売上拡大と組織変革による有料老人ホームの事業再生

多額の負債を抱える事業を再生させるのは一筋縄ではいきません。読者の方にも赤字続きの事業をなんとか再生させたいと奮闘されている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、倒産寸前の有料老人ホームを売上拡大と組織変革によりV字回復させ事業再生に導いた事例について担当者の方に伺いました。

コンサル会社 Tさんの紹介 経営コンサルタント。
再生計画の策定など表面的な支援に留まらず、経営者やその社員を巻き込み、二人三脚で事業再生を推進することでこれまで数多くの破綻寸前の事業を事業再生へと導いてきました。

倒産の危機に瀕していた有料老人ホームの事業再生

──どのような経緯で老人ホームの立て直しのすることになったのか教えてください

【コンサル会社 担当Tさん】私は潰れかけの老人ホーム運営のファンドとして潰れかけの老人ホームに勤務することになりました。当時の入居率は68%程度でこれは入居率は75%でやっと利益と賃料がとんとんになるので、大赤字の数字です。また毎月亡くなる方もいらっしゃって入居率は減る一方という状況でした。

──かなり絶望的な状況に見えますが具体的にどのようにして事業再生をしたのですか?
まず、コストカットなどからはじめたのでしょうか?

【コンサル会社 担当Tさん】赤字を減らすには売上を増やすかコストを減らすかをしなければいけませんが、当時の老人ホームは2000人いる会社で4割程度一年間で退職していっており、採用を留めれば即人手不足になる状況でした。なので、コストを減らすことはできず、売上を増やそうという方向に舵を切りました。

売上拡大が事業再生につながった

──なるほど、売上を上げることに注力したのですね。
売上をあげるのは簡単ではないと思うのですがどのように売上をあげていったのですか?

【コンサル会社 担当Tさん】売上をあげるという点においては2つのことに注力しました。
1つ目は広告、いわゆるマーケティングですね。2つ目は組織改革です。

前者については前職の経験があったのと、老人ホームの広告業界があまり成熟していなかったという観点から取り組みは上手くいきました。 「認知症」「介護保険」「特養」「介護職」などのキーワードをリスティング広告でおさえ、老人ホームの近くの地域ではチラシを配りました。そうすることで自ずとと問い合わせは増えていきました。

──組織改革はどのように行ったのですか?

【コンサル会社 担当Tさん】会社自体はどんな会社かというと、よりよく生きるように高齢者のために頑張るという会社で、この会社はこれの筋が通っていました。理念はすごくよく、私自身そこの個室で社員が撮っているビデオを見てボロボロ泣いちゃいました。
一生懸命お客さんのために行っているのにそのお客さんが退去してしまうのです。やはり身体も震えますし。そんなの入居率とかへったくれじゃなくて。大事なお客さんが亡くなっていく。それをみんなが耐えながら――、耐えるというか、よりよく生きてもらうために自分たちが一生懸命頑張るという人たちがいっぱいいて、私がなんとかしないと駄目だなと思ったのがすごい重要でした。

これが事業再生できた1つの要因だと思っています。

──頑張っているのにうまく行かなかったのは何が原因だったんですか?

【コンサル会社 担当Tさん】一生懸命であるがゆえに目標が多すぎて、1番初めの時、100人ぐらい入っていた本社ビルに行き、来た80人くらいの方と面談をしました。幹部2、30人がいて、個室で1時間ぐらい話を聞くとみんな頑張っていました。

しかし、これが事業再生の肝になっているので毎回聞いたのですが「目標」を聞いたのですがこれが明確に定まっておらず、たくさんの目標を持っていて、全部一生懸命やろうとしていて、逆に何もできていませんでした。

従業員の想いと組織改革

──なるほど、どのような所から改革を始めたんですか?

【コンサル会社 担当Tさん】まず、ここからが再生の難しさでも醍醐味でもあるのですが、数字がでないとすぐにつぶれてしまいます。なので、数字を意識するところから始めました。入居の目標達成したら、1か月の全体会議で表彰しますと。

──いきなりノルマが課されて抵抗などなかったのですか?

【コンサル会社 担当Tさん】ありました。広告によって問い合わせが増えます。問い合わせがきたら見学してもらってホーム長が営業をかけて成約します。
しかし、問題はホーム長が営業嫌いということで、全然協力的ではありませんでした。「たしかに社長の言っていることは分かりますが、僕は営業が嫌いでこの仕事選んだんです。給料も安いですし。」などとも言われました。

そこでホーム長向けに研修をやりました。これがすごい良かったです。みんなの有料老人ホームに入った理由を聞かせてくださいという。そしたら大体おじいさんとかおばあさんに育てられたとか、そういう人たちの面倒をみたいから有料老人ホームとか介護の仕事を選んだと言うわけです。「どんなホームつくりたいですか?」と言うと、結構言います。どんなホームつくりたいとかそれぞれがどんなサイトをつくりたいかみたいなの結構言います。私は心の中ではちょっとなんでそんなの思うのかなと(笑)。私はあんまり分からなかったので、そんなこと思えていなかったのですが。そういうことを聞いたら、要は「入居者を大事にしてあげたい」ということでした。

それを入居予定者、問い合わせがあった見学しに来た人に案内したら言うわけです。自分はどういう介護を目指していて、どういうホームにしたくて、なんでこの会社に来たかというのを言うと。そうしたらお客さんにどんな介護をしてほしいか聞くと。そのビジョンを重ねることですと。それが揃ったら入居決まりますからという研修をやったわけです。

──なるほどうまいですね。

【コンサル会社 担当Tさん】しかし、これで上手く収まりませんでした。従業員は仕事が増えても給与は増えないので受付などの現場で問い合わせが来たのに問い合わせの電話を「今はちょっと難しい!」といって切ってしまい、仕事を減らそうとする動きが起きてしまいました。これは私も想定できませんでした。

「問い合わせに対して決定率です!決定率上げていきましょう!」といっても5人来て1人決まったのに、1人来て1人決めたようにするということをやられ、いたちごっこの状態でした。拠点はバラバラで40個くらいあるので、そこまで手が回すことができず根本からの組織改革が迫られました。

組織改革による問題解決とサービス品質の向上

──どのように根本的な改革を行ったのですか?

【コンサル会社 担当Tさん】なんで立て直せたかというと、完全には立て直ししきれなかったのですが、売上に集中するということでした。これをまず徹底して目標を各支店長、各本部長、ホーム長。ホーム長から営業スタッフとおろし、営業スタッフは別部門をつくって上からかぶせました。このラインだけだと危ないので、営業部をつくってぶわっと上からかぶせ、その上にもうひとつブロックつくってと。

──監査役をつけたんですね

【コンサル会社 担当Tさん】そうです。これでようやく上手くいきました。こうしたことがあって、組織の変革は事業再生のすごい肝になります。

──参考になりました。その他に売上を上げるためにやったことはありますか?

【コンサル会社 担当Tさん】ありました。これは「商品サービスってなんだろう?」と考えた時に二つあるということに気が付いたのがきっかけでした。第一品質と第二品質というのですが、第一品質は、老人ホームに行った時に匂いとか掃除されているとかトイレが清潔とか基本的なことができていることです。もう1個が“ハートがあるか”。これが大事でした。

ハートが難しく、やたら辞める理由の1つがハートのところでした。第一品質は揃う、社員みんな綺麗にする。ところが、ハートのところで大きな2つの考え方があるのに気がつきました。それは何かというと、入居者が寂しくならないように来たら話しかけるというタイプの人と、入居者が過ごしやすいように掃除したり食事の配膳を丁寧に並べたりやたらバックの仕事を頑張る効率を重んじるタイプの人。

ただ、どちらにしても商品サービスってこういうものですよというのを定義づけて、体験入居とサービスを安定させるようなことをしまして。結果的には再生しましたよということが、この売上と原価を見たらすごく上がったという話です。上がった理由は次に話すのですけど、なんでこれができたかというと今みたいなマーケティングもですし、組織の変革をやったということです。

有料老人ホームを取り巻くシステム図

──具体的にどのような手順で再生していったのでしょうか

【コンサル会社 担当Tさん】まずこの図を見てください。これが先ほど(前記事)までに言っていたことです。入居率や施設収益が上がり、褒章インセンティブをやるけど従業員の負担が増えてしまうため従業員の負担が増えないように努める。
増えたらサービスのレベル顧客満足が低下してしまい、口コミ・評判が悪くなるということを示しています。逆に入居率が下がるという要因がありますが、従業員満足をおさえればプラスに回るということも示しています。

私たちはこのことに配属してすぐに気づくことができました。なので、入居率をあげるだけではなく、従業員のモチベーション管理までに気を配る必要があるという方針をすぐに立てることができたのです。

ミッションの規定・売上げアップに向けたバリューチェーン

──なるほど、それで方針はすぐ立ったのですね。その次には何を行ったのですか?

【コンサル会社 担当Tさん】まず、業務を明確にしました。先ほど目標を明確にするって言いましたが、プロモーションの赤字で問い合わせですとか。それでとにかく決定するために営業が重要ですと。
こんな全部は目標を落とせませんでしたが、このような図を提示して、リーチ(認知)、問合せ(関心)、見学(訪問)、成約、入居という、図の黄色のところを徹底的にやりますと。

これを磨かないと問い合わせが増えないですから。そしてこの問い合わせのフローについてまとめたのがこの図になります。

チラシとかリーフレットなどこれは前勤務先のノウハウです。でも一番下のリーチの認知のところはたくさんありますが、真ん中の『メリット訴求』や『「安心感」の提供』がありますよね。これがないといくらリーチをとっても、ネットをやってもいいことが書いてないと来ません。

大事なことは、それをみんなで議論したということです。私はあまり介入せずに、みんながフレームを渡されたフレームを活用し、みんなでつくっていったということです。

売上と経営のモニタリング

──なるほど、そこで先ほど伺った監査役を付けるというところに繋がるのですね。

【コンサル会社 担当Tさん】そうです。この図を見てください。このようにして、目標の数字を明確化していました。ここにのっているエンゲージメントが意外に大事になります。

手を繋がせて組織エンゲージメントを図りました。朝会で椅子を並べてホーム長と施設のメンバー全員手を繋いで輪をつくり今日あったことを話し合うなど。うまくいっていないホームを見分けるのは簡単でして、もう見ただけで分かります。腕組んで俯いちゃうのですよ。

──普段から喋り慣れていないんですね。

【コンサル会社 担当Tさん】そうです。テーブルがないところって攻撃されるのではないかとみんな不安になるため、コミュニケーション怖いのです。本人の動く本動性を発揮させています。本動性を発揮させる場合は一人一人の選手が力づけないと、本動性発揮と放任は紙一重ですから。自分らが立たないと駄目ですよね。札幌のサッカー選手と一緒で、例えばですけど。

そういうエンゲージメント、組織が繋がっているような会社をつくるのがすごい大事です。これを話し出したら、私は7億でこのサービス受けてきました。前勤務先の代表で研修を受けてきまして。
世界の戦争の仕方が変わってきたということを起点に、このエンゲージメントというやり方で会社の組織を伸ばすのですが、今までは「こうやれ、こうやれ」というふうにぶわっと動かすような軍隊が勝っていました。しかしゲリラ戦などのイスラムは迷路とかに迷い込んでしまうのです。そこでバババッてやられてしまうため、本部から指令を出してやる勝ち方では間に合わないため勝てないのです。

今は変化が激しすぎるため信頼関係がないと戦争に勝てないですよねというようになってきまして。そこから生み出された戦い、つまり組織のつくり方なのですが、この話は長いのでこの辺でやめておきます。とにかく、弱い会社にはエンゲージメントがないのです。事業再生になるような会社はこれがないのです。

現状と今後起こりうる課題

──ありがとうございます。どのようにして売上を上げていったかがわかりました。
もう十分再生していっているように思いますがこれでゴールではないのですか?

【コンサル会社 担当Tさん】はい。これで終わりではありません。ここから「ビジョンや理念を基軸とした基盤づくり」を行っていきます。この図をみてください。有料老人ホームの現状を俯瞰して、やはり「ビジョン、経営管理」。黄色いところで「業績拡大以外の取組みが遅れている」と。つまり、青いところの「営業力強化、プロモーション強化」というところばかりに力をいれてバックオフィスもゆるいし、なにせビジョンとか全然ないというような。

そして、右側に、今後起こりうることとして、会社に対するロイヤリティが低いことや誇りや目的の欠如に対応することが大事になりますよねというのは予見していまして。リーマンショックもありましたから特殊ですが、こうしたことをしっかりできていたらこうなっていません。やはりここが肝となります。なぜなら動機となる部分ですから。

【コンサル会社 担当Tさん】そこからこの図を見てください。ビジョンのすり合わせを行いました。ビジョンというのはこの図の通り。心からどうありたいか「BE」、真ん中。左は「WAY」、真ん中「BE」。右が「個人ビジョンと共有するビジョン」を文章化したということです。そういうことをして再生していくことが重要です。

私は前勤務先にいた時に数多くの中小企業をいっぱい担当しました。「社長社長!どんな人ほしいですか?」「売れる人ほしい!」そうなんですね。始終中途採用しているわけ。人のこと言えませんが、営業の時は、

「どんな人ほしいですか?」
「売れる人がほしい」
「給料とかは?」
「売れたら出す」

とおっしゃっていました。そして、

「社長。社員のことを褒めていますか?」
「え?なんで?」
「大事にしていますか?」
「してるしてる」
「どんなふうにしていますか?」
「会社の車貸してあげてるよ」
「ほかは?」
「マンション借り上げ」

要はフィーとの経済合理的ですね。こういう会社はビジョンがそういうものであるため金で離れ、そういう人が集まってきます。しかし、それは金の切れ目になり、失敗します。
中古機器販売買取会社にいった時もインセンティブ制度でした。粗利の何%は給与還元するというような。すると、自分の客がいなくならないように客を離さないわけです。

さらにインセンティブを獲得しようと手を広げようとするため若手が育たないのです。不評でありましたがこれをはずしました。そういうビジョンのところが大事です。

そしてこれを取り組んでいる頃にようやく正確な「有料老人ホームを取り巻くシステム図」が見えてきました。このような図になります。結局あの時なかった右上の黄色い「共有ビジョンへのコミットメント」。最初の頃はこういうのがありませんでした。こういうのがないと、ここ(従業員満足度)が上がらないと分かりだしまして。

従業員のモチベーションっていったけど、最初は報酬でこう回していましたけど、ここだというのに気がついて。人材の質とかを上げれば顧客満足が上がり、入居率が上がる。定着率も上がりますし。そして、収益が上がり評価・インセンティブが出せる。こっち側に金も回せますと。だからここに着手しました。

変革の方程式とAcceptanceの重要性

──リーダーシップについて質問したいと思います。今回の事業再生を通じて得たものを伺います。

【コンサル会社 担当Tさん】はい。これについては私の中で大切にしているものがあります。変革の方程式です。この画像をご覧ください。
事業の一番のゴールは業績の向上です。業績の向上がどうやっておこるかということについて述べたのがこの「変革の方程式」です。考えてみれば当たり前のことですが、案外見落としている人は多いです。

Quality(変革のアイデア、有料老人ホームでいうと、営業力向上プロジェクト)はみんなやるのですが、Acceptanceというのが、「それいいよね!」「すごいじゃん!それやろう!やりたいよ」というような共感することが重要で、このAcceptanceが嫌いな人はQualityは出すわけです。ここがやはり少し違うのですよね。このAcceptanceを事業再生とかそうなった会社の多く特にワンマンの場合は、QualityとAcceptanceが欠けていたんだと思います。この2つを大事にしてほしいなと思っています。

──なるほど、この「変革の方程式」にそって、QualityとAcceptanceを共に得ないと業績向上はないということですね。

【コンサル会社 担当Tさん】しかし、現代に必要とされるリーダーシップは少し従来のものとは違うので注意してください。そもそもリーダーシップというのはなにかわかりますか?

──人を惹きつける力や人を引っ張る力ですかね

【コンサル会社 担当Tさん】そうですね。それも一種の正解ですが、この図を見てください。私はこれが肝だと考えています。エネルギーが左の図のように行くのがマネジメント、人々をより早く、より確実に、より安定的にエネルギーを導きます。私はこれを結構トレーニングされていたので、マネージャーになって結構やれました。

しかし、リーダーになっていった時に、やはりここで苦労するのですよ。つまり、こういうことがあまりうまくなかったのです。当初は人々の方向性とかなかなか大変で、これができないと本格的な事業再生は難しいですから。

このようなことがリーダーシップといわれるものなのですが、それが従来のものから変化しています。この図を見てください。

これがリーダーシップのスタイルの変化。これが非常に面白いのです、「サーバント・リーダーシップ」。サーバントって給仕する人。ホテルにご飯給仕する人いますよね。「スチュワード・リーダーシップ」一緒に学んでいくようなリーダーだと思います。これ、「BE(生き様)」って使っていいと思うわけで、大体「DO(する)」もできていないですけどね。

──具体的に、DoとBeの違いは何ですか?

【コンサル会社 担当Tさん】良い質問ですね。図が用意してあります。「DO」と「BE」の違いってなんですかと。DOは皮膚の外側であると。笑っているけど皮膚の中側は笑っていないですよねと勉強会で伝えました。「あなたたちはどちらですか?僕はこっち(DO)です」って言って。ウケていたけど。<笑声>こういう話ですよね。

──なぜBEが求められるようになっているのですか?

【コンサル会社 担当Tさん】その理由としては昔は権限で人を動かせましたが、今は難しいということがあります。影響力を発揮してイノベーションを起こしていくには「BE」でないと駄目ですと。「BE」でない人は傍から見れば分かります。「いつも楽しんでいるか」、「新しい挑戦をしているか」、「新たな創造を生み出しているか」こういうことを大事にしていくような会社が増えたらいいですよね。

そして、どうやってやるのか?大切なことは実際の現場の回し方です。プロセス1(左図)が失敗回しで、プロセス2(右図)が理想的な回しです。

これは本当に悩みました。私は7億円で受けて、この研修を前勤務先にも導入しました。これが面白いのです。最初は研修に参加することに乗り気ではなかったのですが、同期の役員に勧められて参加しに行くと席とかがないのです。
「寝そべってもらってもいいですよ」と言うわけです。寝そべられないでしょ、そんなほかの会社の人も。<笑声>それでも、寝そべってください、好きにしてくださいって考え方で。結果的には「BE」がいかに組織運営に大事なのかということが理解できました。これが現代で必要とされているリーダーシップです。

事業再生に成功した企業のその後

事業再生の話から少しズレましたが、結局肝のところってウエットというか、ビジョナリーだったり生き様とか、そういうところがすごい大事だと思うのですが、事業再生ってさっき言ったようにやっぱり赤字であったり苦しい局面ですから。

私が行った事業再生の仕事を簡単に言うと救急病棟にいれた患者を手術して、ICUから出すような仕事ですよね。死にかかっているので救急病棟にいれて緊急手術して、ある程度元気にして出して次の人に売ったということです。

ただ、ほかの言い方で知らない人に詳しく「事業再生ってどんな仕事なの?」というと、私がやったことで1番は業績のV字回復。それから財務リストラ。3つ目はイグジット活動ですね。

一番危なかったのが、いっぱいあるんだけどREIT(リート)。不動産ファンド。40個の物件のうち7つが不動産リートでした。不動産ファンドが持っている7つの家賃が月間1億ぐらいだったのですがそれが払えないようになってしまったのです。それから、最初の1か月投資会社に呼ばれて、「家賃とめたいんですけど」って言われまして。
「家賃とめるっていくらとめるのですか?」「月間1億払っている、あのなんとかリートの7物件とめます」って。家賃とめたら向こうは怒鳴り困るので駄目ですよねと。「そしたらどうなるのですか?」って言ったら、「そのファンド潰れるでしょうね」。

いやいや、それはまずいでしょうと。私のはんこがないと止められなくて今日は押せないと伝えまして。それで夜中、会計士さんに「なんでこんな無茶苦茶なことやらないと駄目なの?借りたもの返さないのはおかしいでしょう」と。
俺、そこで初めて会計士さんに言われた。「男性1さん、銀行って好きですか?どういうものか知っています?」って。「晴れの日に傘貸して、雨の日に傘取り上げるんですよ。だから貸した銀行が悪いんです。そういう側面もあるんですよ」と。私は前勤務先時代にそんなの知らなかったので、再生の会社はそういうことに陥っているのだなと。

今回はスキームを上手に描いて、うまいこと15%のこっち側がイグジットできたから許してくれたましたけど、実際は銀行との交渉などはそんな簡単にはいかないと思います。面白おかしく言いましたが、家賃をとめるというところで最後に会計士さんが「大丈夫ですよ、バックアップオペレーター(保証人)がある」と言うわけです。

──保証をつけているのですね。

【コンサル会社 担当Tさん】保証をつけているわけです。「なら良いけど誰が保証しているのですか?」「介護事業会社Aです」。私は介護事業会社Aの役員と知り合いなわけです。「どうなるのですか?介護事業会社A」「介護事業会社Aが飛ぶでしょうね」。上場していて、在宅介護ですら何万人ってお客さんいるのです。連鎖倒産になるから引くことができないとことがありまして。

結局リザーブドというのがあって、保証金数億積んでいるのです。なのでそれを使って、途中で止めるというような、でもバックアップオペレーションというのは、保証人に債務を飛ばしていったんこっち逃げますよね。その後、早く戻さないといけないから今度は不動産ファンドの社長との交渉があります。そしたら「あなた達とリートごと一緒に倒れる」と言うわけです。最後刺し合うしかなくなり、睨み合って「これ取り下げてくれないとうち潰れる」と。「いやいや、下げないから一緒に倒れましょう」というようなすごい交渉なわけです。

でも最終的に半年ぐらいかけ7回ぐらい話し合い上場リートは合弁になりました。もともと何をやっていたって銀行の営業マンからスタートしているわけでして。私も前勤務先の飛び込みセールスから始まった話とか、なんでこの仕事を選んだのかということをお互い話し合いっているうちに、最後もう潰れるラインで30%下げてくれました。そして、その上場リートは合弁になったということです。

上場リート同士がひとつになりまして。多分このカードを切ったら単独ではもたないと思いました。というようなことがありまして、外に出て会計士さんと、俺らは25%で交渉していたんだけど30%向こうから出てきてありがとうございますと。

つまり、再生の側面というのはものすごくいろいろな痛みが出てこの案件は大きかったです。いつ倒れるか分からないので介護事業会社Bの社長に電話して、倒れるから倒れる寸前で――、倒れたら会社は潰れて入居者全部出して、倒れる寸前になったら緊急で40億で買ってくださいという保険約束を取り付けて。結果的には10か月でさっきの68%の入居率が89%まで。

──すごいですね。

【コンサル会社 担当Tさん】売却先企業に。面白かったし本当にいい経験になりました。楽しい仕事でした。その後、デューデリしてもらって売却先企業に売りました。その時うちは7社からラブコール受けていました。

──大人気だったんですね。

【コンサル会社 担当Tさん】そうです。3つ目はイグジット活動。普通はM&A仲介会社などに頼むのですが私は自分でやったのですよ。それで失敗したことが1個だけありまして、本当は70憶で売ったから5%の3億5,000もらえばよかったんだけど、それをもらい忘れた。

──仲介のフィーを。

【コンサル会社 担当Tさん】痛い!だから投資会社はいまだにすごい大事にしてくれるんですよね、笑い話ですけど。これ以上の額で売れたらうちのいくらかあげますというようなイグジットボーナスはあったのですが、それをほしくてやったんじゃないですから。本当に介護の事業に携わりたくて、みんな求人の会社いったり競合いったりするけど、私は最後やってみたいなと思ったのでこれを選んで、結果うまいこといったのです。

結局、再生フェーズがほぼ終わり売却先企業に売りますよね。これの非常によかった点が、ファンドから事業会社である売却先企業に移ったわけなので入居者は安心、むしろ福利厚生もあるし社員が安心ですよね。

──入居者も社員も安心できる結果は素晴らしいですね。

【コンサル会社 担当Tさん】私はイグジット、フィーもあったのですが、ものすごくいい経験ができました。

──そうですね。

【コンサル会社 担当Tさん】ということで終わり。ありがとうございます。

──本日はありがとうございました。

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