協調支援型特別保証とは?資金繰りに悩む経営者が知るべき新制度を解説

2025年10月30日

「コロナ禍の影響が長引き、売上がなかなか回復しない…」
「新たな事業展開を考えたいが、追加融資の審査が厳しい…」

現在、このような資金繰りの悩みを抱える経営者の方は少なくないでしょう。そんな苦しい状況を乗り越えるための一つの選択肢として、「協調支援型特別保証」という制度があるのをご存知でしょうか?

これは、単にお金を借りるだけの従来の融資とは一線を画す、金融機関と一体となって事業再生を目指す新しい形の保証制度です。本記事では、この協調支援型特別保証がどのような制度なのか、その目的やメリット、利用条件について、誰にでもわかるようにやさしく解説します。

協調支援型特別保証とは?目的と概要

協調支援型特別保証制度は、新型コロナウイルス感染症の影響などで厳しい経営状況にある中小企業を支えるために作られました。その最大の目的は、金融機関による継続的なサポート(伴走支援)を条件に、信用保証協会が保証を行い、事業者の資金繰りを円滑にすることです。

これまで、「融資は受けられたものの、その後の具体的な経営改善まで相談できなかった」という経験はありませんか?この制度では、金融機関が融資を行うだけでなく、経営者と一緒になって経営改善計画を策定し、計画が軌道に乗るまで継続的にサポートしてくれるのが大きな特徴です。

つまり、事業者・金融機関・信用保証協会の三者が協力し、一体となって事業の再生を目指す、まさに「協調支援型」の制度なのです。

  1. 参照情報
    本制度は、中小企業庁が管轄し、各都道府県の信用保証協会が窓口となっています。正式な情報については、お近くの信用保証協会のウェブサイトをご確認ください。
    参考:東京信用保証協会「協調支援型特別保証制度の創設について」

ただの融資じゃない!協調支援型特別保証の3つの大きなメリット

この制度が従来の融資とどう違うのか、経営者にとっての具体的なメリットを3つのポイントに絞ってご紹介します。

1. 金融機関との「二人三脚」で経営改善に取り組める

最大のメリットは、孤独な戦いになりがちな経営改善を、金融のプロである金融機関と二人三脚で進められる点です。自社の現状を客観的に分析し、実現可能な経営行動計画を一緒に策定してくれます。融資後も定期的なモニタリングを通じて、計画の進捗確認やアドバイスをもらえるため、着実に事業を立て直すことができます。

2. 経営者の負担を大幅に軽減する保証料

通常、信用保証協会を利用する際には所定の保証料が必要ですが、この制度では保証料が大幅に引き下げられます(例:0.2%程度)。これは、国からの補助があるためです。資金繰りが厳しい状況において、少しでもコストを抑えられるのは非常に大きなメリットと言えるでしょう。

3. 事業再生に集中できる長期の返済条件

保証期間は最長10年、うち返済を猶予できる据置期間は運転資金1年以内、設備資金および運転設備資金3年以内と、長期の返済条件が設定されています。これにより、目先の返済に追われることなく、中長期的な視点でじっくりと事業の再生に集中する時間を確保できます。

あなたは対象?利用条件をチェック

この制度を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。 重要な点として、従来のコロナ関連保証(セーフティネット保証など)で見られた「売上高がXX%減少」といった数値要件は、この制度の直接的な条件ではありません。 主な条件は、以下のいずれかのパターンに該当することです。

  • プロパー融資を同時に受けること(プロパー併用型)
    信用保証協会の保証付き融資と同時に、その融資額の1割以上を、金融機関独自の融資(プロパー融資)として受けることが求められます。これは、金融機関もリスクを分担して支援するという意思表示にもなります。
  • 経営行動計画を策定し、実行すること(伴走支援型)
    金融機関の支援(まさに「伴走支援」です)を受けながら、自社の経営課題の分析や具体的な改善策を盛り込んだ「経営行動計画」を策定する必要があります。 (この場合、融資後も計画の進捗状況を金融機関へ定期的に報告し、継続的なサポートを受けることが前提となります。)

詳細な条件は地域や金融機関によって異なる場合がありますので、まずは取引のある金融機関に相談してみることをお勧めします。

制度の具体的な内容(保証限度額・期間など)

制度の主な仕様は以下の通りです。

項目 内容
保証限度額 2億8,000万円 (組合等の場合は4億8,000万円)
保証期間 10年以内
据置期間 5年以内
保証料率 0.2% ~ 1.15%(国の補助により大幅に軽減)
貸付利率 金融機関所定の利率
担保 必要となる場合がある

まとめ:一人で悩まず、まずは金融機関へ相談を

協調支援型特別保証は、単なる資金調達の手段ではありません。経営のパートナーである金融機関と共に、事業の未来を切り拓くための強力なサポート制度です。

もしあなたが今、資金繰りや事業の将来について一人で悩んでいるなら、この制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。最初の一歩は、いつも取引している銀行や信用金庫の担当者に「協調支援型特別保証について相談したい」と伝えることです。

この制度が、あなたの会社の再生に向けた確かな一歩となることを心から願っています。

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