2025年11月26日
目次
早期経営改善計画策定支援とは
「早期経営改善計画策定支援」は、2017年から実施されている国の補助制度で、資金繰りに不安を抱える中小企業・小規模事業者が、赤字や倒産に陥る前に専門家と共に改善計画を策定できる仕組みです。費用の2/3を国が補助する点が大きな特徴となっています。
今年度(2025年度)は4月から募集が始まっており、来年度(2026年度)も春先に公募開始が予定されています。早めの相談と行動が、企業の未来を守る第一歩となります。
なお、2025年4月からは「早期経営改善計画策定支援」の通称を、「バリューアップ支援事業(Vアップ事業)」としています。
赤字や倒産に至る前に「早期」の対策を
企業が赤字や債務超過に陥ってからでは、金融機関との関係修復や資金繰り改善に多大な時間とコストがかかります。そこで中小企業庁は、倒産を未然に防ぐため「早期経営改善計画策定支援(通称:バリューアップ支援事業)」を2017年から実施しています。
この制度は、資金繰りに不安を感じた段階で専門家と共に経営改善計画を策定し、キャッシュフローの見える化や課題整理を行うことで、早期に経営改善へとつなげる仕組みです。国が費用の2/3を補助するため、企業は低負担で専門家の知見を活用できます。
計画は金融機関との円滑な対話にも役立ち、信頼関係を維持しながら事業継続を支える効果があります。
対象となるのはどんな企業?
「早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)」の対象は、すでに深刻な赤字や債務超過に陥った企業ではなく、資金繰りに不安を感じ始めた中小企業・小規模事業者です。業種や規模を問わず幅広く利用でき、金融機関との関係を維持しながら経営改善を進めたい企業に適しています。
例えば「売上はあるが資金繰りが厳しい」「返済計画を見直したい」といった状況で活用でき、専門家と共にキャッシュフローを整理し、改善計画を策定することで倒産リスクを未然に防ぐことが可能です。
制度の背景と国の狙い
「早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)」は、中小企業の倒産を未然に防ぐために2017年から始まった国の施策です。
資金繰り悪化を放置した結果、経営危機に陥る企業が多くなったという背景があり、未然防止・早期改善を課題としています。
赤字や債務超過に至る前の段階で改善計画を立てることで、金融機関との信頼関係を維持し、事業継続を支える狙いがあります。
主な国の狙いは以下の通りです。
- 倒産の未然防止:早期に課題を把握し、改善策を実行する
- 金融機関との円滑な対話:計画書を通じて信頼性を高める
- 専門家活用の促進:認定支援機関の知見を低コストで導入
専門家の支援を低コストで受けられる仕組み
「早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)」の最大の特徴は、専門家の支援を低コストで受けられる点です。税理士や中小企業診断士などの認定支援機関が企業と二人三脚で計画策定を行い、その費用の2/3を国が補助します。自己負担を抑えつつ、専門的な知見を活用できるため、資金繰りに不安を抱える企業にとって大きなメリットとなります。
- 認定支援機関の専門的サポートを受けられる
- 費用の2/3を国が補助(上限あり)
- 低負担で質の高い改善計画を策定可能
認定支援機関とは?
「認定支援機関」とは、中小企業経営力強化支援法に基づき国が認定した専門家や団体のことを指します。税理士・公認会計士・中小企業診断士のほか、商工会・商工会議所、金融機関などが含まれ、企業が安心して経営相談を受けられる公的な支援窓口として位置づけられています。
早期経営改善計画策定支援では、こうした認定支援機関が企業と二人三脚で資金繰りや経営課題を整理し、改善計画の策定をサポートします。さらに、計画策定後も伴走支援(モニタリング)を行い、実行状況の確認や金融機関への報告を支援する役割も担います。
つまり認定支援機関は、単なる相談相手ではなく、企業の経営改善を継続的に支える「伴走者」として重要な存在です。
費用の2/3を国が補助
「早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)」の大きな特徴は、専門家に依頼する費用の一部を国が補助してくれる点です。
通常、税理士や中小企業診断士などに経営改善計画の策定を依頼すると数十万円単位の費用が発生しますが、この制度を利用すればその2/3を国が負担してくれます(上限あり)。
企業は自己負担を抑えながら、専門的な知見を活用できるため、資金繰りに不安を抱える中小企業にとって大きなメリットとなります。
- 補助率:費用の3分の2以内
- 上限:一定額まで国が負担
- 対象費用:認定支援機関による計画策定支援にかかる費用
この仕組みにより、企業は低コストで専門家の伴走支援を受けられ、倒産リスクを未然に防ぐための計画策定が可能になります。
補助を受けるための条件とは
「早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)」で国の補助を受けるためには、いくつかの条件があります。
まず、認定支援機関(税理士・中小企業診断士・金融機関など)と連携して計画を策定することが必須です。企業単独での申請は認められていません。
また、対象は資金繰りに不安を抱える中小企業・小規模事業者で、すでに深刻な赤字や債務超過に陥っている場合は対象外となります。
さらに、計画の内容が金融機関との対話や経営改善に資するものであることが求められます。
主な条件は以下となります。
- 認定支援機関と共同で計画を策定すること
- 資金繰りに不安を抱える中小企業・小規模事業者であること
- 計画内容が金融機関との対話や改善に資すること
- 国が定める申請様式・手続きに従うこと
申請から活用までの手順
「早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)」を活用するには、申請から計画策定、金融機関への提出、そしてフォローアップまで一連の流れがあります。
企業は認定支援機関と連携しながら、資金繰りの課題を整理し、改善計画を具体化していきます。申請手続きは専門家がサポートするため、複雑な事務作業を単独で抱える必要はありません。
以下では、相談からフォローアップまでの流れや計画策定の内容、申請方法のステップ、専門家との役割分担について詳しく解説します。
相談からフォローアップまでの流れ
「早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)」は、申請から計画策定、金融機関への提出、そしてフォローアップまで一連の流れで進みます。
まずは認定支援機関に相談し、資金繰りの課題を整理。次に申請を行い、専門家と共同で改善計画を策定します。なお、申請は企業単独で行うのではなく、必ず認定支援機関と連携して行う仕組みになっています。
その後、金融機関へ提出して対話を行い、計画実行後はフォローアップ(モニタリング)で進捗を確認します。

計画は「作って終わり」ではなく、継続的な伴走支援によって改善を定着させることが重要です。
「早期経営改善計画策定支援」問い合わせ先(中小企業庁公式)
中小企業庁 事業環境部 金融課
電話:03-3501-1511(内線 5271)
FAX:03-3501-6861
担当者:遠藤、上田、本田
計画策定で行うこと
「早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)」では、単なる資金繰りの見直しにとどまらず、企業の現状を整理し、将来に向けた行動計画を具体化することが求められます。
まずはキャッシュフローを正確に把握し、課題を洗い出します。そのうえで、改善目標を設定し、実行可能なアクションプランを策定します。さらに、金融機関との円滑な対話を行うための資料作成も重要なステップです。
これらを認定支援機関と共同で進めることで、計画の実効性が高まり、倒産リスクを未然に防ぐ効果が期待できます。
▼計画策定で行う主な内容
- 資金繰り実態の把握(キャッシュフロー分析)
- 経営課題の整理と改善目標の設定
- 実行可能なアクションプランの作成
- 金融機関との対話資料の整備
申請方法の具体的なステップ
「早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)」の申請は、企業単独ではなく認定支援機関を通じて行うのが原則です。
申請に必要な書類やステップは以下の通りです。
ステップ1:認定支援機関へ相談
制度利用の適格性を確認し、支援内容を打ち合わせ。
ステップ2:必要書類の準備
●申請書(事業者情報・利用目的を記載)
●経営改善計画書(資金繰り計画、損益計画、アクションプラン)
●ビジネスモデル俯瞰図(収益構造や商流の見える化)
●損益計画・資金繰表(過去実績と将来計画)
●取引金融機関への提出用資料・受取書
ステップ3:認定支援機関を通じて申請
中小企業活性化協議会や金融機関経由で提出。
ステップ4:審査・受理
書類が受理されると、補助対象として認定。
ステップ5:計画策定開始
専門家と共同で詳細な改善計画を作成。
詳細な様式や最新の申請手順は中小企業庁公式サイト「早期経営改善計画策定支援」をご参照ください。
専門家との役割分担
「早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)」では、企業と専門家が明確に役割を分担しながら進めることが重要です。
企業は自社の現状や課題を率直に共有し、改善に向けた意思決定を行います。一方、認定支援機関である税理士や中小企業診断士などの専門家は、資金繰りや経営課題を分析し、改善計画の策定をサポートします。さらに金融機関との対話資料の整備やモニタリング支援も担い、計画の実効性を高めます。
このように役割を整理することで、企業は安心して制度を活用でき、改善の定着につながります。
| 役割 | 企業 | 専門家(認定支援機関) |
|---|---|---|
| 現状把握 | 経営状況・課題を共有 | 財務分析・課題抽出 |
| 計画策定 | 改善目標を決定 | 計画書作成支援・資金繰表作成 |
| 金融機関対応 | 提出・説明 | 対話資料の整備・助言 |
| 実行・改善 | 行動計画の実施 | モニタリング・伴走支援 |
計画は「作って終わり」ではない
経営改善計画は、単に「作成して提出すれば終わり」というものではありません。実際の効果を生むには、計画に沿った行動を継続し、定期的に進捗を確認することが不可欠です。
金融機関との対話や認定支援機関によるモニタリングを通じて、計画の実行状況を見直し、必要に応じて修正を加えることで改善が定着します。つまり、この制度は「伴走型支援」として、企業が持続的に経営を立て直すための仕組みなのです。
モニタリングの重要性
経営改善計画は、策定しただけでは効果を発揮しません。実行後に定期的なモニタリングを行い、進捗を確認しながら必要に応じて修正を加えることが重要です。
モニタリングでは、資金繰りや売上の実績を計画と照らし合わせ、改善が進んでいるかを客観的に評価します。認定支援機関が伴走し、金融機関への報告資料を整備することで、信頼関係を維持しつつ改善を定着させることができます。
つまり、モニタリングは「計画を実行に移し、成果を持続させるための仕組み」であり、企業が倒産リスクを未然に防ぎ、持続的な成長へとつなげるための鍵となります。
継続的な支援で経営改善を定着させる
経営改善計画は、策定した直後よりもその後の継続的な支援によって効果が定着します。
認定支援機関は、計画実行後も定期的に企業をフォローアップし、資金繰りや売上の進捗を確認しながら必要な修正を加えます。金融機関への報告や対話を支援することで、信頼関係を維持しつつ改善を持続させることが可能です。
企業にとっては「伴走者」がいることで、改善の取り組みを途中で止めずに続けられる安心感が生まれます。つまり、この制度は単なる計画策定支援ではなく、継続的な伴走支援を通じて経営改善を定着させ、倒産リスクを未然に防ぐ仕組みなのです。
まとめ:早めの相談と行動が、企業の未来を守るカギ
「早期経営改善計画策定支援」制度は、資金繰りに不安を抱える中小企業が、倒産に至る前に改善の道筋を描くための仕組みです。
認定支援機関の専門的なサポートを低コストで受けられるうえ、金融機関との信頼関係を維持しながら事業継続を図ることができます。
重要なのは「早めの相談と行動」です。課題を先送りせず、専門家と共に改善計画を策定・実行し、継続的なモニタリングで定着させることが、企業の未来を守る最大のカギとなります。
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