ファクタリング地獄から抜け出すには?赤字経営でファクタリングを繰り返す会社が見直すべきこと | 事業再生のリアル

ファクタリング地獄から抜け出すには?赤字経営でファクタリングを繰り返す会社が見直すべきこと

2026年08月26日

「今月も乗り切れば」と思いながら、気づけば毎月ファクタリングを利用している。そんな状態が続いていませんか。ファクタリングは決して悪い手段ではありませんが、赤字の穴埋めとして常態化しているなら要注意です。本記事では、ファクタリングを繰り返してしまう本当の原因と、そこから抜け出すための資金繰り・経営改善の考え方を解説します。

この記事のポイント

  • ファクタリングは本来、一時的な資金需要に対応するための手段ですが、赤字経営が続く会社では、売掛金の前倒し回収なしには支払いが回らない「延命のための利用」へと変質してしまうケースが少なくありません。
  • この背景には、赤字体質粗利率の低さ不採算案件固定費の重さといった複数の要因が絡み合っており、ファクタリングを繰り返すこと自体が原因ではなく、経営そのものの問題が結果として表れているにすぎません。
  • 現状は、資金繰りの見える化収益構造の見直しを同時に進める会社がある一方、金融機関への相談や事業再生の専門家への相談を先送りにし、資金が尽きる直前まで対応を後回しにしてしまう会社も少なくありません。
  • ファクタリング会社を乗り換えても資金不足の原因は埋まらないため、経営者は自社の収益構造と真摯に向き合い、手遅れになる前に金融機関や事業再生の専門家へ早めに相談することが重要です。

ファクタリングを使わないと会社が回らないなら要注意!?

ファクタリングを使わないと会社が回らないなら要注意!?ファクタリングは、資金調達の選択肢の一つとして、多くの企業が活用しています。しかし、「ファクタリングを利用しているかどうか」ではなく、「ファクタリングがなければ会社が回らない状態かどうか」が、本当に注意すべきポイントです。

ここでは、ファクタリングの仕組みそのものではなく、「今の使い方が危険信号かどうか」を一緒に確認していきます。

「一時的な資金調達」と「会社の延命」は別物

まず前提として、ファクタリングを利用すること自体が悪いわけではありません。たとえば、次のようなケースでは、ファクタリングが有効な資金調達手段になり得ます。

  • 大口案件を受注し、一時的に仕入れ資金が必要になった
  • 取引先の入金サイトが長く、資金繰りにタイムラグが生じている
  • 季節的な要因で、一時的に資金需要が膨らんでいる
  • 予定していた入金が、何らかの事情でずれ込んでしまった

こうした場合は、「本業は問題なく回っているが、一時的に資金のタイミングがずれている」だけであり、ファクタリングは有効な打ち手になります。

一方で、今回この記事で取り上げたいのは、こうしたケースとは性質が異なります。それは、「売掛金を早く現金化したい」のではなく、「手元に現金がないため、売掛金を前倒しで回収しなければ支払いができない」という状態の会社です。前者は資金繰りの「調整」ですが、後者は資金繰りの「延命」であり、この違いを見分けることが最初の一歩になります。

なお、ファクタリングの仕組みや利用方法そのものについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

ファクタリング地獄に陥っている会社の特徴

延命のための利用」に近づいているかどうかは、次のような項目に当てはまるかどうかで、ある程度判断できます。

  • 毎月のようにファクタリングを利用している
  • ファクタリングを使わないと、給与や仕入れ代金を支払えない
  • ファクタリングをしても、翌月にはまた資金が足りなくなる
  • 手数料を払うことで、利益がさらに圧迫されている
  • 今月さえ乗り切れば」という状態が、何か月も続いている
  • 借入の返済税金・社会保険料の支払いも苦しくなってきている

ここで重要なのは、いくつ当てはまるかという「数」ではありません。「ファクタリングが資金繰りの前提になってしまっているかどうか」という点です。

もし、ファクタリングを利用することが特別な対応ではなく、毎月の資金繰りに組み込まれた「当たり前の工程」になっているとしたら、それは資金調達の手段ではなく、会社の延命装置として機能してしまっている可能性があります。

なぜファクタリングを繰り返さなければならないのか

ファクタリングを繰り返し利用している会社に対して、「ファクタリングをやめましょう」とアドバイスするのは簡単です。しかし、それだけでは根本的な解決にはなりません。大切なのは、「なぜファクタリングをやめられない状態になっているのか」を理解することです。

資金不足の原因はファクタリングではなく「経営そのもの」にある

ファクタリングを繰り返す会社の多くは、ファクタリングそのものが資金不足の原因だと感じているかもしれません。しかし、実際にはファクタリングが原因ではなく、資金不足という問題の「結果」として使われているケースがほとんどです。

たとえば、赤字経営が続くと、当然ながら会社に利益が残りません。利益が残らなければ、仕入れ人件費家賃といった支払いに必要な資金が不足します。その不足を埋めるためにファクタリングを利用すると、当然そこには手数料が発生し、ただでさえ薄い利益がさらに圧迫されます。すると翌月もまた資金が足りなくなり、再びファクタリングに頼らざるを得なくなる。この悪循環こそが、「ファクタリング地獄」と呼ばれる状態の正体です。

つまり、ファクタリングをやめれば問題が解決するわけではなく、その手前にある資金不足の原因を解消しない限り、いくらファクタリング会社を変えても、同じ状態が繰り返されるだけなのです。

では、その資金不足を生んでいる原因とは何でしょうか。会社によって事情は異なりますが、代表的なものとして、赤字体質そのもの、粗利率の低さ重すぎる固定費採算の合わない案件を抱え続けていること、借入の返済負担税金社会保険料の支払い過剰な在庫、そして回収が遅れがちな売掛金などが挙げられます。ここで大切なのは、これらすべてを一つひとつ深掘りすることではなく、「資金が足りなくなる理由は、決して一つではない」ということを理解することです。むしろ、複数の要因が絡み合って資金繰りを圧迫しているケースがほとんどであり、その全体像を把握することが、次のステップである「立て直し」につながっていきます。

「売上を増やせば解決する」とは限らない

資金繰りが厳しくなると、多くの経営者は「もっと売上を増やせば解決するはずだ」と考えがちです。しかし、この発想には注意が必要です。売上は、必ずしも手元に残るお金と一致しないからです。

売上を増やそうとすれば、その分だけ仕入れや外注費、人件費、広告費といったコストも先に発生します。特に資金繰りが厳しい会社にとっては、売上を伸ばすための投資が先行することで、かえって手元資金がさらに減ってしまうという事態も起こり得ます。

また、利益率が低いままでは、いくら売上を積み上げても、手元に残る利益はわずかです。たとえば、利益率10%の仕事を1,000万円分増やしたとしても、残る利益は100万円にすぎません。資金繰りを圧迫している状態でこの規模の売上を追加でこなそうとすれば、先に出ていく資金の負担の方が大きくなってしまうことも十分に考えられます。

ファクタリング地獄から抜け出すために、まず資金繰りを立て直す

ファクタリング地獄から抜け出すために、まず資金繰りを立て直すここまで、ファクタリングを繰り返してしまう原因が、資金調達の方法そのものではなく、経営そのものにあることを見てきました。では、そこからどう抜け出せばよいのでしょうか。ここからは、具体的な立て直しの考え方について整理していきます。

ファクタリングをやめることではなく「頼らなくても回る状態」を目指す

真っ先にお伝えしておきたいのは、「今すぐファクタリングの利用をやめましょう」という単純な話ではないということです。もし明日ファクタリングの利用を止めてしまえば給与や仕入れ代金が支払えない、という状態の会社であれば、いきなり利用を停止することはかえって危険です。資金がショートし、事業そのものが立ち行かなくなってしまっては、立て直す以前の問題になってしまいます。

大切なのは、順序を間違えないことです。まずは目の前の資金ショートを防ぎ、当面の資金繰りを安定させること。そのうえで資金繰り全体を立て直し収益構造そのものを改善していく。そうして初めて、ファクタリングへの依存を少しずつ減らしていくことができます。つまり、脱却とは「利用を即座にやめること」ではなく、「段階を踏んで、頼らなくても回る状態に近づけていくこと」なのです。この順序を意識するだけでも、経営者としての焦りはかなり軽減されるはずです。

まずは数か月先までの資金繰りを見える化する

立て直しの第一歩は、現状を正確に把握することです。感覚や「なんとなく厳しい」という肌感覚だけで資金繰りを判断していると、いつ資金が尽きるのかが分からないまま、その場しのぎの対応を繰り返すことになってしまいます。

そこで必要になるのが、数か月先までの資金の出入りを見える化することです。具体的には、現預金の残高を起点に、売掛金の入金予定仕入れや外注費の支払い給与家賃税金社会保険料の支払い借入の返済、そしてファクタリングによる入金といった項目を時系列で並べていきます。こうすることで、「いつ、いくら資金が足りなくなるのか」が具体的な数字として見えてきます。

このように資金の動きを週単位、あるいは月単位で管理していく手法は、事業再生の現場でもよく用いられており、「13週間資金繰り表」といった呼び方をされることもあります。資金繰り表の作成メリットや記載すべき項目については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

まずは大まかにでもよいので、数か月先までの資金の流れを紙やエクセルに書き出してみることをおすすめします。見える化することで、「なんとなく怖い」という漠然とした不安が、「いつまでに、何をすべきか」という具体的な行動に変わっていきます。

資金繰りと同時に「利益が残る経営」へ変えていく

ただし、資金繰りを増やす(見える化して)当面の資金ショートを防げたとしても、それだけでは根本的な解決にはなりません。資金繰りの改善は、あくまで「今」を乗り切るための対応であり、同時進行で「利益が残る経営」へと変えていく必要があります。

具体的には、採算の合っていない案件がないかを見直すこと、価格設定が適正かどうかを見直すこと、原価や外注費に無駄がないかを確認すること、固定費を過剰に抱えていないかを点検すること、在庫が資金を圧迫していないかを確認すること、そして売掛金の回収条件や仕入れの支払条件が自社にとって不利になっていないかを見直すことなどが挙げられます。

ここで意識していただきたいのは、「お金が足りない」という表面的な事実だけを見るのではなく、「なぜお金が残らないのか」という、その背景にある構造に目を向けることです。資金繰り表で「いつ足りなくなるか」が分かったら、次はその根本原因である収益構造に手を入れていく。この両輪が揃って初めて、ファクタリングに頼らなくても回る会社へと近づいていきます。

ファクタリングから抜け出すために金融機関への相談も検討する

ファクタリングから抜け出すために金融機関への相談も検討する資金繰りを見える化し、収益構造の見直しに着手したとしても、それだけで状況がすぐに好転するとは限りません。特に、赤字の期間が長引いている会社にとっては、自力での立て直しだけでは限界を感じる場面も出てくるはずです。そうしたときに検討したいのが、金融機関への相談です。

「赤字だから銀行に相談できない」と決めつけない

ファクタリングを繰り返している経営者の中には、「もう赤字だから、銀行には相談できない」と考えている方も少なくありません。しかし、赤字であること自体が、銀行に相談できない理由にはなりません。

金融機関が見ているのは、単に「今、黒字か赤字か」という一点だけではなく、なぜ赤字になったのか、そして今後どのように改善していくつもりなのか、という点です。赤字の背景を経営者自身が正確に把握し、今後の見通しを示すことができれば、相談の余地は十分にあります。逆に、現状を整理しないまま「とにかく苦しいので助けてほしい」という相談の仕方をしてしまうと、金融機関としても判断材料が乏しく、話が前に進みにくくなってしまいます。

もちろん、相談すれば必ず追加の融資が受けられる、というわけではありません。ただ、相談すらしないまま状況を悪化させてしまうことに比べれば、早い段階で現状を伝え、対話の糸口を持っておくことには大きな意味があります

金融機関への相談は追加融資だけではない

金融機関への相談というと、「もっとお金を貸してください」というお願いをイメージする方が多いかもしれません。しかし、金融機関との相談は、追加融資だけが目的ではありません。

たとえば、現在の借入について返済条件そのものを見直してもらうことや、返済スケジュールを一時的に緩和してもらうリスケジュールといった対応も、相談の選択肢に含まれます。また、金融機関によっては、経営改善計画の策定を一緒に進めてくれたり、事業再生に向けた支援につなげてくれたりするケースもあります。

つまり、金融機関への相談とは、「ファクタリングでその場の資金を作る」という発想から、「金融機関と一緒に、今後の返済や事業のあり方について話し合う」という発想への転換でもあります。目先の資金繰りだけでなく、中長期的な事業の立て直しという視点で金融機関と向き合うことが、ファクタリング依存から抜け出すための重要な一歩になります。

自社だけでの改善が難しい場合は事業再生も選択肢になる

ここまでお伝えしてきた資金繰りの見える化や収益構造の見直し、金融機関への相談は、いずれも会社が主体的に取り組める対応です。しかし、状況によっては、こうした対応だけでは追いつかないケースもあります。

たとえば、赤字が長期にわたって続いている、資産よりも負債の方が大きい債務超過の状態にある、毎月のようにファクタリングを利用している、借入の返済も税金の支払いも厳しくなっている、そして何より、経営者自身がどこから手を付ければよいのか整理できなくなっている。こうした状態にまで至っている場合、それはもはや「資金調達の方法を探す」段階ではなく、「事業そのものの立て直し方を考える」段階に入っていると言えます。

このような状況では、自社だけで抱え込まず、事業再生の専門家に相談することも、有効な選択肢の一つです。第三者の視点を入れることで、経営者一人では見えていなかった課題や、整理しきれていなかった優先順位が明確になることも少なくありません。

ファクタリング地獄から抜け出すために、今できること

ここまで、ファクタリングを繰り返してしまう原因から、資金繰りの立て直し方、金融機関への相談まで見てきました。最後に、今日から着手できる具体的な行動について整理しておきます。

まずは「いくら足りないのか」を数字で把握する

ファクタリング地獄から抜け出すための最初の一歩は、特別な手続きや専門家への相談ではなく、まず自社の状況を数字で正確に把握することです。

これまでファクタリングをどれくらいの頻度で、いくら利用してきたのか。その手数料は、累計するとどれくらいの金額になっているのか。毎月、実際にはいくら資金が不足しているのか。借入の返済額や固定費、赤字の額はどの程度か。アンド、今後3か月から6か月の間に、資金繰りはどのように推移する見込みか。こうした数字を一つずつ洗い出していくことが、状況を正しく理解するための土台になります。

特に重要なのは、「毎月いくら足りないから、ファクタリングを使っているのか」という金額を、具体的に把握することです。この数字が分からないまま、なんとなく資金が心もとないからファクタリングを利用する、という状態を続けてしまうことこそが、最もリスクの高い状態だといえます。逆に言えば、不足額が具体的な数字として見えてくれば、それを埋めるためにどのような対策が必要なのかも、自然と見えてきます。

資金が尽きる前に、経営改善の方法を考える

数字を把握したら、次に考えるべきは、目の前の資金不足をどう乗り切るかだけでなく、なぜその資金不足が生まれているのかという原因そのものにどう向き合うかです。

資金が足りなくなるたびに、次のファクタリング会社を探す、という対応を繰り返しているだけでは、状況は変わりません。大切なのは、ファクタリングが必要になった根本の原因、つまり赤字体質や収益構造そのものに手を入れ、解消していくことです。それこそが、ファクタリング地獄から本当の意味で抜け出すための道筋になります。

とはいえ、自社だけでこうした原因を整理し、改善の道筋を立てるのは、決して簡単なことではありません。特に、資金繰りが逼迫している中で日々の業務にも追われている経営者にとっては、冷静に自社の状況を分析する時間や余裕を確保すること自体が難しい場合もあるでしょう。そうしたときは、無理に一人で抱え込まず、事業再生の専門家など第三者の力を借りることも、有効な選択肢の一つです。資金が完全に尽きてしまう前に、早い段階で相談しておくことが、選べる打ち手の幅を広げることにもつながります。

まとめ:ファクタリングをやめるのではなく、頼らなくても回る会社へ

最後に、この記事でお伝えしたいことを改めて整理します。

まず、ファクタリングという手段そのものが悪いわけではありません。一時的な資金需要に対して有効に機能する場面は、確かにあります。しかし、赤字の穴埋めや日々の支払いのために、ファクタリングの利用が当たり前になってしまっているとしたら、それは資金調達の工夫ではなく、経営そのものを見直すべきサインです。

そして、目指すべきゴールは「ファクタリングを今すぐやめること」ではありません。目の前の資金ショートを防ぎながら、資金繰りを立て直し、利益が残る経営へと変えていくことで、「ファクタリングに頼らなくても資金が回る状態」に近づけていくことこそが、本当の意味での脱却です。

もし、自社だけでは資金不足の原因が整理できない、何から手をつければよいのか分からない、という場合は、無理に一人で抱え込まず、事業再生の専門家など第三者に相談することも一つの方法です。資金が完全に尽きてしまう前に、早めに現状を整理し、行動に移すことが、選べる打ち手の幅を広げることにつながります。

ファクタリング地獄からの脱却に関するQ&A

Q赤字が続いていても、銀行に相談してよいのでしょうか?

A赤字であること自体が、金融機関に相談できない理由にはなりません。金融機関が重視するのは、なぜ赤字になったのか、そして今後どのように改善していくのかという点です。現状を数字で整理し、今後の見通しを説明できれば、相談の余地は十分にあります。なお、相談は追加融資だけが目的ではなく、返済条件の見直し経営改善計画の策定なども選択肢に含まれます。

Q売上を増やせば、資金繰りは改善しますか?

A売上を増やすことが、必ずしも資金繰りの改善につながるとは限りません。売上を伸ばそうとすれば、仕入れや外注費、人件費などのコストが先に発生することが多く、利益率が低いままでは、いくら売上が増えても手元に残る資金はわずかです。資金繰りを立て直すためには、売上の規模よりも、どれだけ利益を残せる構造になっているかを見直すことが重要です。

Q自社だけで改善するのが難しい場合、どうすればよいですか?

A赤字が長期化していたり、債務超過に陥っていたり、経営者自身が状況を整理しきれなくなっている場合は、自社だけで解決しようとせず、事業再生の専門家など第三者に相談することも選択肢の一つです。資金が完全に尽きてしまう前に早めに相談することで、選べる対応の幅が広がります。

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