「ゼロゼロ融資」返済ピークはもうすぐ!
「ゾンビ企業」は生き残れるか?

2023年02月01日

「ゼロゼロ融資」返済ピークはもうすぐ!「ゾンビ企業」は生き残れるか?

1990年代初頭バブルが崩壊した後、1990年代後半には金融機関の不良債権問題が多くの企業にのしかかってきました。その頃から、実質破綻状態なのになんとか事業を続けている企業は「ゾンビ企業」と呼ばれるようになっています。

それから四半世紀が経っていますが、このゾンビ企業は増えることはあれ、劇的に減ることはありません。2023年7月~2024年4月にピークとなる「ゼロゼロ融資」の返済を迎えてゾンビ企業は生き残れるのでしょうか。一度ゾンビ企業になったら、もう復活は不可能なのでしょうか。本コラムは現状を分析しながら、その解決策を提案していきます。

全企業の1割強!増え続けるゾンビ企業

現在、日本におけるゾンビ企業の割合は12.9%。全企業の1割強がゾンビ企業に該当するのです。

リーマン・ショックに襲われた2008年9月以降、ゾンビ企業の比率は上昇していました。しかし2011年の19.8%をピークにして徐々に低下。2016年には9.9%にまで下降したのですが、2020年に発生したコロナ禍を境にふたたび上昇。2020年には11.4%、そして2021年には12.9%を記録しました。1年間で前年より1.5ポイント上昇したことになります。

2021年度のゾンビ企業数は推定で18.8万社にのぼっています。2020年度の推定16.6万社から大幅に増加していることになります。この数値は、ゼロゼロ融資が返済ピークを迎えたときにはさらに上昇するのでしょうか。

ゾンビ企業率の推移

「ゾンビ企業」の推計

(出典:帝国データバンク 「ゾンビ企業」は約 18.8 万社、前年度から一段の増加 

ゾンビ企業とは?

ゾンビ企業とは1990年代後半から経済学者やメディアなどに使われていました。しかしそのネーミングが一般化し広く知られるようになったのはリーマン・ショックが発生した2008年のことだといわれています。

ゾンビ企業の定義

ゾンビ企業とは、健全な経営状況ではなく実質破綻状態を迎えていて市場から退出すべき状態のまま生きながらえている状態のことです。このような状態に陥っていても、銀行などの金融機関から資金的な援助を受けて存続状態を続けているのがゾンビ企業なのです。

BIS(国際決済銀行)の基準に準拠すると、以下のような算出方法で具体的に表すことができます。

企業の債務返済能力を測る指標であるインタレスト・カバレッジ・レシオ)が3年連続で1未満となっている設立10年以上の企業がゾンビ企業に該当します。

簡単にいえば、その企業が本業で稼いだ利益を示す営業利益、企業の収入に含まれる受取利息や受取配当金よりも、支払う利息のほうが入ってくる金額よりも多い状況が3年以上続いている設立10年以上の企業であればゾンビ企業だというわけです。

ゾンビ企業が生まれる背景

ゾンビ企業が生まれる背景には、バブル崩壊によって生まれた不良債権処理を先送りするために、銀行などの金融機関が再建の見込みがないゼネコン企業などに対して行った「追い貸し」などが挙げられます。このような銀行界と一部の産業界が一体となり、問題先送りをすることで生まれたのです。

その後、逆に銀行から企業に対して「貸し渋り」や「貸し剥がし」が行われるようになりました。そこで資金繰りが悪化する企業が増加しましたが、それに対して1998年から政府が中小企業金融安定化特別保証制度を創設しています。

さらにリーマン・ショックの発生後には、不況を背景として借入条件の緩和や返済に一定の猶予期間を与える中小企業金融円滑化法が2009年に制定されることになりました。

その後も様々な中小企業支援策など、政府による手厚い救済措置が行われています。極めつけは、2020年から実施されたコロナ禍により売り上げが減った企業に対して実質無利子・無担保で融資するゼロゼロ融資です。

このように、日本では手厚い中小企業政策が続いたことで、本来なら倒産するはずの企業でもが延命できてしまう状況が続いてしまいました。

当然ながら儲からない企業がいつまでも存続していることは日本経済全体の足かせとなっており、バブル後の不況が長引く原因の一因にもなっています。

ゾンビ企業のリアル

実際のゾンビ企業はどのような業種や地域に多いのでしょうか。帝国データバンクが2022年8月に実施し1万1,935社から回答があった「新型コロナ関連融資に関する企業」に対する調査結果をもとに紐解いてみます。

業種トップは「小売り」、2位は「運輸・通信」

業種別に生存企業に対するゾンビ企業の内訳を見てみると、トップは「小売り」で2位は「運輸・通信」でした。コロナ禍における緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の実施によって、売上げ減少を受けた業種ほど、ゾンビ企業の比率も多くなっています。

業種別ゾンビ企業率(2021年度)

中小企業が多い

従業員数別に見てみると「5名以下」が 18.4%でトップです。次いで「6~20名」が14.4%であり、従業員20人以下の企業のゾンビ企業率が平均の12.9%を上回っています。すなわち、ゾンビ企業の比率は中小企業が多いということになります。

20名以上へと従業員数が増加していくのと共に、ゾンビ企業率は低下しています。ただし、いったんゾンビ企業になってしまってから、そこから復活する可能性は大企業よりも中小企業のほうが多くなっています。

その理由としては、企業規模が小さくなればなるほど経営の変動幅が大きくなるからと考えられます。

従業員数別ゾンビ企業率(2021年度)

地域は「東北」「中国」「九州」

地域別で見ていくと、ゾンビ企業率が多いのは「東北」が最大で17.8%。続いて「中国」が15.3%、「九州」が14.9%と上位になっています。

「東北」のゾンビ企業率が多いのは東日本大震災が理由に挙げられます。東日本大震災からの復興に際して資金繰り支援策や返済猶予措置などが行われていました。そのために他の地域と比較して借入負担が増加しており、それにコロナ禍が追い打ちをかけたと見られています。

地域別ゾンビ企業率(2021年度)

老舗企業のほうが多い

企業年数から見ていくと、設立から年数が浅い企業よりも設立年数が40年以上と長い老舗企業のほうがゾンビ企業率は高くなっています。

その理由はこのように考えられます。設立年数が浅い若い企業はゾンビ企業化する前に市場から退出していくことが多くなっています。それに対し老舗企業は、取引先の金融機関がその企業を倒産させずに延命していくための措置を続けていくことで、ゾンビ企業化していくことが多くなっていると考えられます。

コロナ禍に倒産したゾンビ企業

ゾンビ企業と化していた企業がコロナ禍において倒産してしまった例を見ていきましょう。

太陽光発電事業「アンフィニ」

太陽光パネルの製造販売や太陽光発電事業、小売電気事業、売電事業など手掛けていたアンフィニは、2022年5月10日に東京地方裁判所から破産手続き開始の決定を受けました。

帝国データバンクの調査によると、2017年3月期には年間売上高約165億9,700万円を計上しピークを迎えています。一時は株式上場も視野に入れていた同社ですが、2020年12月以降に発生した電力市場の高騰によって電力調達コストの負担が増加。赤字に陥ってしまったことで2021年9月30日に東京地裁に対して民事再生法の適用を申請していました。そこで太陽光パネル製造事業のスポンサー企業を探していましたが見つけることができず、再建を断念したのです。

建築資材製造「タストン・リサイクル」

馬毛島問題で話題となった立石建設の関係会社であるタストン・リサイクルは、2022年1月24日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けています。

同社は、立石建設の建設資材部門を分離独立して1968年に設立しています。自社やグループ企業で採掘した砂利、砂など建設用骨材卸として、東京都内を主な商圏として営業。建て替えや東京五輪需要などによって売上げを増加させていました。このように、砂利、再生砕石の販売が伸長したことで2017年8月期の年売上高は約10億8,900万円を計上するまでになっていましたが、その後は砂利、再生砕石販売量が減少し減収傾向となっていました。

さらに取引先からの借入金の返済負担が重くのし掛かっていたほか、2019年1月には東京都労働局より労働安全衛生法違反で送検されていました。

2020年以降はコロナ禍による需要低迷により2021年8月期の年売上高は約8億4,800万円と低迷。取引先に対する支払いが滞るようになり、破産手続きへと至ったのです。

「土山印刷」

総合印刷業者である京都市南区の土山印刷と子会社のオカムラは、202年5月9日に京都地裁から民事再生手続き開始決定を受けています。

土山印刷は商業印刷を主体として美術書や写真集などの美術印刷などを行うことで地場有力企業の1つとして存在していました。しかし近年でh、同業他社との競合のほか、印刷業界のデジタル化への進展などの理由により、売上げも減少傾向で推移していたのです。

最近ではメディアミックスサービスを展開していた土山印刷。2020年以降のコロナ禍によってイベントの中止・延期などが相次ぎ、2期連続で大幅赤字を記録し債務超過へと転落していったのです。

その金融債務の返済負担が重荷となっていたことで、取引金融機関に対してはリスケ(リスケジュール:返済猶予)を要請していました。しかし過年度における粉飾決算が発覚したことで追加の金融支援が限定的となってしまい、自力再建を断念。2022年4月25日に民事再生手続きを申請するに至りました。

一度ゾンビ企業になったらアウトなのか?

一度ゾンビ企業になってしまったら市場から退場を余儀なくされるのでしょうか。

それに対する答えは、RIETI(独立行政法人経済産業研究所)のリサーチアソシエイトであり、成城大学社会イノベーション学部教授の後藤康雄氏は「日本の中小企業部門の効率性について-ゾンビ企業仮説と企業規模の視点から」というレポートで以下のように話しています。

「ゾンビ企業の経済パフォーマンスに関する発見です。具体的には、『中小企業階層でゾンビ企業と識別された企業は市場退出の確率が高まる』、『ゾンビ企業として退出すると、ゾンビではない状態で退出した企業に比べて企業内容が悪い状態で退出する』という結果です。しかし、ゾンビと識別された企業が必ずそれに当てはまるというわけではないことも分かりました。ゾンビとなった後に経済パフォーマンス改善がみられた企業も少なからず存在していたのです」

このように、ゾンビ企業が全て見込みのない企業だと認識してしまうのは正しくないといえます。

中小企業のほうが復活する可能性が高い

同レポートでは、中小企業のゾンビ企業ほうが大企業のゾンビ企業のほうが復活する可能性が高いと言っています。

その理由としては、大企業よりも企業年数が若く成長力を持つ中小企業のほうが幅広く変化が激しいタイプを含んでいることを挙げています。そのために一部の企業では状況の変化が激しく、ゾンビ企業から復活することも少なくないといえるのです。

また、中小企業のデータは大企業と比べて検証に使えるものが限られており、そのデータに基づいた判断の正確性が大企業よりも少ないためにゾンビ企業かどうかの識別が難しいことも理由の1つです。そこで個別に観察していくとゾンビ企業から復活していく可能性があるというのです。

企業再生のプロに相談しゾンビ企業からの脱却を

ゼロゼロ融資の借換保証の条件には「金融機関の伴走支援」があります。金融機関との対話を通して、自社経営状況の現状認識や今後のアクションプランを作成していく経営行動計画書を提出していくことが求められます。

このような金融機関からの支援を無駄にせず、活かしていくためにも事業再生の専門家に相談をしてみてはいかがでしょうか。

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