
2025年03月27日
近年、税理士業界は競争が激化しています。「このままで将来大丈夫なのか……」と不安を感じられている税理士の方もいらっしゃるかもしれません。
税理士の方にとってコンサル、とりわけ事業再生コンサルタントという選択肢はとても魅力的です。これまで培ってきた税金に関する知識やクライアントワークの経験が、事業を再生へと導く場面で大いに活きるからです。
この記事では、税理士から事業再生コンサルタントへ転職する価値や方法について詳しくご紹介します。経験を武器にして新しい領域にチャレンジし、より可能性のある未来へ踏み出してみませんか?
目次
税理士から事業再生コンサルティングファームへの転職はありか、なしか
結論からいうと税理士から事業再生コンサルティングファームへの転職は大いにありです。新規税理士事務所や法人の増加、少子高齢化による関与先の減少によって税理士業界は競争が激しくなっています。加えてAI技術が発達し、将来的には多くの税理士業務がAIに置き換えられる可能性もあります。
事業再生コンサルディングには、数字を分析してクライアントの課題点を洗い出す、事業計画を作成する、債権者と折衝する、節税対策を立案・実行サポートするなど、税理士としての高度な専門性や経験を活かせる場面が数多くあります。クライアントの状況に合わせてこれらの企業再生や経営改善に関わる実務を担う必要があるため、AIでは代替しきれません。
コンサル業界未経験でも「大いにあり」
「コンサルは自分の知らない世界」「未経験でも大丈夫なのだろうか」というご不安もあるかもしれません。しかし、国家資格を持ち、さらに実務経験を積まれている税理士は、コンサル業界では非常に重宝されます。
特に事業再生コンサルタントの現場では、財務諸表の分析や企業の資金繰り、税務戦略のアドバイスなどが重要であり、ここに税理士の知識や経験がダイレクトに活きるのです。
コンサル未経験だからといって、尻込みする必要はまったくありません。むしろ「税務のプロフェッショナル」というブランドが転職時には武器になります。
税理士→事業再生コンサルのキャリアパスはとても現実的
実際、税理士資格をお持ちの方が事業再生コンサルへ転身されるというケースは少なくありません。企業の再生局面では、資金繰りや税務上の特例措置の検討、債権者との交渉など、さまざまな業務を行います。多角的な視点が求められ、そこに税理士ならではの切り口が加わると、より説得力のある再生プランが描けるからです。
コンサルタントに転身したとしても、税理士としてのキャリアを捨てる必要はありません。むしろ「税理士+コンサル」の知見が合わさることで、他のコンサルタントとの差別化が期待でき、本業の税理士業務においても強みが生まれます。むしろ、税理士法人・事務所のメニューに事業再生コンサルという領域をプラスすることで、税理士としてさらなるキャリアアップの可能性が大きく広がるでしょう。
転職の多い税理士業界
「税理士としてこの先のキャリアをどうしよう……」と悩まれていませんか?実際に、難関国家資格を保有しながらも、他業種へ転職される税理士の方も多いのです。ここでは、なぜ税理士業界に転職者が多いのか、その主な背景を見ていきましょう。
独立のほか、同業他社などへの転職組も多数
税理士が転職を考える場合、多くは独立開業か、同業他社(別の税理士法人や事務所)への転職が主流です。
一方で、実は税理士としての知識やスキルを存分に活かせるフィールドは、他にもたくさん存在します。そのひとつがコンサルの世界です。特に事業再生コンサルタントへの転職はまだまだ競合が少ないため、まさにブルーオーシャンといえます。安定的な顧問先があっても将来への不安があるのであれば、あるいは事業を拡大していきたいと思われているなら、視野を広げてみてはいかがでしょうか。
独立すれば年収1,000万円は手堅いと言われていたが
「税理士として独立開業すれば、年収1,000万円なんて当たり前」そんな時代もありました。しかし、近年では資格さえあれば高収入が自動的に得られる時代ではなくなってきています。高収入や安定というゴールを目指して税理士業界に入ったとしても、時代の変化に合わせてキャリアの方向修正を図ることが必要になってきているのです。
そこで注目されているのが、企業の未来を左右する事業再生コンサルタントというポジションです。「具体的にどうすればいいの?」という疑問を感じられている方のために、ここからは具体的な方法を見ていきましょう。
新卒で見習いとして業界入りし、苦労して資格を得ても現実は厳しい
税理士になるために多大な時間と労力をかけ築きあげてきたキャリアは、もちろん誇らしいものです。しかし、近年は新規参入の増加や業界全体の価格競争が進み、独立開業のリスクも大きくなっています。
苦労して税理士資格を取得して憧れの税理士事務所で働いてみた、あるいは独立開業したはいいものの、現実は顧問先獲得に四苦八苦、年収が想像よりも伸び悩むなど、厳しい一面を感じられている方も多いのではないでしょうか。もし、将来への不安があるのなら、転職を含めたキャリアチェンジを検討することは理にかなっています。
税理士の増加や価格競争の激化
税理士の数は増加の一途にあり、それにともなって税理士同士の価格競争が激化している現状があります。特に費用を抑えたい中小企業などは、新規参入の若手税理士を選びがちで、知識・経験豊富なベテラン税理士であっても安価なプランを提案せざるを得ないケースが増えているのです。
独立開業をしても、軌道に乗るまでには相当な営業力と時間を要します。「自分の力だけで経営していくのは厳しいかもしれない」と感じられているなら、早めに次の一手を打つ必要があるかもしれません。
AIや会計システムの発展で、将来に不安を感じる税理士も増加
税理士に限らず、多くの専門職においてAIやITシステムに一部業務を置き換えられる可能性があります。たとえば、クラウド会計ソフトの普及や、給与計算などの自動化システムの進化によって、記帳作業や事務作業の需要が縮小していくのは避けられないでしょう。
「まだ先の話」と楽観視する向きもありますが、技術進歩は思いのほか早いです。少しでも将来の不安を解消するためにも、AIに代替されにくいスキルを身につけることが急務です。その代表例のひとつが、企業経営への深い理解と戦略立案力が求められるコンサル領域なのです。
税理士が事業再生コンサルティングファームへ転職する強み
ここまでは税理士業界の現状や転職ニーズについてお伝えしてきました。ここからは、なぜ数あるコンサル職種の中でも事業再生コンサルタントがおすすめなのか、その理由を解説します。
税理士資格がある
税理士資格は、税法や会計における深い知識を持つことの証です。事業再生コンサルタントの現場では、クライアント企業の経営状況を財務的に分析したり、再建計画の策定時に税務面のアドバイスを行なったりする場面が多々あります。ここで、税理士が持つ専門性が非常に重宝されるのです。
また、税理士資格を有していることでクライアントからの信頼も得やすいというメリットがあります。財務や税務の専門家として、より深い切り口から解決策を提示できる点は、他のコンサルタントにはない大きな強みといえます。
税関連の業務経験があれば、ゼロからのスタートではない
「コンサルに挑戦してみたいけれど、自分には未経験の領域だからハードルが高いのでは?」と躊躇されている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、税理士として実際に企業や個人事業主の顧問業務をしてきた経験は、そのまま事業再生コンサルタントの現場でも活きてきます。
特に、税務申告書を読み解く、クライアントに助言するなどコミュニケーションをとる、財務諸表から問題点を抽出するといったスキルは、再生プランを組み立てるうえで欠かせません。税理士からの転職はゼロからのスタートではなく、むしろ適職ともいえるのです。
所属するコンサルファームによっては、経験を考慮した報酬も
さらに、税理士としての経験を評価してくれるコンサルファームも少なくありません。転職時に、面接や職務経歴書でしっかりと税理士としての実績や手がけた案件内容などをアピールできれば、給与テーブルにプラスアルファで加味してもらえる可能性も高いでしょう。
資格取得当初に期待していた高年収も、企業規模や案件の大きさ次第では現実的に目指せます。組織に属してノウハウを得ながら高収入を狙うのも良し、後に独立を見据えるのも良し、ご自身のキャリアビジョンに合わせて多様な道が開けています。
AIに代替されにくい業務で、将来的な安定が見込める
事業再生コンサルタントとは、企業が抱える多種多様な問題を対人コミュニケーションと高度な専門知識をもって解決する仕事です。財務状況に基づいて適切な再生プランを作り上げ、債権者やステークホルダーと粘り強く交渉するプロセスは、今のところAIが完全に代替するのは難しいといわれています。
ただし、AIを積極的に活用することで作業効率を上げる試みは、多くのコンサルファームで実施されています。税理士としての専門性を活かしながら、AIやITスキルも取り入れていくことで、さらに希少価値の高いコンサルタントを目指すことができます。
事業再生を希望する企業にとって、税知識のあるコンサルタントは強い味方
企業が債務超過などの厳しい状況に陥ったとき、資金繰りの問題だけでなく税務面のリスクも必ずといっていいほど浮上します。そうした局面で、税理士としてのスキルを持つコンサルタントがいることは、クライアントにとって大きな安心材料です。
「再生」に向けた施策を打ち出す上でも、損金の扱いや税金の繰り延べ、減資・増資などの選択肢を検討する必要が出てきますが、こうした場面で税理士の知見は強い武器となるでしょう。
さらに、事業再生コンサルタントのノウハウを習得することで、税理士業務を続けながらどんな企業からも求められる「最強コンサルタント」としての地位を築く、二足のわらじを履くことも十分に可能です。
「プロによる税相談」も喜ばれる
「前職が税理士です」「現役の税理士です」と伝えられるだけでも、クライアントは税に関する相談を気軽に持ちかけられます。専門性の高いアドバイスを提供できるため、クライアント満足度も大幅に向上するはずです。ビジネスの再生プランだけでなく、税相談も一括して依頼できるというのは、企業側から見ても大きなメリットとなります。
「税まわりの知識に長けた事業再生コンサルタント」として、将来は独立も
事業再生コンサルファームで実績を積めば、独立を視野に入れることも十分に可能です。税理士の国家資格とコンサルタントとしての知見を掛け合わせれば、独立後もクライアントを獲得しやすいでしょう。
また、事業再生だけでなく、M&Aや事業承継の支援などで税の専門家が求められるシーンが増えています。こうした分野は成長産業でもあるため、安定的な仕事量を確保しやすく、将来的なキャリア展望も非常に明るいといえます。
税理士と事業再生コンサルタントの違い
税理士が事業再生コンサルタントを目指す際には、両者の業務内容や特徴をしっかり理解しておくことが重要です。ここからは、税理士と事業再生コンサルタントれぞれの違いをわかりやすく整理してみましょう。
税理士は国家資格が必要、コンサルタントは資格不要
ご存じのように、税理士は国家試験に合格し、一定の実務経験を経てようやく名乗れる、税務のプロフェッショナルです。一方で、事業再生コンサルを含むコンサルタントは、資格がなくてもコンサルファームに所属すればその日から名乗ることができます。
税理士業務を行うためには税理士資格の取得が大前提ですが、コンサルタントは誰もが参入しやすい領域ともいえます。ただし、そのぶん競争も激しく、成果が出なければ評価されないという厳しさがあります。
コンサル業務に資格は要らないが、幅広い知識や経験が求められる
「税理士はなるまでが大変」に対し、「コンサルはなってからが大変」です。コンサルタントとして成果を上げるためには、経営理論や財務分析、コミュニケーション術など多岐にわたるスキルが求められます。
だからこそ税理士としての実務経験は大きなアドバンテージとなります。税や会計の専門性があることで、ほかのコンサルタントにはない視点からクライアントにアプローチできるのです。
税理士には独占業務がある(税務代理・税務書類作成・税務相談)
税理士には税務手続代行、税務書類作成、税務相談という独占業務が認められています。これらは有資格者でなければ行えない業務であり、税理士の大きな強みの一つです。
一方で、事業再生コンサルタントには独占業務がありません。それ故に参入はしやすい反面、強い専門性を持った競合も多いというのが現状です。しかし、税理士として独占業務を行なってきた経験は、事業再生コンサルタントの現場でも大きな価値を持ちます。
独占業務+コンサル業務を行なっていた税理士時代の経験は貴重
多くの税理士は、顧問先への税務アドバイスだけでなく、業績改善や経営相談といった“コンサルティング的”な業務も並行して行っています。こうした経験は、事業再生コンサルタントへ転職してからも大いに活かせます。
税務・会計だけでなく、融資支援や経営戦略の立案などの相談に乗った経験があれば、実質的にコンサルティングワークを積んできたも同然です。これこそが、税理士が転職市場で求められる人材である証といえます。
事業再生コンサルタントに必要なスキル
事業再生コンサルには独占業務こそないものの、多岐にわたるスキルが要求されます。ここからはどのようなスキルがあれば事業再生コンサルとして活躍できるのか、その概要を紹介します。
事業再生に関する知識
企業が経営破綻の危機に直面した際には、何を最優先事項とするのかという判断や、どんな再生スキームや法的手続きがあるのかといった事業再生特有の知識が求められます。たとえば民事再生手続き、会社更生手続き、私的整理など、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
税理士として得た財務・会計の知識をベースに、再生型M&Aや経営改善計画の策定なども学んでいく必要がありますが、現場に出ながら学ぶことも可能です。
コミュニケーション・対話能力
事業再生コンサルタントは、クライアントと密接にコミュニケーションを取りながら進行します。経営者や従業員だけでなく、金融機関や取引先など多岐にわたるステークホルダーとの対話力が求められるのです。
これまで税理士として多くの顧問先と接してきた経験は、このコミュニケーションにおいて大いに活かされます。クライアントが何に悩み、何を望んでいるのかを的確に汲み取り、最適解を導く力こそがコンサルタントの本質だからです。
分析力・論理的思考
クライアント企業を再生へ導くためには、現状把握(財務分析・組織分析)と論理的なアプローチによる課題解決が欠かせません。そのため、数字を読み解くスキルはもちろん、問題の本質を捉え、最適解を導く論理的思考力が求められます。
財務諸表の分析力は税理士の方にとっては得意分野ですが、そこに「経営戦略」の視点を加えることで、より説得力のある提案ができるようになります
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事業再生コンサルタントの役割と魅力を徹底解説
事業再生コンサルタントのキャリアパスを探る。成長のためのアプローチ
税理士から事業再生コンサルへの転職を成功させるポイント
税理士の資格・経験があれば、事業再生コンサルタントへの転職は十分に可能であることがお分かりいただけたかと思います。ここからは、実際に転職活動を進めるにあたり、どのような点を意識すればいいのか、そのポイントを解説します。
求めるスキルがあることをアピールする
採用企業が求めるのは、「事業再生コンサルタントとして活躍できる土台を持った人材」です。税理士資格や会計知識はもちろんのこと、コミュニケーション力や分析力、プロジェクトを推進するためのリーダーシップなどをアピールできると有利に働くでしょう。
応募要項をしっかりと確認し、ご自身の経験・スキルがどのように活かせるかを明確に示すことが大切です。
税理士資格とともに、個人の強みも明確にする
税理士という国家資格は大きな武器ですが、それに加えて「自身の強みは何か」もしっかり伝えることも重要です。たとえば、「クライアントの課題を深堀りするヒアリング力」「新規顧問獲得のための営業力」「ITシステムに強い」など、人によって得意分野は異なるはずです。
コンサル企業に「自分こそが求められる人材だ」ということを理解してもらうためにも、税理士資格+個人の強みをセットでアピールしましょう。それが転職成功の鍵となります。
【まとめ】事業再生コンサルタントとして転職し、明るい未来を切り拓こう
「税理士としての経験を活かしつつ、より企業の成長と再生に貢献したい」「クライアントにより高い価値を提供して事業を拡大させたい」という想いをお持ちでしたら、事業再生コンサルタントへの転職は非常に魅力的な選択肢です。財務分析を行い再生プランを立案し、多様なステークホルダーとの調整を行いながら企業を立て直すプロセスは、大きなやりがいと達成感をもたらしてくれるでしょう。
これまで税理士として培ってきた専門性と実務経験を、コンサルファームで存分に発揮してみませんか。AIに代替されにくい領域であり、これから先も安定需要が見込まれます。さらにスキルを高めれば、将来的に独立する道も開けるでしょう。
ご自身の可能性を広げるために、まずは一歩踏み出して転職活動をはじめてみましょう。具体的な求人や企業情報に興味がある方は、以下のサイトもぜひご参照ください。
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