2025年10月23日
「売上はあるのに、なぜか手元にお金が残らない…」
「金融機関への返済が厳しくなってきた…」
「このままでは事業の継続が難しいかもしれない…」
こうした資金繰りの悩みを抱える中小企業の経営者様は、決して少なくありません。先行きの見えない経済状況の中で、多くの事業者が厳しい経営環境に置かれています。
そんな経営者様の強い味方となるのが、国の公的な支援制度である「経営改善計画策定支援事業」です。通称「405事業」とも呼ばれるこの制度は、専門家の力を借りて経営の立て直しを図るための強力なサポートとなります。
この記事では、資金繰りに悩む経営者様に向けて、この「経営改善計画策定支援事業(405事業)」がどのような制度なのか、どうすれば活用できるのかを、誰にでもわかるように詳しく解説していきます。
目次
経営改善計画策定支援事業(405事業)とは?
経営改善計画策定支援事業(405事業)とは、金融支援を必要とする中小企業・小規模事業者が、国の認定を受けた専門家(認定経営革新等支援機関)のサポートを受けながら、経営改善計画書を策定する際に、その費用の一部を国が補助してくれる制度です。
もう少し簡単に言うと、「経営が厳しいけれど、立て直す意思がある」という会社が、専門家と一緒に「どうすれば会社が良くなるか」という具体的な計画書を作るためのコンサルティング費用を、国が一部負担してくれる、というものです。
この制度は、中小企業庁が管轄し、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する「経営改善支援センター」が実施しています。
- 参照情報
正式な情報については、公式サイトをご確認ください。
中小企業庁: 経営改善計画策定支援事業
中小企業基盤整備機構(中小機構): 経営改善計画策定支援事業
この事業の目的は「信頼性の高い計画書」を作ること
なぜ国は、計画書を作る費用を補助してくれるのでしょうか?
その最大の目的は、経営者が金融機関から信頼を得て、円滑な支援を取り付けることにあります。
資金繰りが厳しい時、金融機関に返済期間の延長(リスケジュール)や追加の融資をお願いしに行く必要があります。しかし、経営者が一人で「頑張ります!」と言っても、金融機関は「具体的にどうやって立て直すのですか?」と、その根拠を求めてきます。
そこで必要になるのが、客観的で実現可能性の高い「経営改善計画書」です。
405事業を活用すれば、税理士や公認会計士、中小企業診断士といった専門家が第三者の視点から会社の状況を分析し、具体的な数値目標や行動計画を盛り込んだ、金融機関も納得するレベルの計画書を作成することができます。この「信頼性の高い計画書」こそが、金融機関との交渉をスムーズに進めるための鍵となるのです。
どんな事業者が対象になるの?
この制度は、以下のような状況にある中小企業・小規模事業者が対象となります。
- 借入金の返済負担など、財務上の問題を抱えている
- 事業の抜本的な改善に取り組む強い意欲がある
- 金融機関からの金融支援(返済猶予など)が必要である
つまり、「自社の努力だけでは経営改善が難しい状況だが、専門家の支援を受ければ改善が見込める」という事業者が主な対象となります。個人事業主も対象に含まれます。
どんな支援が受けられる?補助金の詳細
【収益力改善支援】経営改善計画策定支援(通常枠)
環境変化に対応できていない、または借入金の返済負担などの財務課題を抱える企業様が、経営改善計画を策定し実行するための支援です。国が認定した専門家が、現状分析から計画策定、そして実行後のモニタリングまでをサポートします。金融機関との交渉費用(経営者保証解除を目指す場合)も一部補助対象となります。
| 支援枠 | 補助対象経費 | 補助率 | 上限額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 通常枠 | DD・計画策定支援費用 | 2/3 | 200万円 | 金融機関交渉費用は、経営者保証解除を目指した計画を作成し、金融機関交渉を実施する場合に対象。(任意) |
| 伴走支援費用(モニタリング費用) | 2/3 | 100万円 | ||
| 金融機関交渉費用 | 2/3 | 10万円 |
【事業再生・廃業支援】中小版GL枠による支援の概要
現在、借入金の返済負担などで財務上の課題を抱え、「本格的な事業再生」または「円滑な廃業」をご検討されている企業様へ。本支援は、国の認定を受けた専門家によるデューデリジェンス(DD)や計画策定の費用を、中小企業活性化協議会が最大2/3補助するものです。中小企業の事業再生等を定めた「中小版GL(ガイドライン)」に基づき、金融支援を伴う抜本的な取り組みを力強くサポートします。
| 支援枠 | 補助対象経費 | 補助率 | 上限額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 中小版GL枠 | DD費用等 | 2/3 | 300万円 | 中小版GLに基づいた取組が対象。第三者支援専門家の手続き費用も補助対象。 |
| 計画策定支援費用 | 2/3 | 300万円 | ||
| 伴走支援費用 | 2/3 | 100万円 |
引用元: 中小企業庁「経営改善計画策定支援」 (経済産業省)
405事業を利用するメリットと注意点
メリット
- 費用の負担を大幅に軽減できる
通常であれば数十万~数百万円かかる専門家へのコンサルティング費用を、3分の1の自己負担で済ませることができます。 - 金融機関からの信頼度が格段に上がる
第三者である専門家が関与した客観的な計画書は、金融機関からの評価が高く、リスケジュールや融資の交渉が有利に進みやすくなります。 - 経営課題が明確になる
専門家の視点が入ることで、自社だけでは気づけなかった根本的な課題や、その解決策が明確になります。 - 経営者自身の「羅針盤」になる
策定した計画は、日々の経営判断に迷った際の「羅針盤」となり、目標達成に向けたブレない経営が可能になります。
注意点
- 費用の立て替えが必要
前述の通り、補助金は後払いです。 - 計画策定に時間と労力がかかる
専門家任せではなく、経営者自身が主体的に関与し、自社の情報を開示する必要があります。 - すべての金融機関の同意が必要
複数の金融機関と取引がある場合、そのすべてから計画への同意を得なければなりません。
まとめ:一人で悩まず、専門家と未来への一歩を
資金繰りの問題は、経営者にとって深刻な悩みです。しかし、それを一人で抱え込む必要はありません。
国が用意した「経営改善計画策定支援事業(405事業)」は、まさにそうした経営者のために作られた制度です。この制度を活用することで、経済的な負担を抑えながら、事業再生のプロフェッショナルと共に、自社の未来を切り拓くための具体的な計画を描くことができます。
もし今、あなたが資金繰りで少しでも悩んでいるのであれば、まずは勇気を出してお近くの金融機関や信頼できる専門家に「405事業について聞きたい」と相談してみてください。それが、あなたの会社を再成長させるための、大きな一歩になるはずです。
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