ナフサ不足は中小企業倒産に直結!?最新の公的融資や事業再生の手立てを解説 | 事業再生のリアル

ナフサ不足は中小企業倒産に直結!?最新の公的融資や事業再生の手立てを解説

2026年06月24日

「材料が高すぎて利益が残らない」「資材が届かず現場が止まっている」。

中東情勢を背景とした「ナフサ不足」は、建設業から医療、農業に至るまで、多くの産業に直撃し、中小企業を倒産の淵に追い込んでいます

本記事では、ナフサ不足の打撃を受ける中小企業に向けて、資金繰り対策と事業再生の手立てを解説します。ぜひ、お役立てください。

この記事のポイント

  • 中東情勢の悪化やプラント減産により、ナフサの異常な価格高騰と高すぎて買えない「需要破壊」が進行している。
  • 建築・塗装・医療・農業など、直接・間接を問わず約4.7万社の中小企業がコスト増・納期遅延の直撃を受けている。
  • ナフサ専用の補助金は存在しないため、セーフティネット貸付や各種補助金(省力化・IT導入)を活用し、利益体質を見直すことが必須
  • 手数料の高いファクタリングへの依存は黒字倒産を招き、赤字隠しの粉飾決算は会社を破滅させる絶対悪。
  • 危機を乗り越えるためには、孤独な闘いをやめ、手遅れになる前に事業再生コンサルタントへの相談に踏み出す決断が求められる。

どうして「ナフサ不足」が話題になっているのか?

原油高とナフサ不足のイメージナフサ(粗製ガソリン)とは、原油から得られる石油製品で、さまざまな化学製品の原料になる、現代においてなくてはならない重要な素材です。

「ナフサ不足」が叫ばれ、日本中の中小企業を揺るがす事態へと急速に発展しつつあります。どうしてこれほど話題になっているのでしょうか。背景にある複雑な要因政府の発表について整理していきます。

時系列で学ぶ!ナフサ不足の複合的な要因

ナフサ不足の発端は、中東における軍事的な緊張の高まりにあります。ナフサ不足にいたるまでの経緯を、次の表で見ていきましょう。

時期 出来事 影響
2023年10月〜 かねてから緊張状態にあったパレスチナ自治区において、ガザ紛争が勃発 パレスチナの武装勢力ハマスによるイスラエル奇襲を機にガザ紛争が勃発。イランがハマスやヒズボラといった親イラン武装勢力への支援を活発化させ、イスラエルとの対立がいっそう表面化する。
2024年4月 イスラエルによるイラン領事館への攻撃とイランによる本土への直接報復。 シリアのイラン領事館をイスラエルが空爆。革命防衛隊の将軍らが死亡する。報復としてイラン本土からイスラエルへ向けて300以上のミサイル・ドローンが初めて直接発射される。
2025年1月 ドナルド・トランプ氏が米大統領に再就任 イランに対して強硬な姿勢を打ち出し、イスラエルとの緊密な軍事連携を再び強化。イランの核開発や弾道ミサイル計画に対する警戒感が最高潮に達する。
2025年6月 米・イスラエルによる軍事攻撃によって十二日間戦争が勃発 イランの核開発への対応として、米・イスラエルがイランに先制攻撃。イランによる報復とさらなる米・イランによる報復の応酬が続く。
2026年1月〜2月上旬 仲介国主導の核交渉と米国の継続的な圧力 スイス・ジュネーブなどで、イランの核検証を巡る外交協議が断続的に行われる。米・イスラエル側は、イランのウラン濃縮度が引き上げられているとして、外交的解決の期限が迫っていると警告。
2026年2月末 米・イスラエルによるイランへの攻撃実施。紛争に突入。 イラン国内の約500拠点へ大規模空爆。最高指導者や多数の高官が死亡。これを機に、イラン側はホルムズ海峡を事実上封鎖。中東依存度7割のナフサ調達が急停止し、製油所が社会インフラを守るためにガソリン・軽油の精製を優先。ナフサの取り出し量自体も減少。
2026年4月 ナフサプラントの稼働率が低下 ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、米国産など代替ナフサへの切り替えが進む。が、性質の異なる軽質ナフサとの相性難で国内のエチレン稼働率が67.3%まで落ち込み、統計開始以来の最低水準を記録する。
2026年5月12日 エチレン生産体制約52%減を発表 恒久的なナフサ供給不足を懸念した国内化学メーカー大手3社が、エチレン生産の生産体制の方針転換を発表。生産能力は合計52%減となる。海峡情勢が収束したとしても、ナフサの国内供給を以前の水準に戻すことは困難となった。
2026年5月末〜6月 ナフサの購入そのものを諦める「需要破壊」が広がる ナフサの国際価格が一時約26%下落。
しかしナフサの高騰が沈静化したわけではなく、高すぎて誰も買えないというより深刻な状況へと転換した。
2026年6月17~20日 ホルムズ海峡の開放と再封鎖 トランプ米大統領が戦闘終結に向けた覚書に署名し、ホルムズ海峡が開放。各国のタンカーの通航が無償で実現する。しかしわずか3日後、イランが「米国・イスラエルが合意に違反した」として海峡の再封鎖が宣言される。
スイスでの米イラン協議やイスラエル・レバノンの戦闘も続き、情勢収束の見通しは立たず。

このような経緯によってナフサ供給量の懸念は高まり続け、各メディアが「ナフサ不足」を報じるようになったのです。

日本はナフサの輸入の約7割を中東に依存しているうえ、原油と違って国家備蓄制度すら存在せず、民間在庫もわずか20日分程度だといいます。

これに記録的な円安(1ドル158〜160円台での推移)や、長距離の代替輸送ルートによる物流費・戦争保険料の高騰が重なり、異常な水準にまで押し上げられた仕入れコストの影響を避けられない状況に追い込まれているのです。

仮に今後、再び政治的合意がなされ、海峡が開放されたとしても、タンカーの手配から輸送に2〜3ヶ月、国内プラントの再稼働に約1ヶ月、最終製品としての流通までさらに数ヶ月というタイムラグが発生し、供給は滞り続けると見られています。開放と再封鎖が繰り返されるたびにこの時計はリセットされますから、安定供給の見通しは一向に立たないような現状なのです。

ナフサは不足していない?政府発表と実態の乖離

ナフサ供給の危機をメディアが報じるなか、政府は「必要量は確保されている」と、冷静な対応を求めています。しかし世論調査では61%がその説明を「納得できない」と回答。政府の分析と国民の感覚が乖離している現状が、事態の深刻さを物語っています。

ナフサ不足の実態は、流通の「目詰まり」にあります。

この問題の要因は主に3つ。第一に、インフラ維持のためガソリン精製が優先されナフサ抽出が激減したもの。第二に、ガソリン価格高騰に対する補助金のみでナフサ高騰に対する支援がないこと。第三に、供給不安から各社が在庫の囲い込みに走り、市場から自由に取引できるナフサが消滅したことです。

メディアの取材に対し「ホルムズ海峡の影響がなかった前年実績並みの供給量を維持している」と説明している石油化学メーカーも見られますが、表にも記載したとおり、国内のエチレン稼働率は統計開始以来の最低水準まで落ち込んでいます。既に、ナフサ不足が形となって中小企業を襲っているのです。

ナフサ不足は中小企業に大打撃を与える

帝国データバンクの調査によれば、ナフサの調達リスクは二次流通まで含めると国内製造業の約3割に相当する約4万6,741社に及ぶといいます。そして、そのうち約9割が売上高1億円未満の中小企業です。大手メーカーに比べて価格交渉力が弱い中小企業は、原材料費の急騰を販売価格に転嫁しきれず、自社の利益を削って耐え忍ぶしかありません。これが、多くの中小企業を存続の危機へと追い込んでいる最大の理由です。

参照元:株式会社帝国データバンク「ナフサ不足、国内製造業の3割で「調達リスク」の可能性 試算」

ナフサ不足はどの業種にどのような影響を与えるのか

ナフサから作られるのはプラスチックや合成ゴム、合成繊維など多岐にわたります。そのため、影響は特定の業界にとどまりません。

ナフサ不足の影響を受ける化学素材と産業の図解

直接的な影響を受ける業種

ナフサ由来の製品が不足することによって直接的な影響を受ける主要な業種は次の通りです。

1.建築業

塩ビ管、防水シート、断熱材、接着剤、樹脂系建材など、建築現場で使われる建材の多くはナフサ由来の製品です。価格の高騰だけでなく、数週間から数ヶ月の納品待ちが発生しているため、工期の遅延、現場維持費の増加が資金繰りを直撃しています。

さらに、資材の入荷タイミングが読めないために正確な見積もりが立てられず、新規受注そのものを一時停止せざるを得ない工務店が増えています。受注を受けても資材が手に入らなければ工期を守ることができず、施主とのトラブルや違約金のリスクを抱えることになります。

サブコンへの支払いは先行する一方、施主からの工事代金は完成後にしか入らないため、工期が延びてはキャッシュフローのズレが拡大。黒字なのに資金が回らないという事態に陥る業者も出てきています

2.塗装業

塗料やシンナー(溶剤)は成分のほぼ100%がナフサ由来です。2026年2月以降、シンナーの価格が最大で80%暴騰するケースもあり、塗料の新規受注停止や納期未定が相次いでいます。

特に問題なのは、すでに契約済みの工事であっても塗料メーカーからの出荷制限によって着工できないケースが増えていることです。違約金や信用失墜のリスクを抱えながら、施主への説明と納期再調整に追われる苦しい現状に置かれているのです。

たとえ廉価な塗料への切り替えを試みても、結局品質保証ができず採用できなかったり、上昇分を見積もりに反映しようとしても施主側に「便乗値上げ」と受け取られて契約解除になってしまったりと、「価格交渉が困難だ」という声が相次いで噴出しています。

それでも泣く泣く値上げに踏み切る企業もいるようですが、そういう値上げの傾向を危惧した消費者が依頼を控えるという選択を取るようになり、依頼の総数自体が減少する負の連鎖が起き始めています。

この業界は今後さらに、倒産が相次ぐほどの大打撃を受けることとなりそうです。

3.自動車産業

自動車バンパーなどの樹脂部品、配線被覆材はもちろん、タイヤの合成ゴム、エンジンオイルの基油なども影響を受けています。とくにエンジンオイルやエアコンフィルターなどの消耗品が品薄になり、修理期間の長期化や車検の停滞といった影響が既に出ています。

部品メーカーでは、特定の樹脂部品が1点でも欠品すれば組み立てライン全体が止まってしまうため、完成車メーカーからの発注内示そのものが急減する動きも出始めています。

整備工場では、消耗品の入荷待ちで車検予約を一時的に停止したり、修理待ちの車両が敷地に溢れる「修理難民」状態に陥っているケースも珍しくありません。結果として、本来確保できていたはずの売上機会そのものが失われ、利益どころか稼働率の低下が経営を圧迫しています。

4.衣料品産業

私たちが日常的に身につける衣服の多くに、ナフサ由来の合成繊維(ポリエステルなど)が使用されています。

アパレルメーカーや繊維工場でも、原材料コストの増大によって利益が圧迫されています。

糸や生地の納期が読めなくなったことで、シーズンに合わせた商品投入ができず、店頭での販売機会そのものを逃すアパレル企業も増えています。

値上げに踏み切れば消費者の買い控えが進み、値上げを見送れば原価で利益が消えてしまうという、二重の苦境に立たされているのが実情です。

OEM生産を委託している中小の縫製工場では、発注元から「コスト増分は織り込めない」と通告されるケースも発生しているようです。下請け構造の中でしわ寄せを一身に受けやすい立場に置かれている中小企業が、一気に経営赤字へと向かっています。

5.その他

工業用ゴム製品製造業、プラスチック製品、家電製品の部品製造など、幅広い製造業に直接的なダメージが及んでいます。

これらの業種に共通するのは、原料の確保自体が不確実なために生産計画が立てられず、得意先からの大口注文を受けても納期を約束できないという問題です。結果として、せっかくの注文を断ったり、納期を大幅に延ばしてもらう交渉をせざるを得ず、得意先の信頼を損なうリスクと背中合わせの状態が続いているのです。

在庫を確保しようと資材を前倒しで買い込む動きも広がっていますが、これは一時的なコスト増加と資金繰りの圧迫を招くため、対応を誤れば自社の体力をさらに消耗させる悪循環に陥りかねません

間接的な影響を受ける業種

ナフサ製品そのものを加工・販売しているわけではない企業であっても、全く影響を受けない企業は稀で、多くの中小企業が間接的にナフサ不足の影響を受けています。

1.食品加工業

食品トレー、弁当容器、保存用ラップなどの包装資材が高騰しているため、食品加工業においても影響が確認されています。

実は、ナフサ不足による間接的値上げ要因の7割は「包装資材」に集中しています。包装資材メーカー側で出荷制限が始まっており、注文した量が届かず、生産ラインを計画通りに動かせないという事態も起きています。包装のために利益が圧迫されたり生産効率が低下したりするのは、かなりの痛手であるため、包装を白黒印刷に切り替えるなどの苦肉の策を強いられている企業もあるくらいです。

商品の値上げに踏み切れば消費者の購買量が落ち込み、値上げを見送れば原価倒れになるという板挟みの中、内容量を減らす「ステルス値上げ」や定番商品の販売休止に踏み切る食品メーカーも少なくありません。この業界は特に、生産コストを抑えながら「薄利多売」で競合に差をつける戦略をとっている企業が多いため、この苦しい状況下で一度失った販路や顧客の信頼を取り戻すのは容易ではなく、中長期の売上にも影を落とすこととなっています。

2.小売・EC業

物流・配送に欠かせないストレッチフィルム、OPPテープ、PPバンドなどの梱包資材全般も価格急騰と出荷統制が起きています。物流費の増加と相まって、小売り現場の負担は限界に近づいています。

梱包資材の必要量を確保できない物流センターでは、入出庫作業そのものを縮小せざるを得ない事態も発生しています。

ECサイトを展開する企業についても、仕入れ値の上昇による値上げ、欠品、配送遅延が増え、購入を諦める消費者の「買い控え」も進み、せっかくの需要を取り逃すという悪循環に陥っています。

資材費の高騰分を配送料に上乗せすればいっそう顧客離れを誘いかねず、かといって上乗せしなければ利益が削られるという難しい局面が続いています。

3.医療機関・クリニック

医療現場でも深刻な事態が起きています。ナフサ由来の注射器が通常の1.2〜1.5倍(1本1200〜1500円)に高騰しているのです。医療費は診療報酬で固定されているため患者への価格転嫁はできず、「注射を打つと赤字になる」という負の構造に陥っています。

さらに、医療材料の問屋側でも在庫の確保が難しくなっており、注射器だけでなく点滴バッグや透析回路といった代替の効かない医療材料についても、入荷数量そのものが制限されるケースが出始めています。

もし必要な治療を後回しにしたり、他院への紹介で対応せざるを得なかったりという状況にまで悪化すれば、国民の社会不安をいっそう募らせる結果につながるでしょう。経営面の負担に止まらず、地域医療の継続性そのものが揺らぎかねない事態になっています。

4.農業

野菜を出荷する際に不可欠な防曇袋や農業用マルチフィルムが極度の品薄・価格高騰に見舞われています。農作物は収穫できているのに、包装資材がないために出荷できないというもどかしい思いをしている農園も少なくありません。

資材問屋による販売数量の制限がこの業界でも拡大する可能性があり、そうなれば、これまでの取引実績にかかわらず希望する量を確保できないケースが相次いでいきます。出荷できない期間が長引けば、収穫した野菜は鮮度を保てず廃棄せざるを得ず、目に見える収入の減少に直結します。来期の作付け計画についても、資材コストと供給の見通しが立たないことを理由に規模を縮小する農家が増えており、地域の農業生産力そのものが先細りしていくリスクをはらんでいます。

5.その他

たとえば、クリーニング業では仕上げ後の衣類にかけるビニールカバーやハンガーの確保自体が難しくなり、店舗によっては枚数限定での提供や代替素材への切り替えを余儀なくされています。また印刷業では、インクや溶剤の入荷遅延によって受注済みの印刷物の納期を守れず、発注元から取引を見直されるリスクも出てきています。

このように、多くの業種で「必要な時に必要な量の資材が手に入らない」という供給の不確実性が事業計画を狂わせ、受注の引き受け方そのものを変えざるを得ない事態が巻き起こっています。軽微な影響まで含めれば、ナフサ不足の打撃を受けない業種はないと言っていいほどの事態です。

政治的な先行き不透明さ、代替輸入の「質の壁」、需要破壊の進行、そして国内生産能力そのものの縮小という構造的な要因が重なっている以上、これは時間が解決してくれる一時的な問題ではありませんから、早期に対策を講じることが不可欠です。

ナフサ不足による業績悪化を耐えしのぐ資金繰り対策

経営を圧迫するコスト高の波を前に、ただ手をこまねいているわけにはいきません。ここからは、ナフサ不足による打撃をしのぐための資金繰り対策について解説します。

中小企業向けの公的融資

融資が確定して手を交わすビジネスマンの様子中東情勢の悪化およびナフサ高騰による経営不振のための補填として、いくつかの公的融資や補助金を活用する手立てがあります。資金繰り対策のために、それらの制度について理解を深めておくのが得策です。

日本政策金融公庫によるセーフティネット貸付

中東情勢や原油価格高騰の影響で、一時的に業績が悪化している事業者を対象とした融資制度です。売上や利益率の減少といった一定の要件を満たすことで、通常よりも柔軟な限度額や金利の引き下げ措置を受けることが可能です。

具体的な要件としては、直近の決算期や直近数ヶ月間の売上高・利益率が前年同期と比較して一定以上低下していることを客観的に示す必要があり、対象となる基準は申込時点の制度要綱で確認することが求められます。審査をスムーズに進めるために、仕入れ価格の上昇を示す請求書や取引先からの価格改定通知など、コスト増加を示す資料を事前に準備しておきましょう

参照元:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m_t.html

中小企業向け公的補助金

残念ながら現時点において、ナフサの仕入れコストそのものを直接補填する「専用の補助金」は存在しません。しかし従来の中小企業向けの補助金を活用した資金繰り対策を行うことは可能です。代表的な制度と主な要件を以下の表にまとめましたので、確認してみましょう。

補助金名 主な要件 活用イメージ
中小企業省力化投資補助金 カタログ登録された省力化機器を導入し、労働生産性の向上率など数値目標を事業計画に盛り込む 自動包装機やAI検査装置の導入で人件費を削減
IT導入補助金 申請前にgBizIDプライムの取得、SECURITY ACTIONの宣言などの手続きが必要 在庫管理システム導入による業務効率化
新事業進出補助金 既存事業とは異なる新市場・新製品への進出計画が求められる ナフサ依存度の高い事業からの転換
小規模事業者持続化補助金 商工会・商工会議所管轄地域の小規模事業者(商業・サービス業5人以下、製造業等20人以下が目安)が、商工会等の支援を受けて経営計画書を作成すること 販路開拓やECサイト構築

いずれの制度も申請には事前準備や手続きが必要なため、早めに商工会議所や認定支援機関へ相談することをおすすめします。

各都道府県別の独自融資

各都道府県も、中東情勢や物価高騰に対応した独自の制度融資を設けています

例えば東京都の「中東情勢対応クイックつなぎ」や、各県の「経済変動対策融資」など、条件を満たせば信用保証料の補助や利子補給を受けられるケースがあります。利用条件は自治体ごとに異なりますが、共通して「中東情勢や原材料価格高騰の影響を受けていることを示す書面」や、セーフティネット保証4号・5号などの認定書の提出を求められることが多く、各自治体や商工会議所の窓口で対象要件を急いで確認してください

民間の融資・ローン

ここまで紹介した公的融資は審査に時間がかかる場合があります。緊急の資金手当てが必要な場合は、日頃から取引のあるメインバンクに相談し、民間金融機関が独自に設けている「特別ローン」の活用を検討するのも一つの手段です。

民間融資の審査では、直近の決算書や資金繰り表に加えて、ナフサ関連資材の価格上昇が経営に与えている影響を客観的に示す資料の提出を求められるのが一般的であり、日頃からの取引実績や情報開示の姿勢が審査の通りやすさを左右します。

公的融資や補助金と併せて、活用を検討してみましょう。

事業再生コンサルタントへの依頼

資金繰り対策について話し合う銀行員と経営者のイメージ国や自治体から一定の支援も期待できますが、「融資を引いて延命する」ことだけを考えていてはいけません。

利益構造が赤字のまま借入を増やせば、いずれ返済に首が回らなくなります。資金繰りが厳しくなったら、真っ先に事業再生コンサルタントに相談し、不採算事業からの撤退や、ビジネスモデルの抜本的な見直しを図ることをおすすめします。経営者保証ガイドラインを活用すれば、倒産を回避し、会社と個人の財産を守りながら再起を図る道も残されています。

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【注意】ファクタリング等の短期的な改善策は高リスク!

建設業などを中心に、材料費の先払いや工期遅延による資金ショートを埋めるため、「ファクタリング(売掛金の早期資金化)」を利用する企業が急増しています。

ファクタリングは短期的なキャッシュフロー改善には有効ですが、利益を生み出す仕組みではありません。利益率が低下している現状において、10%近い高額な手数料を払い続ければ、構造的に利益が吹き飛び、確実に「黒字倒産」へと向かいます。

絶対にやってはならないのは、資金繰りの苦しさから「次の入金で取り戻せる」と自分に言い訳をし、粉飾決算に手を染めることです。一度でも数字を偽れば、銀行からの信用は完全に失墜し、会社は終わります。

ナフサ不足による影響は恒久化しうる問題であるため、短期的な改善策ばかりに目を向けるのではなく、中長期を見越した抜本的な事業再生の戦略を考えていきましょう。

まとめ:ナフサ不足対策が中小企業の命運を握る

ナフサ不足は、日本の中小企業を根底から揺るがす長期的な危機です。資材高騰と価格転嫁の限界に苦しむ中、高額なファクタリングに依存したり、粉飾決算に手を染めたりすることは「黒字倒産」や会社の破滅を招く絶対悪です。

ナフサの直接的な補助金が存在しない今、公的融資や既存の補助金で当面の体力を維持しつつ、痛みを伴う抜本的な体質改善が不可欠です。手遅れになる前に、事業再生のプロへ早期に相談しましょう

ナフサ不足が中小企業に与える影響に関するQ&A

Qナフサ不足や価格高騰はいつまで続く見通しですか?

A専門家の見立てでは、ナフサ不足による値上げ局面は2026年内は高止まりし、本格的な落ち着きを見せるのは2026年末から2027年前半と予測されています。中東情勢が劇的に改善したとしても、現地からの輸送、プラントの再稼働、そして最終製品として流通するまでには、サプライチェーン全体で数ヶ月のタイムラグが必ず発生するためです。

Qナフサ不足による影響に対して、直接使える専用の補助金はありますか?

A現時点(2026年6月)において、中小企業向けに広く公募されている「ナフサの価格自体を下げる専用の補助金」はありません。対策として、記事本文でも述べたような「中小企業省力化投資補助金」や「IT導入補助金」などを活用し、自動化や省人化によって人件費や作業ロスを削減し、コスト高に耐えられる利益体質へと会社を作り変えることが最も現実的な手段となります。

Q融資を確実に受けるためのコツはありますか?

A「資材が高くて苦しいから貸してほしい」という理由だけでは、金融機関は首を縦に振りません。融資を確実に通すためには、「コスト削減の根拠」と「投資回収のシナリオ」を数値化することが不可欠です。月間作業時間が何時間減るのか、人件費が年間いくら削減できるのか、削減した時間をどう売上に転換するのか。補助金ありきの計画ではなく、客観的で論理的な事業計画書を作成することが、融資獲得のコツです。

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