調達する、M&Aを利用する。さまざまな手立てがあります。情報収集もしながら、再生戦略を練っていきましょう。
④的確なコストと人員の削減を素早く実行する
ビジョンや戦略が定まったら、いよいよ実行です。まずはコストを削減して少しでも会社にお金が残るようにしましょう。たとえば不要な設備を売却することで、損失を減らし、売却益を運転資金に充てることができます。 仕入れや材料費といった経費も徹底的に見直し、コストダウンを図りましょう。
人員が余っていたら、事業再生に必要な部署に移し、マンパワーを集中させてください。
それでもコストが削減できなかったら、いよいよリストラです。経営者にとっては大変辛い決断です。従業員から恨まれるかもしれません。でも、それが事業を継続させ、大多数の従業員の雇用を守ることにつながるのです。
⑤専門家に依頼してM&Aと法を使いこなす
コストを削減すると同時に、借金の負担を軽減する、資金調達や経営支援を受ける、助成金を受け取るといった施策も行なっていく必要があります。
しかし、社内だけすべてを実行するのはなかなか困難です。弁護士や公認会計士、行政書士などの専門家に相談すれば、「どんな手段があるのか?」「使える制度はないか?」「手続きはどのようにすればよいのか?」がわかります。
M&Aを行えば、不採算事業を売り渡すことができる、経営のプロに任せることができる、従業員の雇用を守れる、事業の売却益を得ることができるなど、さまざまなメリットを享受することができます。
第三者の手を借りて、使えるものはすべて使って、事業再生を強力に推し進めましょう。
⑥組織整備と人事を行う
コストが削減でき、会社をスリム化できたら、次は攻めに転じましょう。会社の組織を再編して、利益が出せる体質に生まれ変わる必要があります。新しいリーダーを筆頭に、適材適所に人員を配置して、事業再生を推進する体制を整えます。そして、利益が出すための施策を一つひとつ実行していくことで、 徐々に「儲かる会社」に生まれ変わっていくのです。
うまくいけば、V字回復して経営危機に陥る前以上に利益を出せる可能性もあります。
道のりは長いです。経営者として辛い決断を迫られることも多いかもしれません。でも、正しく原因と対策を考え、人の力も借りながらやるべきことをやっていけば、きっと事業再生の道は開けるかと思います。
まとめ
中小企業が倒産する原因や倒産までの流れを知り「会社の経営状況を今からでも立て直したい!」と思われた方は少なくないでしょう。ですが、そんな想いを抱いても、実際に行動へ移すことは難しいもの。ましてやそこから、自社の現状を冷静に分析することはハードルがかなり高いのではないでしょうか。
もし本当に会社を立て直したいのであれば、第三者のプロにお願いしてみてください。当サイトで紹介している「山田コンサルティンググループ」「みそうパートナーズ」「フロンティアマネジメント」などの事業コンサル実績が豊富なプロにお願いすれば、再生可能な事業の見極めや事業計画作成、実際の資金調達までサポートしてくれます。現状できる倒産しないための対策、経営状況を改善する対策を提案してくれるのです。
一人で悩むよりも、第三者に相談することですんなりと解決することも少なくありません。現状、今回紹介した中小企業が倒産する原因ワースト5のどれかに当てはまっているのであれば、プロに相談して早めに経営状況を改善して倒産を未然に防ぎましょう!
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みそうパートナーズ
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