中小企業必見!省力化投資補助金(カタログ型)の概要とメリットをわかりやすく解説 | 事業再生のリアル

中小企業必見!省力化投資補助金(カタログ型)の概要とメリットをわかりやすく解説

2025年12月25日

人手不足や業務負担の増大に悩む中小企業を支援するために創設されたのが「省力化投資補助金」、正式名称「中小企業省力化投資補助金」です。

カタログ型(カタログ注文型)は、その名の通り、公的に登録された「製品カタログ」に掲載の汎用的な省力化設備・システムを選ぶだけで申請でき、導入までのスピードが早いのが特徴となっています。

自動化・省人化を進めたい企業にとって、コスト負担を抑えながら生産性向上を実現できる実用的な制度といえます。 本記事では、カタログ型の特徴や一般型との違い、申請のポイントをわかりやすく解説します。

省力化投資補助金(カタログ型)の概要

省力化投資補助金(カタログ型)は、中小企業庁が2024年度に創設した、中小企業の人手不足解消と生産性向上を目的とした支援制度です。

背景には、深刻化する労働力不足と、賃上げを実現するための省力化投資の必要性があり、政府の「中小企業生産性革命推進事業」の一環として制度化されました。

カタログ型は、公的に登録された省力化設備やシステムを選ぶだけで申請できるため、導入までのスピードが早く、申請負担が軽い点が特徴です。

2025年度も複数回の公募が行われ、2026年度についても継続実施が検討されており、例年どおり春〜冬にかけて順次募集が行われる見込みです。

以下では、制度の目的、対象企業、導入可能な設備、補助率・上限額といった基本ルールを詳しく解説します。

制度の目的:人手不足解消と賃上げ促進

省力化投資補助金(カタログ型)は、人手不足に悩む中小企業が省力化設備を導入し、生産性を高めることを目的とした制度です。

人口減少や高齢化により人手不足倒産が増加している現状を踏まえ、清掃ロボット・自動倉庫・検品システムなどの省力化製品を導入しやすくすることで、業務負担の軽減と売上拡大を後押しします。

さらに、生産性向上によって生まれた余力を賃上げにつなげ、従業員の定着や人材確保の好循環を生み出すことも重要な狙いです。

制度が目指す主な効果は、以下となっています。

  • 人手不足の解消
  • 生産性向上による収益改善
  • 持続的な賃上げの実現
  • 中小企業の競争力強化

対象となる企業と導入できる設備

省力化投資補助金(カタログ型)の対象となるのは、日本国内で事業を営み、人手不足の状態にある中小企業・小規模事業者などです。最低賃金を下回らない賃金水準であることも要件に含まれます。

導入できる設備は、カタログに登録された省力化効果の高い汎用製品で、清掃ロボット、配膳ロボット、自動倉庫、AI検査装置など、業務効率化に直結する機器が中心です。

  • 対象企業:国内事業者、人手不足、最低賃金遵守など
  • 導入設備:カタログ掲載の省力化設備(ロボット・自動化機器等)

業種を問わず省力化・省人化を進めたい企業が幅広く活用できます。

補助率・上限額の基本ルール

省力化投資補助金(カタログ型)の補助率は一律1/2で、補助上限額は従業員数に応じて設定されています。賃上げ要件(給与支給総額+ 6%以上、最低賃金+45円以上)を満たすと、上限額が引き上げられる仕組みです。

導入する設備はカタログ掲載製品に限られ、補助対象経費に補助率を乗じた額が上限額を超える場合は、上限額内での交付となります。

従業員数 補助率 上限額 賃上げ達成時
5名以下 1/2 200万円 300万円
6〜20名 1/2 500万円 750万円
21名以上 1/2 1,000万円 1,500万円

この仕組みにより、企業規模に応じた省力化投資を柔軟に支援できる制度となっています。

カタログ型と一般型の違い

省力化投資補助金には「カタログ型」と「一般型」があり、導入方法や申請負担に大きな違いがあります。

カタログ型は、あらかじめ公的に登録された省力化設備から選ぶだけで申請できるため、手続きが簡易で導入スピードが早いのが特徴です。

一方、一般型は企業の課題に合わせたオーダーメイドの設備導入が可能で、柔軟性が高い反面、計画書作成や審査に時間を要します。

自社の状況に応じて、スピード重視か柔軟性重視かを選択することが重要です。

比較項目 カタログ型 一般型
導入方法 登録製品から選択 自社仕様の設備を導入
特徴 申請が簡易・導入が早い 幅広い設備に対応・柔軟性が高い
申請負担 少ない 詳細な計画書が必要
適した企業 早期に省力化したい企業 課題に合わせた設備が必要な企業

カタログ型の申込条件と必要な準備

省力化投資補助金(カタログ型)を申請するには、生産性向上に向けた取り組み方針や賃上げに関する要件を確認し、必要書類を整えることが重要です。

特に、労働生産性の向上目標や賃上げ計画の有無は審査にも影響するため、事前準備が欠かせません。

また、申請手続きは年度ごとに公募要領が示されるため、最新情報を踏まえて進める必要があります。

以下では、目標設定のポイント、賃上げ要件を満たした場合の優遇措置、申請に必要な書類と流れを詳しく解説します。

労働生産性向上の目標設定

省力化投資補助金(カタログ型)では、申請企業に「労働生産性を向上させる具体的な目標設定」が求められます。これは、設備導入によってどれだけ業務効率が改善し、売上や付加価値の向上につながるかを示す重要な指標です。目標は数値で示す必要があり、補助事業終了後3年間で一定の改善が見込まれる計画であることが求められます。 設定すべき主な指標の例は、以下となります。

  • 付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)
  • 付加価値額/従業員数
  • 売上高/従業員数

これらの指標をもとに、設備導入による効果を明確に示すことで、申請の説得力が高まります。

賃上げ要件を満たした場合の優遇措置

省力化投資補助金では、賃上げ要件を達成した企業に対して、補助上限額の引上げや審査での加点などの優遇措置が設けられています。これは、最低賃金引上げに対応する中小企業を後押しするため、中小企業庁が実施している支援策の一環です。

具体的には、給与支給総額の増加や事業所内最低賃金の引上げを達成した場合、補助率が引き上がるケースや、採択審査で加点されるケースがあります。

主な優遇措置の例は、以下となります。

  • 補助率の引上げ(例:1/2 → 2/3)
  • 採択審査での加点措置(最低賃金引上げ幅が一定以上の場合)
  • 上限額の増額(制度区分により異なる)

これにより、賃上げに積極的に取り組む企業ほど、補助金を有利に活用できる仕組みとなっています。

必要書類

省力化投資補助金(カタログ型)の申請では、企業情報や賃上げ計画、導入設備の見積書など、複数の書類を事前に準備する必要があります。

特に、労働生産性向上の計画書や賃上げ要件に関する資料は審査の重要ポイントとなるため、正確な記載が求められます。

申請は電子申請システムを通じて行われ、採択後は設備導入・実績報告まで一連の手続きが続きます。

主な必要書類は、以下となります。

  • 事業計画書(生産性向上の根拠を記載)
  • 賃上げ計画の確認資料
  • カタログ掲載製品の見積書
  • 決算書・財務資料

カタログ型の活用事例と期待される効果

省力化投資補助金(カタログ型)は、業種を問わず人手不足や業務効率化の課題を抱える企業で幅広く活用されています。

登録された省力化設備を導入することで、作業時間の削減や品質の安定化、従業員の負担軽減といった効果が期待できます。

また、生産性向上によって賃上げや人材定着にもつながり、企業の持続的な成長を後押しする点も大きな特徴です。

以下では、製造業・飲食業・卸売業における具体的な活用事例を紹介します。

製造業における自動化設備導入

製造業では、人手不足や熟練作業者の減少により、生産ラインの安定稼働が大きな課題となっています。

省力化投資補助金(カタログ型)を活用することで、ロボットアームや自動搬送装置、AI検査機器などの自動化設備を導入し、作業時間の短縮や品質の均一化を実現できます。

特に、単純作業や反復作業の自動化は効果が大きく、従業員が付加価値の高い業務へシフトできる点もメリットです。

導入による主な効果は、以下の通りです。

  • 生産ラインの省人化・安定稼働
  • 不良品削減による品質向上
  • 作業負担の軽減と安全性向上
  • 人材不足リスクの低減

製造現場の課題解決に直結する実用的な活用例といえます。

飲食業での配膳ロボット活用

飲食業では、慢性的な人手不足やピーク時間帯の業務負担が大きな課題となっています。 省力化投資補助金(カタログ型)を活用することで、配膳ロボットを導入し、スタッフの移動時間を削減しながら、接客品質の向上を図ることができます。 ロボットが配膳・下げ膳を担うことで、従業員は注文対応や顧客サービスに集中でき、回転率の向上にもつながります。 導入による主な効果は、以下の通りです。

  • 配膳・下げ膳の省人化
  • 従業員の負担軽減と離職防止
  • 接客品質の向上
  • 混雑時の回転率アップ

飲食店の現場改善に直結する、実用性の高い活用例といえます。

卸売業でのAI検査システム導入

卸売業では、入荷商品の検品作業に多くの人手と時間がかかり、繁忙期にはミスや遅延が発生しやすいという課題があります。

省力化投資補助金(カタログ型)を活用してAI検査システムを導入することで、画像認識による自動検品や不良品の自動判定が可能となり、作業のスピードと精度が大幅に向上します。

人手に依存していた検品工程を効率化することで、在庫管理の精度向上や出荷リードタイムの短縮にもつながります。

導入による主な効果は、以下の通りです。

  • 検品作業の自動化・省人化
  • 不良品検出の精度向上
  • 在庫管理の効率化
  • 出荷遅延リスクの低減

卸売業の業務効率化に直結する、実用性の高い導入例といえます。

まとめ:中小企業の未来を支える省力化投資補助金

省力化投資補助金(カタログ型)は、人手不足が深刻化する中小企業にとって、生産性向上と賃上げの両立を後押しする重要な支援策です。

カタログから設備を選ぶだけで申請できる手軽さに加え導入効果が明確な省力化設備を対象としているため、現場の負担軽減や品質向上に直結しやすい点が大きな魅力となっています。

また、賃上げ要件を満たすことで上限額が引き上がるなど、積極的な人材投資を促す仕組みも整っています。

製造業・飲食業・卸売業など幅広い業種で活用が進む本制度を上手に取り入れることで、企業の持続的な成長と働きやすい環境づくりが期待できます。

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