2023年03月30日
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事業再生の費用はいくらかかるか?弁護士、コンサル報酬を解説
事業再生を考えている経営者にとって、資金繰りが厳しい状況なのに再生費用を捻出できるかどうか、どのくらいのお金がかかるのかは心配事だと思います。そこで本記事では、事業再生の際に弁護士やコンサルティング会社に払う依頼料や報酬について具体的に解説していきます。
事業再生の方法は「法的再生」「私的再生」の2つ
事業再生する方法には、「法的再生」と「私的再生」の2つがあります。法的再生とは裁判所に申立てを行い債権者と調整しながら再生を図っていく法的な事業再生方法です。この法的再生は、再生する会社の状況よって民事再生、会社更生、特定調停などの手続き方法から選択して再生を進めます。
一方、私的再生は裁判所が介入せずに再生を図っていく方法です。裁判所が介入しないので、債務者が債権者全員に返済方法や返済条件などの変更に応じてもらえるよう交渉していきます。詳しくは、過去記事をご覧ください。
法的再生にかかる費用
法的再生にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。再生方法によっても金額が異なりますので、民事再生と会社更生を例にとって詳しくみていきましょう。
民事再生の場合
民事再生の場合、大きく分けて「裁判所への予納金」「弁護士費用」「運転資金やリストラなどにかかる費用」の3つが必要です。
裁判所への予納金の目安
予納金は法的再生を行う際に裁判所に支払わなければいけない費用です。
この予納金は、手続開始決定までに全額を支払う必要があります。ただし、申立をする裁判所によって予納金の分納も認められています。東京地裁を例に取ると、申立時に6割を納付して、残り4割を2分割して納付する分納方法が認められています。
なお、予納金の費用は負債総額に応じて下記の一覧表のように異なってきます。
負債総額 | 予納金目安 |
---|---|
5,000万円未満 | 200万円 |
5,000万円〜1億円未満 | 300万円 |
1〜5億円未満 | 400万円 |
5〜10億円未満 | 500万円 |
10〜50億円未満 | 600万円 |
50〜100億円未満 | 700万円 |
100〜250億円未満 | 900万円 |
250〜500億円未満 | 1,000万円 |
500〜1,000億円未満 | 1,200万円 |
1,000億円以上 | 1,300万円 |
弁護士費用の平均額
弁護士費用は弁護士事務所によって異なりますので、一概には言えません。ただ日弁連(日本弁護士連合会)では統計を取っており、その金額を紹介します。
例えば、「資本金1000万円、年間売上高約3億円、負債総額約10億円」の会社の弁護士費用は、「顧問契約なし、月額報酬を併用しない」場合の回答は着手金が300万円前後、報酬金が300万円前後。これが203の弁護士事務所から得られた平均的な金額となっています。
運転資金やリストラなどにかかる費用
運転資金やリストラなどにかかる費用とは、社員に支払うための給与、オフィスの賃料や光熱費、取り扱っている商品の仕入れ代金など、再生した後でも事業を継続していくために必要な費用です。
企業再生の場合
民事再生と同様に、裁判所が介入して事業を再生していく方法として「企業再生」があります。この再生方法をとった場合に必要な費用は以下のとおりです。
●裁判所への予納金:3000万円~5000万円
●弁護士費用:200万円~
この企業再生を選択して事業再生を行う場合は、民事再生よりも債権者の人数が多い大企業で多く選択される手法です。再生する際には経営者や株主は退任する必要があり、裁判所が選出した再生管財人が裁判所の監督を受けながら事業の再生を図っていきます。
私的再生について
私的再生で事業再生を図っていく場合、再生には裁判所が介入しませんので、裁判所への予納金は支払う必要はありません。ただし、弁護士や事業再生コンサルティングなど、事業再生のプロに再生を依頼したほうが再生に成功する確率が高くなります。それぞれの依頼費用は下記のような金額が必要となります。
弁護士に依頼する場合
弁護士に事業再生を依頼する場合には以下のような金額の着手金を支払う必要が生じます。そのほか、月額の弁護士費用がかかる場合もあります。また、事業再生に成功して終了したときには報奨金を支払う必要があります。この報奨金の目安は着手金の倍額だと考えておいてください。
参考
負債総額 | 着手金費用 |
---|---|
5,000万円未満 | 240万円 |
5,000万円〜1億円未満 | 360万円 |
1〜5億円未満 | 480万円 |
5〜10億円未満 | 600万円 |
事業再生コンサルティング会社へ依頼する場合
事業再生コンサルティング会社へ依頼する場合に、正確な費用はそれぞれの条件で大きく変わってきます。あくまでも一般的な料金として金額を紹介紹介しますので参考にしてください。
相談料
どのコンサルティング会社も初回は相談料無料のところが多くなっています。初回相談をしたときに見積もりが出されますので、予算と見合わなければ断ることも可能です。
調査費
調査するにあたり、目安として5万5,000円(税込)以上の金額が必要となります。日当、交通費、宿泊費などは、この金額とは別途で必要となってきます。
報酬
報酬金額は事業再生する会社の年間売上高によって異なってきます。なお、この報酬金額は月額ですので、再生が完了するまで、月々支払っていく必要があります。
参考
年間売上高 | ~5,000万円 | ~1億円 | ~3億円 | ~5億円 | ~10億円 | ~30億円 |
---|---|---|---|---|---|---|
月額コンサルティング料金 | 6万円~ | 9万円~ | 15万円~ | 20万円~ | 25万円~ | 33万円~ |
事業再生に必要な期間については、過去記事で詳しく解説しています。
まとめ
裁判所への予納金、弁護士費用、コンサルティング費用。どれに対しても100万円単位の費用が必要となってきます。このような金額は事業再生で資金難のときに払うのは難しく思えるでしょう。
しかし、コンサルティング会社に相談することで、その多額な費用も捻出できるようになります。その仕組みは次回、詳しく解説します。
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