
2025年04月24日
「弁護士として働いているけど将来が不安」「弁護士の資格を活かして他の仕事もしてみたい」と思われている弁護士の方は「事業再生コンサルタント」への転身を検討されてみてはいかがでしょうか?
事業再生コンサルタントとは、経営が行き詰まった企業を立て直し、経営者に伴走しながら持続的な成長へと導く専門家です。まさに企業の存続をかけた重要な局面で活躍し、コンサルティング業界の中でも花形の仕事といえます。
弁護士の法的知識や論理的思考力は、こうした事業再生コンサルの場面でダイレクトに活かせる可能性が高いのです。この記事では、弁護士から事業再生コンサルタントへキャリアチェンジするメリットや、成功に導くポイントを詳しく解説します。
目次
弁護士から事業再生コンサルタントへ転身するメリット
近年、弁護士からコンサルへのキャリアチェンジが注目を集めています。まずは、弁護士が事業再生コンサルタントとして転職するのがおすすめである理由やメリットをご紹介します。
キャリアチェンジで期待できるキャリアアップ
弁護士から転職を希望する理由としては、年収やワーク・ライフ・バランス、人間関係、業務内容の見直しなど、個々人によってさまざまです。ある調査では、弁護士の転職理由としてもっとも多かったのは「スキルアップとキャリアチェンジ」という結果も出ています。加えて、「年収や労働環境をより良くしたい」という声も多く、そうした背景から転職を検討される弁護士が増えてきているのです。
以下では、一般的な弁護士のキャリアパスと、コンサル業界、特に事業再生コンサルでのキャリアパスをざっくりと比較してみましょう。
弁護士事務所での一般的なキャリアパス
弁護士事務所に所属すると、通常はアソシエイトとしてスタートします。その後、シニアアソシエイトやジュニアパートナーなどの役職を経て、パートナー弁護士に昇格することが一般的です。
- 大手法律事務所では、パートナー昇格の目安が弁護士経験10年程度
- 中小法律事務所では、5年程度でパートナーに昇格するケースも
もちろん事務所の規模や、本人の実務経験、能力、営業力などによって、昇格や昇給の時期が変わります。また、ある程度(5年以上)実務経験を積んだタイミングで独立開業を目指す弁護士の方もいらっしゃいます。
事業再生コンサルでの一般的なキャリアパス
一方、コンサルティングファームでは多くの場合、アナリスト → コンサルタント → シニアコンサルタント → マネージャー → シニアマネージャー → ディレクター → パートナーというふうにステップアップしていきます。
成果を上げた人材は比較的短期間でマネージャーやパートナーに上りつめることもあり、実力主義の色が強いのが特徴です。法律事務所のように年次だけでなく「結果」や「スキル」で評価されるため、弁護士として培った論理的思考力や交渉力がダイレクトに評価される土壌が整っています。
事業再生コンサルタントになると収入アップが可能?
弁護士もコンサルも、一般的に高収入が期待できる職業として知られています。しかし、弁護士から事業再生コンサルタントに転職することで、今以上に年収アップは見込めるのでしょうか?ここからは、弁護士と事業再生コンサルの平均的な年収レンジを比較してみましょう。
弁護士の平均年収

弁護士の平均年収は、就業形態(法律事務所勤務、企業内弁護士、独立開業など)や経験年数、事務所の規模などによって異なります。一般的には1,000万円〜1,500万円程度と言われており、もちろん経営や営業力次第でそれ以上も狙えます。
コンサルの年収目安
コンサルタントの年収も、役職や経験、ファームの特徴によって大きく異なります。下記はあくまで目安ですが、500万円〜2,000万円以上と幅が広いのが特徴です。役職が上がるほど給与レンジが大きく跳ね上がり、パートナークラスになると、2,000万円以上を得ることも珍しくありません。
役職 | 経験年数 | 年間給与 | 年間賞与 |
---|---|---|---|
コンサルタント | 0~3年 | 500~700万円 | 固定給の10~20% |
シニアコンサルタント | 0~6年 | 700~900万円 | 固定給の10~20% |
マネージャー | 2~10年 | 900~1,400万円 | 固定給の10~20% |
シニアマネージャー | 5~15年 | 1,300~1,800万円 | 固定給の10~20% |
パートナー | 7年以上 | 2,000万円以上 | 業績次第 |
若手のうちは弁護士より低い年収となる可能性もありますが、成果と実力次第では急激に年収がアップするケースもあります。コンサルへの転職で年収アップを狙うなら、ぜひファーム選びやポジション選びにも注目してみましょう。
ワーク・ライフ・バランスも改善!
一般的に、弁護士はクライアント対応や訴訟準備、当番対応などで忙しく、ワーク・ライフ・バランスを保つのが難しい職業だといわれています。もちろん、コンサル業界もクライアントファーストで動くため多忙さは否めませんが、弁護士事務所ほど不規則なスケジュールになりにくいという声が多いのも事実です。
特に大手コンサルファームや事業再生コンサル専門会社では、チーム制やプロジェクト管理が整備されており、業務負荷を分散しやすい環境が整っている場合があります。その結果、弁護士時代よりも休日や休暇を計画的に取得しやすくなり、プライベートとの両立もしやすくなる傾向があります。
弁護士としてのノウハウや経験が役立つ
弁護士と一口に言っても、司法試験では法律基本7科目と選択科目1科目に分かれており、たとえば選択科目が倒産法や租税法、労働法などであれば、企業再生の場面でより直接的にスキルを活かすことができます。さらに、法律事務所ごと、あるいは弁護士ごとに企業法務や労働トラブル、知的財産など得意分野が異なるはずです。
しかし、事業再生コンサルタントであれば、倒産スキームやM&A、労務再編、税務調整など幅広いテーマに取り組む機会が多く、これまでの法的知見がダイレクトに役立ちます。これは他のコンサルにはない大きなアドバンテージです。
社会的意義のあるより幅広い視野が得られる
弁護士が扱う案件も、もちろん社会的に大きな意義があります。一方で、事業再生コンサルタントは、経営危機に瀕した企業を立て直すことで雇用を守り、地域経済や産業の発展を支えるという重要な役割を担います。
単なる法的トラブルの解決だけでなく、経営状態を根本から改善し、持続的な成長をサポートするという点において、社会的意義ややりがいがさらに広がるでしょう。弁護士としての目線に経営の視点が加わることで、より幅広いフィールドで活躍できるのです。
事業再生コンサルタントの魅力と活かせるスキル
弁護士から転職する先として、特におすすめなのが事業再生コンサルです。なぜなら、弁護士が持つ法務知識や紛争対応のスキルが、企業の再建や法務リスク回避においてダイレクトに活きてくるからです。ここからは、弁護士の資格あるいは経験と事業再生コンサルの組み合わせが企業再生において強力な理由を、より具体的に掘り下げます。
弁護士と事業再生コンサルとの違い
企業が事業再生について顧問弁護士や税理士に相談した際、「思ったようなアドバイスが得られなかった」という声は決して少なくありません。これは、顧問弁護士や税理士が必ずしも事業再生をメイン業務としていない場合が多いためです。
一方、弁護士は法的トラブルや訴訟対応に強みがありますが、事業再生コンサルタントは、経営改善・財務分析・組織再編など、企業の再建を目的とした総合的なサポートを行う専門家です。
弁護士 | 事業再生コンサルタント | |
---|---|---|
専門領域 | 法律(会社法、倒産法、労働法など) | 経営改善(財務分析、事業分析、再建計画策定など) |
主な業務 | 法的サポート(交渉や手続きの代理など) | 再建に向けたサポート(財務調査や経営計画の策定など) |
強み | 法的トラブルや訴訟対応に強い法律の専門家 | 財務状況の分析から再建計画の実行までワンストップで提供 |
このように業務の内容は異なりますが、弁護士の法的知識と事業再生コンサルタントの経営知識を融合すれば、企業が抱える課題に多角的にアプローチできるのが大きな強みです。
強みになる専門知識と法務経験
弁護士から転職して事業再生コンサルタントを目指す際、主に以下のような経験が活かせます。
- 契約書や法令のレビュー
- 法令遵守状況のチェック
- 係争案件の早期解決支援
- 訴訟リスクの洗い出しから解決まで
- 訴訟遂行に関する助言
- 法的アドバイスの提供
- 法律調査と分析
- 紛争を避けるための予防法務
- 新規の事業戦略の組み立て
- 紛争解決のための取り組み
業再生の局面では、財務リスクや経営リスクだけでなく、債権者との交渉、労働問題、知的財産管理などにおいて、さまざまな法律的な課題が浮上します。弁護士として培った問題解決能力と専門知識は、こうした場面で大いに役立つでしょう。
新たな人脈形成とネットワーク構築が可能
事業再生コンサルタントとして働くうえでは、クライアント企業の経営者や現場スタッフ、そして金融機関、投資家など、多岐にわたるステークホルダーとの連携が必要です。そのため、新しい人脈がどんどん広がり、弁護士時代に持っていたネットワークに加えて、新たなクライアントや金融機関関係者とのつながりも構築できます。
さらに、弁護士としての資格や専門性は、「法務にも強いコンサル」としてクライアントや金融機関から一目置かれる存在になりやすいのも大きなメリットです。より幅広いネットワークを築きながら、自分のキャリアをさらに広げることができます。
弁護士がコンサルへの転職を成功させる方法
弁護士から転職を目指す場合、具体的にどのような準備やアピールをすればいいのでしょうか。ここからは、事業再生コンサルとしてキャリアチェンジを成功させるためのポイントを解説します。
企業法務やリーガル対応でアピールする実績作り
弁護士として企業法務やリーガル対応の経験がある場合、それを具体的な実績としてまとめておきましょう。たとえば、以下のような事柄がアピール材料になります。
- 担当した契約締結案件の数や内容
- トラブルや紛争を未然に防いだ予防法務の事例
- 実際に係争に発展しそうなケースを解決した交渉力
- 法改正対応を主導して企業のコンプライアンスを強化した事例
これらを実績として示すことで、論理的思考力や問題解決能力を具体的にアピールできます。事業再生コンサルタントとしての転職においては、企業法務に精通したコンサルになれる点が、大きな差別化要素となるでしょう。
事業再生に強いコンサルティングファームを見つける
コンサルティングファームのホームページや求人サイトを見る、転職エージェントに相談するなどのリサーチを行い、事業再生に強いコンサルティングファームを見つけることが重要です。ファームによって得意分野や社風、案件の種類は大きく異なります。まずはインターネットや業界誌などで情報収集し、自分が理想とする働き方やキャリアビジョンに合致するファームを見極めましょう。
弁護士から転職という大きな決断を成功させるためにも、自分の強みを活かせる「事業再生コンサルティング」にフォーカスしたファーム選びをおすすめします。
【まとめ】弁護士経験の強みが活かせる事業再生コンサルタント
「弁護士から転職するなら、事業再生コンサルは相性が良さそうだけど本当にメリットがあるの?」と疑問を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、法務スキルや論理的思考力、問題解決能力などが求められる事業再生コンサルタントという職業は、弁護士にとって最適なキャリアチェンジ先の一つといえます。
事業再生コンサルでは、企業の財務・組織面を立て直しながら法的リスクにも適切に対応し、社会的にも大きな意義を果たすやりがいが得られます。さらに、年収アップやワーク・ライフ・バランスの改善、新たな人脈形成など、多面的なメリットが期待できます。
もし具体的な転職を考えられているなら、まずは事業再生に強いコンサルティングファームをリサーチしてみましょう。おすすめのコンサル5社が気になる方は、ぜひ以下のリンクから詳しくご覧ください。弁護士経験から培った法務知識やスキルは、必ず大きな武器になるはずです。
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