小規模企業で深刻化する人手不足倒産|賃上げ疲れと退職リスクの連鎖 | 事業再生のリアル

小規模企業で深刻化する人手不足倒産|賃上げ疲れと退職リスクの連鎖

2026年02月26日

国内では労働力人口の減少が続き、厚生労働省の労働経済白書でも「全産業で人手不足感が高水準」と指摘されています。

こうした構造的な人材難が中小企業の経営を圧迫し、2025年の人手不足倒産は427件と過去最多を更新しました。

求人難や退職、人件費の上昇が重なり、企業は人材確保と賃上げの両立を迫られています。

人手不足倒産は427件で過去最多に

2025年の人手不足倒産は427件で、統計開始以来初めて400件超となりました。

東京商工リサーチ(TSR)の分析では、従業員10人未満の小規模企業が約8割を占め、慢性的な人手不足が経営に直結する構造が浮き彫りになっています。

帝国データバンク(TDB)の2026年1月調査でも、人件費の上昇や採用難を背景に「人手不足」関連倒産が前年同月比で大幅に増加しており、地域や業種を問わず影響が広がっています。

求人難・退職・人件費高騰が同時進行

東京商工リサーチによると、2025年は求人難や従業員退職を要因とする倒産が前年を上回り人件費の上昇による倒産も増加しました。

さらに2026年1月の速報では、「人件費高騰」を要因とする倒産が19件前年同月比で3.1倍に急増し、賃上げ負担が小規模企業の資金繰りを直撃しています。

帝国データバンクの調査でも、採用難と賃上げ負担が重なる企業ほど経営リスクが高まる傾向が示されており、人手不足が複合的に倒産要因へと転じつつあります。

倒産増加は建設・物流・サービス業で顕著

東京商工リサーチによると、2025年の人手不足倒産は建設業が113件初めて100件を超え物流業も52件過去最多を更新しました。

サービス業でも飲食・小売を中心に増加が続き、帝国データバンクの2026年1月調査では、これら労働集約型産業で「従業員退職」や「採用難」を要因とする倒産が前年同月比で増加しています。

人手不足が特定業種に集中して表面化している点が特徴です。

賃上げと人材確保の両立が課題に

賃上げの動きが広がる一方で、人材確保に悩む中小企業では、賃上げ負担が資金繰りを圧迫する状況が続いています。

東京商工リサーチや帝国データバンクの調査でも、賃上げと採用難が重なる企業ほど経営リスクが高まる傾向が明らかです。

こうした環境を踏まえ、経済産業省は「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「中小企業省力化投資補助金」などを通じ、生産性向上と人材確保の両立を支援する方針を強化しています。

まとめ:人手不足倒産に立ち向かう「人材戦略」の方向性

人手不足倒産が過去最多となる中で、企業が直面しているのは一時的な景気変動ではなく、構造的な労働力不足です。求人難・退職・人件費の上昇が重なり、特に建設・物流・サービス業など労働集約型産業で影響が顕著になっています。

こうした環境下では、賃上げと人材確保を同時に進めるための生産性向上が不可欠です。設備投資や業務の標準化IT活用多様な人材の受け入れなど、企業が選択できる手段は広がっています。

人手不足倒産の時代に求められるのは、短期の対症療法ではなく、持続可能な人材戦略の構築です。

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