2026年01月29日
金利上昇が続くなか、中小企業の資金繰りに深刻な影響が広がっています。物価高や人件費の上昇に加え、借入金の利払い負担が増えたことで、利益を圧迫される企業が増加し、倒産件数はコロナ禍前の水準を上回る勢いです。
さらに、金融機関の融資姿勢は慎重さを増し、借換えや追加融資が思うように進まないケースも見られます。「金利のある世界」へと環境が変化する今、企業は財務の見直しと早期の対策が求められます。
本稿では、金利上昇がもたらす倒産リスクの実像と、事業再生の現場で必要となる視点を整理します。
目次
金利上昇が企業財務に与えるインパクトとは
金利の上昇は、企業の財務構造に直接的な負担をもたらします。特に借入依存度の高い中小企業では、政策金利や長短金利の上昇に伴い、利払い負担が増えやすく、営業利益を圧迫する要因となります。
日本経済は、日銀が2024年3月にマイナス金利政策を解除したことで、本格的に「金利のある世界」へ移行しました。
これまで続いた超低金利環境では問題化しなかった借入水準でも、金利が1%上昇するだけで資金繰りに大きな影響が生じます。物価高や人件費の上昇と重なるなか、財務体質の見直しが急務となっています。
中小企業を中心に広がる資金繰り悪化と倒産件数

出典:中小企業庁「中小企業を取り巻く環境変化について(2024年6月14日)」
金利上昇の影響は、中小企業の資金繰りに顕著に表れています。とくに借入依存度の高い企業では、利払い負担が急速に増加し、キャッシュフローを圧迫するケースが増えています。
中小企業庁の資料に掲載されたグラフでも、金利が1%上昇した場合の負担増が示されており、利益水準の低い企業ほど影響が大きいことが分かります。
こうした状況を背景に、倒産件数はコロナ禍前の水準を上回り、資金繰り悪化を理由とする案件が増加しています。金利上昇局面では、早期の財務改善が不可欠です。
金融機関の融資姿勢の変化と再生支援の現場で起きていること
金利上昇局面では、金融機関の融資姿勢にも変化が見られます。
日本銀行「短観」では、中小企業の資金繰り判断DI(企業が「資金繰り(現金収支)が楽か苦しいか」をアンケート調査し、その結果を数値化した指標)が2024年以降悪化に転換。金利上昇やコスト増を背景に資金繰りが厳しくなる企業が増えていることが示されています。
こうした状況を受け、金融機関は返済能力の見極めをより重視し、借換えや追加融資の審査が慎重になる傾向が強まっています。一方で、事業性評価に基づく再生支援の動きも広がり、早期相談によって改善策を講じるケースが増えています。
現場では次のような事例が見られます。
- 返済条件の変更(リスケ)を前提に、事業計画の再構築を支援
- 金利上昇で利益が圧迫され、借換審査が通らず資金繰りが悪化
- 追加融資の条件として、在庫圧縮や不採算事業の整理を求められる
- 早期相談により、金融機関と複数年の改善計画を策定し再生に成功
企業が今すぐ取り組むべき資金繰り改善と再生の選択肢
金利上昇が続くなか、企業には早期の資金繰り改善が求められます。まず、利払い負担の増加を踏まえたキャッシュフローの再点検が不可欠であり、借換えや返済条件の変更など、金融機関との協議を早めに進めることが重要です。
また、不採算事業の整理や在庫圧縮など、利益改善に直結する施策を同時に検討する必要があります。 政府も金利上昇を踏まえた支援策を拡充しており、適切に活用することで資金繰りの安定につなげることができます。主な支援策は次のとおりです。
中小企業庁・信用保証制度(保証料の補助・借換支援)
○ 金利上昇や物価高に直面する中小企業の負担を軽減するため、国が保証料を一部補助する制度が新設・拡充されています。
日本政策金融公庫による低利融資
○ 政府系金融機関による「特別利率」の適用により、民間銀行の金利上昇分をカバーまたは抑制できる融資制度です。
収益力強化・コスト削減のための補助金
○ 「金利を支払う力(稼ぐ力)」を根本から強化するための支援策です。
よろず支援拠点
○ 全国47都道府県に設置されている無料の経営相談所。資金繰り改善のアドバイスを受けられます。
中小企業活性化協議会
○ 借入金の返済負担が重い企業に対し、金融機関との調整(リスケジュール等)を支援します。
認定経営革新等支援機関 検索システム
○ 「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」は、中小企業支援に関する専門知識があると国(経済産業省・財務省)が認定した税理士、会計士、弁護士、コンサルタントです。
ミラサポplus「支援者・支援機関を探す」
○ 経済産業省・中小企業庁が運営する、中小企業向け補助金・支援策の総合ポータルサイトです。
まとめ:金利上昇時代の「倒産を防ぐ経営判断」とは
金利上昇が続く現在の経営環境では、従来の延長線上の資金繰り管理だけではリスクに対応しきれなくなっています。利払い負担の増加や金融機関の審査姿勢の変化は、企業のキャッシュフローに直接影響し、資金繰り悪化から倒産に至るケースも増えています。
こうした状況で重要となるのは、早期に財務状況を可視化し、改善策を講じる「先手の経営判断」です。借換えや返済条件の見直し、事業の選択と集中など、実行可能な対策は多岐にわたります。また、行政の支援策や専門家の助言を活用することで、再生の選択肢は大きく広がります。
金利のある世界に移行した今こそ、早めの行動が企業の持続性を左右します。
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