事業再構築補助金とは?対象者や要件をわかりやすく解説

2025年10月21日

「コロナ禍の影響がまだ続いている」「新しい事業に挑戦したいが、資金が足りない」
そんな悩みを抱える経営者の方も多いのではないでしょうか。
変化が激しい現代において、既存事業のままでは立ち行かなくなるリスクは常に存在します。思い切った事業の転換や、新しい分野への挑戦を考えても、先立つ資金の問題は非常に大きいものです。

この記事では、そんな企業の大きな挑戦を後押しする「事業再構築補助金」について、制度の目的から対象者、申請のポイントまで、誰が読んでもわかるように丁寧に解説します。

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、中小企業等が新市場への進出、事業・業種転換、事業再編といった、思い切った事業の再構築に挑戦するのを支援するために設けられた制度です。

単なる設備投資の補助ではなく、ポストコロナ時代を見据えた未来への投資を国が力強くサポートすることを目的としています。

  1. 参照情報
  2. 正式な情報や最新の公募要領については、必ず公式サイトをご確認ください。
    経済産業省「事業再構築補助金」

この補助金の最大の特徴は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するための、企業の新しいチャレンジを幅広く支援する点にあります。

こんなお悩みを持つ経営者におすすめ

  • 既存事業の売上が落ち込んでおり、新しい収益の柱が欲しい
  • 時代の変化に合わせて、業態を転換したい(例:飲食店のテイクアウト・デリバリー事業強化、製造業のDX化など)
  • 全く新しい分野の事業に挑戦してみたい
  • 事業を拡大したいが、大規模な設備投資の資金調達が難しい

補助金の対象となる事業者と主な要件

事業再構築補助金を利用するには、いくつかの要件を満たす必要があります。公募回によって詳細は異なりますが、ここでは主な共通要件をご紹介します。

1. 売上高の減少

これが最も基本的な要件の一つです。コロナ禍以降の特定の期間で、売上高が減少している必要があります。

2. 認定経営革新等支援機関との事業計画策定

申請には、国が認定した専門家(税理士、中小企業診断士、金融機関など)である「認定経営革新等支援機関」と一緒に、具体的で実現可能性の高い事業計画を作成する必要があります。専門家と二人三脚で計画を練り上げるプロセスが求められます。

3.付加価値額の向上

補助事業終了後、3〜5年で「付加価値額」(営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)を一定以上向上させる事業計画であることが求められます。これは、補助金が企業の成長に繋がる投資であることを示すための重要な指標です。

4.事業再構築指針に沿った内容であること

国が定める「事業再構築指針」には、どのような取り組みが「事業再構築」にあたるのかが示されています。代表的なものは以下の5つです。

類型 内容
新分野展開 新たな製品で新たな市場に進出する
事業転換 主たる事業を新たな事業に転換する
業種転換 主たる業種を新たな業種に転換する
業態転換 製品の製造方法や提供方法を大きく変更する
事業再編 会社法上の組織再編行為等を行い、新たな事業形態のもとに新分野展開、事業転換等を行う

補助額と補助率について

事業再構築補助金は、企業の規模や申請する枠(類型)によって、受けられる補助金の金額や割合(補助率)が大きく異なります。

以下は過去の公募の例ですが、非常に規模の大きい補助制度であることがわかります。

申請枠(例) 従業員規模 補助上限額 補助率
成長枠 20人以下 2,000万円 中小企業:1/2
(大規模な賃上げで2/3に引上)
21~50人 4,000万円
51~100人 5,000万円
101人以上 7,000万円
グリーン成長枠
(エントリー)
中小企業:1億円 中小企業:1/2
(大規模な賃上げで2/3に引上)

※注意: 上記の表はあくまで過去の例です。申請枠や金額は公募回ごとに見直されるため、必ず最新の公募要領を公式サイトで確認してください

補助金の対象となる経費の例

「事業の再構築」に必要な幅広い経費が対象となります。

  • 建物費:建物の建築・改修、撤去費用など
  • 機械装置・システム構築費:設備、専用ソフトウェアの購入やリース費用
  • 技術導入費:知的財産権関連の経費
  • 専門家経費:専門家へのコンサルティング依頼費用など
  • 広告宣伝・販売促進費:事業で開発した製品・サービスの広報費用

一方で、従業員の人件費や不動産の購入費、汎用性の高いパソコンやスマートフォンの購入費などは対象外となるため注意が必要です。

申請から補助金受給までの流れ

事業再構築補助金の申請は、電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」で行うのが基本です。

  1. 事業計画の検討・作成
    自社の強み・弱み、市場機会を分析し、事業再構築の方向性を決定します。
  2. 認定経営革新等支援機関の選定・相談
    事業計画の策定を支援してくれるパートナーを探します。
  3. GビズIDプライムアカウントの取得
    電子申請に必須のアカウントです。取得に2〜3週間かかる場合があるため、早めに準備しましょう。
  4. 事業計画書の作成
    認定支援機関と協力し、具体的で説得力のある計画書を作成します。
  5. 電子申請(jGrants)
    公募期間内に、必要書類を添付してjGrantsから申請します。
  6. 採択発表
    事務局による審査が行われ、採択・不採択が決定されます。
  7. 交付申請・交付決定
    採択後、補助対象経費を精査し、交付申請を行います。交付決定後に事業を開始できます。
  8. 補助事業の実施
    計画に沿って設備投資や事業活動を行います。(注意:経費の支払いは原則、企業が立て替えます)
  9. 実績報告
    事業完了後、かかった経費の証拠書類などを揃えて事務局に実績を報告します。
  10. 補助金の支払い
    実績報告が承認されると、補助金が振り込まれます。

最も重要な注意点として、この補助金は原則として後払いです。事業の実施に必要な資金は、一旦自社で調達(自己資金や融資)する必要があることを念頭に置いておきましょう。

まとめ:事業再構築補助金は未来を切り拓くための強力な一手

事業再構築補助金は、単なる資金支援ではなく、企業が未来に向けて変革するための「挑戦権」を与えてくれる制度です。申請には質の高い事業計画が不可欠であり、準備は決して簡単ではありませんが、採択されれば非常に大きな後押しとなります。

自社の将来を見据え、新たな一歩を踏み出したいと考えている経営者の方は、ぜひこの制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

まずは公式サイトで最新情報を確認し、信頼できる認定経営革新等支援機関に相談することから始めてみてください。

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