フロンティア・マネジメントの内紛!?事業再生のプロが赤字転落した理由 | 事業再生のリアル

フロンティア・マネジメントの内紛!?事業再生のプロが赤字転落した理由

フロンティア・マネジメントの内紛!?事業再生のプロが赤字転落した理由

経営コンサルやM&A支援で実績を上げるフロンティア・マネジメント。しかし現在、同社は創業以来初の赤字から2期連続の営業損失という苦境に直面しています。

一流の専門家集団に何が起きたのでしょうか。本記事では、内部事情と赤字転落のリアルから中小企業が学ぶべき教訓を徹底解説します。

この記事のポイント

  • 順風満帆だったフロンティア・マネジメントは、共同創業者の退任や主要株主の交代を機に、2期連続の営業赤字という苦境に直面しました。
  • 急激な業績悪化の背景には、組織の動揺が招いたシニア層などキーパーソンの連鎖退職によるノウハウの喪失に加え、海外事業への傾倒によって国内コア事業がおろそかになったことや、先行投資による人件費の肥大化が挙げられます。
  • 現在は「国内事業への注力」という原点回帰と、徹底した固定費削減や市場区分変更の準備という大転換を断行しており、M&A事業の回復を伴う営業黒字転換など、確かな成果が出始めています
  • プロの専門家集団であっても、わずかな歯車の狂いで経営危機に陥るため、中小企業経営者は自社の赤字を過度に恥じず、事業再生のプロに相談すべきです

目次

フロンティア・マネジメントの会社概要・沿革・サービス内容

同社は産業再生機構出身の専門家らによって設立され、企業の複雑な経営課題を解決へと導くコンサルティングビジネスを展開。極めて順調な成長を遂げてきました

フロンティア・マネジメントは、経営コンサルタントをはじめ、弁護士、公認会計士、税理士、金融や産業界の出身者など、多様な知見を持つ人材を擁する組織体制を築き上げました。提供している主なソリューションは以下の通りです。

  • 経営コンサルティング・経営執行支援
  • M&Aアドバイザリー
  • DX推進事業
  • 事業再生(ハンズオン支援)
  • 投資事業

『事業再生のリアル』でも取り上げたことのある通り、事業再生の分野でも実績のある企業ではありますが、この分野を主戦場としている訳ではなく、幅広い分野を手掛ける総合コンサルティングファームとして機能している企業と言えます。

会社概要

社名 フロンティア・マネジメント株式会社
本社所在地 東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー41階
設立 2007年1月4日
資本金 3億9500万円
代表者 代表取締役会長兼社長 大西 正一郎
上場市場 東証プライム市場(証券コード:7038)
従業員数 417名(グループ連結)(2025年12月末現在)

出典:フロンティア・マネジメント株式会社「会社情報-会社概要」

沿革

2007年7月 産業再生機構出身の松岡真宏氏・大西正一郎氏らにより設立
2011年~2017年6月 連結子会社や地方・海外支店などを相次いで開設。
2018年9月 東京証券取引所マザーズ市場へ上場
2020年9月 東京証券取引所市場第一部へ市場変更
2022年4月 東京証券取引所プライム市場へ移行

出典:フロンティア・マネジメント「会社情報-沿革」

事業再生も手がける「フロンティア・マネジメント」にいったい何が起きているのか?

フロンティア・マネジメント業績悪化の構造図

創業以来初の赤字から2期連続の営業損失へ

2024年12月期の決算において、フロンティア・マネジメントは上場以来初となる6億3,213万円の営業損失を計上しました。さらに続く2025年12月期も3億3,506万円の営業損失となり、2期連続の赤字という厳しい状況に陥っています。

数々の企業の危機を救ってきた経営コンサルティングサービスを展開する組織であっても、内部に綻びが生じれば、巨額の赤字を計上する事態になってしまう。数々の事業再生事例を紹介してきた『事業再生のリアル』ですが、この事実には身につまされます。

共同創業者の退任と主要株主の交代

2024年の急激な業績悪化の背景には、経営体制の根幹を揺るがす大きな変化がありました。24年2月、創業以来、同社の成長を牽引してきた共同創業者の松岡真宏氏が代表取締役を退任することとなったのです。その後、松岡氏が保有していた同社の株は、同業であるM&Aキャピタルパートナーズが取得。一躍、主要株主へと躍り出る異例の展開を迎えています。

公式の退任理由は「一身上の都合」とされていますが、複数の社外取締役も同時期に退任しており、経営陣の間に何らかの軋轢があったことが推察できます。

過去のメディアインタビューなどでの発言から察するに、急激な組織拡大や市場環境の変化の中で、経営陣の間で成長戦略や理念の方向性に相違が生じていたのだと考えられます。

組織の動揺が招いたキーパーソンの連鎖退職

退職松岡氏の退任以降、シニア社員を含む経験豊富なキーパーソンの退職が相次ぎました。組織の動揺によって会社の方向性が不透明になり、屋台骨を支える実力ある社員から続々と離れていってしまうのです。

この現象は、フロンティア・マネジメントの業績悪化の最大の要因となりました。

優秀なコンサルタントの離脱は、単なる人員の減少に留まりません。彼らが現場で培ってきた高度な専門知識ノウハウ、さらには顧客との強固な信頼関係組織から失われることを意味します。進行中のプロジェクトの停滞や提供サービスの質的低下を招き、売上の減少に直結する結果となるのです。

人材流出は、「企業イメージの悪化」という副次的なダメージも引き起こしました。企業口コミサイト「OpenWork」などを見ると、赤字転落や社内体制の急激な変革、社内コミュニケーションなどに対する社員の不安の声が散見されます。

内部の動揺が外部にまで噴出し、ブランド価値は低迷、採用ハードルも高まってしまうという悪循環に足を踏み入れつつあったのです。

先行投資の重圧とM&Aアドバイザリー事業の低迷

人材流出と並行して業績を圧迫したのが、肥大化した固定費です。決算短信の公式見解でも、コンサルタントの積極採用による人件費の増加と、M&A案件の遅延に伴う売上未達が赤字の直接要因として挙げられています。

さらに大きな痛手となったのが、海外事業の拡大に注力するあまり、本来強みであった国内事業がおろそかになってしまった点です。海外展開へのリソース分散が足元のコア事業の収益性を低下させ、そこに主力のM&A事業の停滞が重なったことで、重い人件費だけが残る結果となりました。

【時系列で分かる】フロンティア・マネジメントが赤字経営に陥るまで

順風満帆な成長を遂げてきた組織が、トップの退任や株主の交代を経て、2期連続の赤字という苦境へ転がり落ちていく。その軌跡を時系列で簡潔に振り返ります。

年月 動向・出来事
【成長期】
2007年1月 松岡真宏氏・大西正一郎氏らにより設立。
2011年~2017年6月 連結子会社や地方・海外支店などを相次いで開設。順調に事業拡大を実現していく。
2018年9月〜2022年4月 東証マザーズに上場後、東証一部、東証プライム市場へと一気にステップアップ。
【転換・苦境期】
2024年2月 共同創業者の松岡氏の退任
※松岡氏の退任により大西氏が単独の代表取締役社長に。
2024年8月 同業のM&Aキャピタルパートナーズが株式を取得し、主要株主となる
2025年1月 退任した松岡氏が、同業他社(YCPホールディングス)の日本法人代表に就任すると発表。
2025年1月 大西氏が代表取締役会長(CEO)に就任。
2025年2月 2024年12月期決算にて、上場以来初となる営業赤字(6億3,213万円)を計上。
2025年3月 経営の立て直しを図るべく、西田明徳氏が新社長(代表取締役COO)に就任。
2025年3月 東証プライム市場の上場維持基準に抵触し、「改善計画」を提出。
2025年12月 就任からわずか9ヶ月で、西田氏が代表取締役の辞任を発表。
2026年2月 2025年12月期決算にて、2期連続の営業赤字(3億3,506万円)を計上。プライム維持を断念し、スタンダード市場への降格準備を発表。
2026年2月 社外取締役3名が「一身上の都合」により辞任
2026年3月 大西氏が代表取締役会長兼社長に就任
2026年5月 最新の2026年12月期第1四半期決算にて、経常赤字(3,300万円)を計上。
2026年12月期(通期予想) 厳しい状況が続く一方、通期では黒字転換を見込む業績予想を発表し、再建への姿勢を示す。

フロンティア・マネジメントの現在と未来

分かれ道赤字経営の泥沼から脱却すべく、同社は現在、どのような舵取りを行っているのでしょうか。最新の2026年12月期第1四半期の決算データをもとに、復活に向けた構造改革の現在地を紐解きます。

経営陣が決断した原点回帰の構造改革

業績不振を受け、同社の経営陣が打ち出した最大の戦略が「国内事業への注力」です。これまで海外展開や多角化に分散していた経営資源を見直し、自社が本来最も強みを持つ国内のコンサルティング機能や、包括業務変革型支援へとリソースを集中させています

過度な拡大路線を修正し、高収益が見込めるコア領域へと立ち返る方針を固めました。まさに原点回帰と呼ぶべき構造改革で、黒字転換を狙っています。

地道な固定費削減と組織再編

戦略の見直しと同時に進められているのが、肥大化した固定費の削減です。過剰な人員採用を見直して人件費の適正化を図るとともに、役員体制のスリム化を実行しました

さらには、プライム市場への固執を捨ててスタンダード市場への変更準備を進めるなど、痛みを伴う組織再編を断行しています。

日頃から事業再生の現場を見ている我々の視点からしても、自らの身を切るような地道なコストカットに踏み切った経営陣の決断は、再生に向けた極めて正しく、称賛されるべき一歩です。

方向転換による確かな成果と今後の展望

これらの構造改革は、確かな成果として数字に表れ始めています。2026年12月期第1四半期(1〜3月期)の決算において、売上高は前年同四半期比38.7%増の33億7,600万円と大幅な伸びを記録しました。

特に、赤字転落の大きな要因となっていたM&Aアドバイザリー事業において、案件のクロージングが順調に進み、素晴らしい売上回復を見せている点がこの成長を大きく牽引しています。

利益面でも、営業利益は800万円を計上して前年同期の赤字から黒字転換を果たしました。経常利益こそマイナス3,300万円となっているものの、前年同期のマイナス7,400万円からは着実に赤字幅を縮小させています

まだ完全なV字回復とは言えないものの、転換の方向性は間違っていないと証明された形です。今後の本格的な再建へ向け、確かな光が見えつつあると評価できるでしょう。

事業再生コンサルさえ陥る赤字転落事例から学ぶ教訓

赤字経営の立て直し手法を提案する事業再生コンサルサービスも提供している同社。そんなプロ集団でさえも突然の赤字転落が降りかかり得るのです。この事例から、中小企業の経営者が胸に刻むべき2つの絶対的な教訓を提示します。

中小企業経営者が胸に刻むべき2つの教訓

経営危機はどんな企業にも突然訪れる

専門家が集う優良な上場企業であっても、トップの交代や戦略のわずかな掛け違いによって、あっけなく赤字転落や市場降格の危機に直面します。経営の崩壊は、事前の警告なく突然やってくるのです。

だからこそ、自社の経営不振や赤字を過度に恥じたり、経営者であるあなた一人が全てを抱え込んで絶望したりする必要はありません。大切なのは、危機が訪れたという事実を冷静に受け入れ、前を向いて次の一手を打つことです。

素早い対応があってなお、厳しい道のりは続く

フロンティア・マネジメントは、上場以来初の巨額赤字や上場市場の変更という最悪の状況をごまかさず速やかに開示し、身を切るような構造改革へと踏み切りました

しかし、これほど素早い対応を断行してなお、一度狂った歯車を戻し、完全に復活を遂げるまでの道のりは決して平坦ではありません

ですから、もしもあなたの会社が経営危機に直面した際には、無理に社内で解決しようとせずに専門家への相談をおすすめします。キャッシュフローを冷静に直視し、正しい一歩を踏み出すためには、外部からの支援も必要になるはずです。

失敗しない事業再生コンサルタントの選び方

自社を本気で救うには、表面的な財務のリスケだけで終わらず、事業の「再成長」まで支援してくれる専門家を選ぶ必要があります。

事業と財務の両面から強力なサポートを提供する代表的なファームとして、みそうパートナーズ、AGSコンサルティング、ロングブラックパートナーズなどが挙げられます。

自社の状況に合わせて複数社を比較検討することが成功の第一歩です。

フロンティア・マネジメントの内情に関するQ&A

Q「経営陣の内紛があった」というのは本当ですか?

A公式の適時開示において、松岡氏の退任理由は「一身上の都合」とされています。しかし、同時期に複数の社外取締役が退任している事実などを踏まえると、急激な組織拡大の過程で、成長戦略の方向性を巡る経営層の意見の相違が生じていたと推察されます。

Qネット上で「やばい」「パワハラ」といった口コミを見かけますが、実際はどうなのでしょうか?

A業績悪化や経営体制の大幅な変更に伴い、現場の社員に大きな負荷と不安がかかっていたことは事実です。

企業口コミサイト等で見られる厳しい声は、そうした組織の混乱期における社内の強い動揺が反映されたものと言えるでしょう。

Q優秀なコンサルタントの大量離職があったと聞きました。支援の質は落ちていませんか?

Aその不安はもっともな懸念です。同社は優秀な専門家を抱える総合ファームですが、組織再編の途上においては支援体制にばらつきが生じるリスクも否定できません

他の実績あるファームも併せて比較検討することを強く推奨します。

まとめ:フロンティア・マネジメントの事例から学び、事業再生への意識を高めましょう。

フロンティア・マネジメントの事例は、どれほどの優良企業であっても組織の動揺や戦略のブレによって瞬時に危機へ陥るリスクを示しています。しかし、悪い数字から逃げずに国内事業への回帰やコスト削減を断行した同社の姿勢は、経営を立て直すための重要な模範とも言えるでしょう。

現状を冷徹に把握し、実績のある専門家を比較検討しながら、早期に次の一手を打つことこそが、会社を救う確実な道のりとなります。

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