会社を立て直したい経営者のための【事業再生はじめてガイド】

会社を立て直したい経営者のための【事業再生はじめてガイド】事業再生とは、経営の課題を見える化し、資金繰りや戦略を立て直すこと。つまり、会社のピンチをチャンスに変える取り組みです。会社が赤字に陥ったとき、ただ経費を削るだけでは根本的な解決にはなりません。

この記事では、赤字の原因分析から緊急対策、金融支援の活用まで、事業再生の基礎的な知識をどなたにもわかりやすく、図解やステップ形式で紹介します。

改めてふと「事業再生って何だろう?」「自社にとって、事業再生が必要になるのはどんなとき?」…そんな疑問が心に浮かんだら、ぜひこの記事をお読みください。

この記事で伝えたいこと

事業再生とは何か。また、赤字企業が倒産を回避し、事業再生へと踏み出すための具体的な対策と考え方がわかります。

  • 事業再生とは:赤字や資金難に陥った企業が、財務・業務・戦略を見直し、再建を目指す取り組み
  • 資金繰り表の作成:現金の流れを可視化し、資金ショートの予兆を把握
  • 費用の見直し:不要な支出を削減し、必要経費は確保する判断力
  • 金融支援の活用:リスケジュールや経営改善計画書で銀行との信頼構築
  • 財務3表の改善策:PL・BS・CFの視点で赤字要因を分析し、再建策を立案

事業再生とは?〜会社のピンチを立て直すしくみ~

事業再生とは?〜会社のピンチを立て直すしくみ~会社の経営がうまくいかず、収入より支出が多い「赤字」の状態が続くと、資金が足りなくなり倒産のリスクが高まります。こうした状況を立て直すための取り組みが「事業再生」です。

事業再生では、経営の課題を分析し、資金繰りや事業戦略を見直すことで、会社の再建を目指します。

赤字とは?会社の収支バランスが崩れた状態

「赤字」とは、会社の収入(売上)よりも支出(経費)が多く、利益が出ていない状態を指します。赤字が続くと、手元の資金が減り、借入金の返済や従業員への給与支払いが困難になり、最終的には倒産のリスクも高まります。

このような状態に陥る背景には、売上の減少やコスト管理の甘さ、経営判断の遅れなど、複数の要因が絡み合っています。

以下のフローチャートは、会社が赤字に陥る典型的な流れを示したものです。

事業再生=経営の「再設計」

事業再生とは、赤字の原因を分析し、会社の仕組みそのものを見直す「経営の再設計」です。単なる経費削減ではなく、売上構造・コスト管理・資金繰り・事業戦略などを総合的に再構築する必要があります。

再設計の際は、以下の3つの視点が重要です。

  • PL(損益計算書)対策:利益を生み出す仕組みの見直し
  • BS(貸借対照表)対策:資産と負債のバランス調整
  • CF(キャッシュフロー)対策:資金の流れを安定させる

これらを踏まえた改善計画を立てることで、金融機関からの支援も受けやすくなり、会社の再建に向けた第一歩となります。

なぜ会社は赤字に陥るのか?〜3つの主な原因~

なぜ会社は赤字に陥るのか?〜3つの主な原因~会社が赤字に陥る背景には、単一の原因ではなく複数の要因が絡み合っています。特に「売上の減少」「経費の増加」「経営判断の誤り」といった3つの視点から分析することで、問題の本質が見えてきます。

ここでは、それぞれの要因がどのように赤字を招くのかを具体的に解説し、事業再生の第一歩となる「原因の見える化」を進めていきます。

① 売上の減少(トップラインの低迷)

売上の減少は、赤字の最も根本的な原因のひとつです。特に中小企業では、外部環境の変化や内部の営業力不足が直撃しやすく、トップライン(売上高)の低迷が長期化しがちです。

主な要因は以下の4つに分類されます。

  • 市場の縮小・変化:顧客ニーズや業界構造の変化に対応できない
  • 競争力の低下:価格・品質・サービス面で他社に劣る
  • 営業・マーケティング不足:新規顧客の獲得や認知拡大が不十分
  • 主力商品への依存:売れ筋商品の不振が業績全体に直結

これらは単独で起こるのではなく、複合的に絡み合って売上減少を引き起こします。

② 経費の増大・高止まり(コスト管理の甘さ)

赤字のもう一つの大きな要因が「経費の増大・高止まり」です。売上が減っても、支出が変わらなければ利益は圧迫されます。

特に注意すべきは、以下の3つのコスト要因です。

  • 固定費の圧迫:家賃・人件費・リース料など、売上に関係なく発生する費用が重くのしかかる
  • 変動費の高騰:原材料費や外注費など、仕入れや生産にかかるコストが上昇
  • 放漫経営(ドンブリ勘定):費用の内訳や効果を把握せず、無駄な支出が続く状態

これらは積み重なるように経営を圧迫し、資金繰りを悪化させます。

③ 戦略・内部要因(マネジメントの問題)

赤字の背景には、経営戦略や社内体制に起因する「内部要因」も大きく関わっています。これらは外部からは見えにくく、社内でも気づきにくいため、改善が遅れやすいのが特徴です。

特に注意すべきは以下の3点です。

  • 変化への対応遅れ:市場や顧客ニーズの変化に気づかず、旧来のやり方を続けてしまう
  • 過大な投資の失敗:見込みの甘い設備投資や新規事業が資金を圧迫
  • 在庫管理の失敗:過剰在庫や欠品が利益を圧迫し、資金繰りを悪化させる

これらの問題は複雑に絡み合い、企業の体力をじわじわと奪っていきます。

赤字ストップの緊急処置を企業再生コンサルが伝授!

赤字ストップの緊急処置を企業再生コンサルが伝授!赤字が続くと、資金が底をつく前に「緊急処置」が必要です。

企業再生の現場では、まず現状を正確に把握し、即効性のある対策を講じることが最優先。資金繰り表の作成やコストの見直し、資産の現金化など、限られた時間と資源の中で何を守り、何を削るかの判断が問われます。

ここでは、企業再生コンサルの視点から、赤字ストップのために今すぐ実行すべき具体策をわかりやすく解説します。

現状把握の第一歩は「資金繰り表」の作成

赤字の立て直しには、まず「現状把握」が不可欠です。その第一歩が「資金繰り表」の作成。これは、会社の現金の出入りを時系列で整理し、資金ショートの予兆をつかむための表です。

損益計算書では見えない「手元資金の流れ」を可視化することで、支払いのタイミングや資金不足の月を事前に把握できます。

資金繰り表は、Excelや手書きでも始められ、以下のステップで作成できます。
① 銀行口座・現金残高を確認
  ↓
② 今月の入金予定(売上・借入など)を記入
  ↓
③ 今月の出金予定(仕入・給与・返済など)を記入
  ↓
④ 差引残高を算出
  ↓
⑤ 翌月以降も同様に記入し、資金不足月を予測

▼「資金繰り表」の例(簡易版見本)

※出典:日本政策金融公庫「資金繰り表(簡易版)様式」

余分な費用は徹底カット

赤字からの立て直しには、まず「出ていくお金」を見直すことが重要です。特に、効果が不明確な支出や、売上に直結しないコストは早急に見直す必要があります。

ただし、やみくもに削ると逆効果になることもあるため、「削ってよい費用」と「守るべき費用」を見極めることがカギです。

以下に、カット対象となりやすい費用の目安と具体例を示します。

判断の目安 具体例(カット対象になりやすい費用)
効果が不明確・費用対効果が低い 高額な広告費、成果の見えない外注費
売上に直結しない 社内イベント費、交際費、装飾・備品の過剰購入
利用頻度が低い 使われていないサブスクリプション、倉庫・車両の維持費

要注意!必要な経費は絶対確保

コスト削減は重要ですが、すべての経費を削ればよいわけではありません。

売上に直結する人件費や広告費、業務に不可欠なインフラ費用に加え、公租公課(税金・社会保険)や給与(従業員の士気維持)、手形決済(不渡り回避)*注などは、企業の信用や継続性に直結するため、絶対に確保すべき支出です。

資金繰りが厳しい時こそ、「何を守るか」を冷静に見極めることが、事業再生の土台となります。

*注:紙の約束手形・小切手は2026年度末で廃止され、電子記録債権(でんさい)やインターネットバンキングによる振込などへの移行が推奨されています。

資金流入の最大化(資産の現金化)

事業再生においては、資金流出の抑制だけでなく「資金流入の最大化」が重要です。まずは社内に眠る資産を洗い出し、現金化できるものを積極的に活用しましょう。

現金化の主な手段として、以下が挙げられます。

  • 在庫の換金処分:滞留在庫や型落ち品をセール・まとめ売りで現金化
  • 遊休資産の売却:使っていない設備・車両・不動産などを売却
  • 売掛金の早期回収:回収条件の見直しやファクタリングの活用

資金流入のフローは概ね以下となります。

金融支援の要請(リスケジュール)

金融支援の要請(リスケジュール)資金繰りが厳しくなったとき、金融機関に返済条件の見直しを相談する「リスケジュール」は、事業再生の重要な選択肢です。ただし、単なる返済猶予ではなく、経営改善の意思と計画が伴ってはじめて支援が得られます。

ここでは、リスケジュールの基本的なしくみや、銀行が支援を判断する際に重視するポイント、そして赤字の原因分析と改善策の立て方について、順を追って解説します。

リスケジュールとは?

「リスケジュール」とは、金融機関に対して借入金の返済条件(元金・利息の支払時期など)の見直しを申し出ることです。資金繰りが厳しい企業にとって、返済負担を一時的に軽減し、事業再生の時間を確保するための重要な手段です。

ただし、単なる返済猶予ではなく、金融機関の信頼を得るには「経営改善計画書」の提出が不可欠です。併せて、税金や社会保険料などの公租公課についても、所轄機関に「猶予申請」を行うことで資金流出を抑えることができます。

リスケ時に必要な対応例は以下の通りです。

  • 経営改善計画書の作成・提出
  • 公租公課の納付猶予申請(税務署・年金事務所など)
  • 収支見通し資金繰り表の整備

リスケジュールについての詳細はこちらの記事をご確認ください

赤字の原因を究明し、改善策を立てる

金融支援を受けるには、まず「赤字の原因」を明確にし、改善策を提示することが不可欠です。

売上減少・コスト増・戦略ミスなど、要因を洗い出し、排除すべきものは思い切って削減。場合によっては、採算の取れない事業から撤退し、別事業への転換も検討します。

改善策は3つの柱、つまり財務3表の視点で整理すると効果的です。

  • PL(損益計算書)対策:売上増・原価低減・利益率改善
  • BS(貸借対照表)対策:不良資産の整理・負債の見直し
  • CF(キャッシュフロー)計画:資金の流れを安定させる

これらを踏まえた改善計画が、金融機関との信頼構築につながります。

銀行が見ているポイントは?

銀行が支援を判断する際に重視するのは、「返済の見込みがあるかどうか」です。単なる赤字の有無ではなく、経営者の姿勢や改善計画の実現性、資金繰りの見通しなど、総合的な信頼性が問われます。

銀行が注目する主なポイントは以下の通りです。

視点 チェックされる内容
経営者の姿勢 再建への意欲・説明力・行動力
改善計画の内容 原因分析・実行可能性・数値根拠
財務状況 資金繰り表・PL/BSの整合性
公租公課の状況 税金・社会保険の滞納有無
取引姿勢 他行との対応状況・誠実さ

信頼を得るには、数字と行動の両面で「再建できる会社」であることを示す必要があります。

事業再生とは?に関するよくあるご質問にお答えします

Q赤字の企業は必ず倒産する?

Aいいえ、赤字だからといって必ず倒産するわけではありません赤字はあくまで「利益が出ていない状態」であり、すぐに資金が尽きるとは限りません。

倒産に直結するのは「資金ショート(現金不足)」です。たとえ赤字でも、資金繰りを確保し、改善策を講じれば再建は可能です。

重要なのは、早期に現状を把握し、金融機関や専門家と連携して立て直しに動くことです。赤字は「終わり」ではなく、「立て直しのサイン」と捉えましょう。

Q資金繰り表はどうやって作る?

A資金繰り表は、会社の「お金の出入り」を時系列で整理する表です。

作成の基本ステップは、①手元資金の確認②入金予定(売上・借入など)③出金予定(仕入・給与・税金など)を月別に記入し、④差引残高を算出すること。

Excelや手書きでも始められ、資金ショートの予測や資金調達の判断材料になります。まずは3ヶ月先までの見通しを立てるのが現実的です。

Q銀行は支援を決めるのに何を重視する?

A銀行が支援を判断する際に最も重視するのは、「返済の見込みがあるかどうか」です。具体的には、赤字の原因が明確で、改善策が現実的かつ実行可能であるか、そして経営者に再建への意欲と行動力があるかが問われます。

加えて、資金繰り表や経営改善計画書の整備状況税金や社会保険の滞納の有無なども重要な評価ポイントとなります。信頼回復には「数字」と「姿勢」の両方が必要です。

まとめ:事業再生とは、赤字の原因を見極め、会社のピンチをチャンスに変える施策

赤字に陥った企業が再生を目指すには、まず「原因の見極め」「現状把握」が不可欠です。売上減少・コスト増・戦略ミスなどの要因を整理し、資金繰り表の作成や費用の見直し資産の現金化など、即効性のある対策から着手します。

さらに、金融機関との信頼関係を築くためには、経営改善計画書の提出やリスケジュールの相談も重要です。

事業再生とは、単なる延命ではなく、会社のピンチを「変革のチャンス」と捉え、財務・戦略・組織の再構築を通じて持続可能な経営へと導くプロセスです。

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