事業再生ADRとは?!他の私的再生手法との違いについても解説

事業再生ADRとは

事業再生をサポートする制度の一つとして「事業再生ADR」というものが挙げられます。ADRは日本語にすると「裁判外紛争解決手続」という意味合いになり、自力で事業再生を目指す「私的再生」で用いられます。

いったいどのような制度なのでしょうか?メリット・デメリットは?他の私的再生手法との違いも交えながら解説します。

平成23年に経済産業省が示した「事業再生ADR制度について」において、事業再生ADRとは「過剰債務に悩む企業」の問題を解決するために生まれた制度であり、中立的立場にある専門家の下で金融債権者・債務者の調整を行い、さらに、債務免除に伴う税負担を軽減するとともに、つなぎ資金の融資を円滑化するものだと定義されています。

出典:
経済産業省 「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」に基づく事業再生ADR制度について  ~早期事業再生のために~ 2011-07

事業再生ADRのメリット

事業再生ADRを行うとどのような利点があるのか?メリットについてご紹介します。

公平性のある事業再生

事業再生ADRの手続きを行うと、審査の後に一旦すべての債務の支払いが免除された上で債権者会議が開催され、手続き実施者が専任されます。事業再生の専門家が中立的な立場で債権者と交渉し、事業再生を進めていくのです。

そのため、自分たちだけで再生を目指すよりも適切な判断ができ、債権者との公平性も担保できるという利点があります。

つなぎ融資の受けやすさ

事業再生ADRを利用することで既存の債権とは別枠で融資を受けることが可能となります。また、中小企業基盤整備機構の公的保証も利用することが可能です。

そのため追加融資を受けて事業再生を果たすまでのつなぎ資金を調達しやすくなります。

債権放棄による損失の無税償却

事業再生ADRを利用している債務者に対して一定の条件を満たした上で債権放棄を行うと無税償却が可能となります。
債権放棄による損失を損金として計上することで税金を安くすることができるのです。

これは主に金融機関側が享受できるメリットとなりますが、無税償却が可能になることで債権放棄などが受けやすくなるので、債務者にとっても大きな利点となります。

事業再生ADRのデメリット

事業再生ADRにはデメリットも少なからずあります。以下のような点に注意しましょう。

法的再生に移行する可能性

事業再生ADRでは債権者会議を開いて債権者と自分で交渉しなければいけません。再生計画を実行するためには全員の同意を得ることが条件で、1人でも反対していると不成立となります。

それでも再生を進めるとなると、特定調停や民事再生といった、裁判所が介在する法的再生を選ぶ他ありません。事業再生ADRは必ず成功するものではないことを頭に入れておきましょう。

他の私的再生手法との違い

事業再生ADRは裁判所が介入しない私的再生であること、債権者全員の同意によって成立するのは、私的整理ガイドラインや中小企業再生支援協議会と共通しています。

大きな違いは主宰者です。事業再生ADRでは過剰債務に悩む企業が事業再生の実務家の支援を受けながら債権者と交渉し、再生への道を目指します。

私的再生手法 事業再生ADR 私的整理ガイドライン 中小企業再生支援協議会
目的 過剰債務に悩む企業への訴訟手続きによらない再生支援 経営困難な企業への会社更生法や民事再生法によらない再生支援 中小企業の再生支援
主宰者 事業再生実務家協会 私的整理に関するガイドライン研究会 中小企業再生支援協議会
対象債務者 過剰債務に悩む企業 ・過剰債務により自力再建が不可能な企業
・価値ある事業があるなど再建可能性がある企業
・法的整理により信用力が低下し、事業再建が困難になる企業
・私的整理により債権者に経済的合理性が期待できる企業
事業拠点を有する中小企業
対象債権者 金融機関債権者 金融機関債権者 金融機関債権者
成立条件 全主要債権者の同意 全主要債権者の同意 全主要債権者の同意

出典:
私的整理に関するガイドライン研究会 私的整理に関するガイドライン 2001-09

事業再生ADRの流れ

事業再生ADRではどのような流れで再生を目指していくのか?主宰する事業再生実務家協会が発行するハンドブックをもとに解説していきます。

出典:
事業再生実務家協会 事業再生ADR活用ガイドブック 2008

流れの図案

流れの図案

事業再生ADR申込前手続き・申込

まずは事業再生実務家協会に申し込みを行います。事業再生ADRは再生の可能性が見込まれる企業のみが利用できます。資産評定や生産や清算貸借対照表、損益計算、弁済計画をもとに審査を行い、通過すれば正式に申し込みとなります。

一時停止通知

申し込みが受理されたら事業再生実務家協会と債務者が連名で対象債権者に対して「一時停止通知」を発送します。債権回収や担保設定行為が禁止され、債務者は一時的に債務を免れることができます。同時に債権者集会を開催し、話し合いに応じてもらうよう呼びかけます。

出典:
経済産業省 「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」に基づく事業再生ADR制度について  ~早期事業再生のために~ 2011-07

債権者会議

債権者を集めた債権者会議を開催し、現状や再生計画に関する説明を行います。また、初回の債権者会議では債務者の再生を支援する手続実施者の選任も行われます。

この場で再生計画を発表し、対象債権者全員の同意が得られれば事業再生ADRが成立して再生が進められますが、前述のとおり一人でも反対すれば不成立となり、特定調停や法的整理手続きを選択する必要が出てきます。

事業再生における自身の目的に合わせた資格取得を

事業再生ADRの手続きを行えば債務が一時的に免除される、つなぎ資金を調達しやすくなる、債権放棄を受けやすくなるなどのメリットがありますが、失敗して法的再生に移行せざるを得なくなるというリスクも伴います。そもそも事業再生ADRを利用できるかどうかも審査を受けてみないとわかりません。

事業再生ADRを行うべきか、他の手法を採用すべきかという判断は難しいので、まずは事業再生の専門家に相談してみて、自社に合った手法を検討してみましょう。

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