中小企業向け新「私的整理のガイドライン」を政府が検討

コロナで増えた中小企業の倒産

政府が3度目の緊急事態宣言を発出していた、2021年6月14日16時時点に発表した信用調査会社「東京商工リサーチ」による調査資料によりますと、新型コロナウイルス感染拡大に関連した負債1,000万円以上の経営破たんが4件判明。全国累計では1,550件となりました。

倒産累計1,550件のうち、負債額が判明している1,523件の負債額別に見ると、負債額1千万円以上5千万円未満が最多の551件に上っているほか、負債額5千万円以上1億円未満が266件となっており、 負債額1億円未満が817件と全体の半数以上(53.6%)を占めています。

倒産集計の対象外となる負債額1,000万円未満の小規模倒産件数79件と併せると55%にもなっており、新型コロナウイルス感染拡大の影響による倒産は中小企業中心に発生しているといえます。

倒産の内訳を見てみると、破産が1286件でほとんどとなっており、民事再生法が79件、取引停止処分が71件、特別清算が11件、内整理が7件、会社更生法が1件となっています。

新型コロナウイルス感染拡大に関連した倒産件数の約9割は企業自体が消滅する破産を選択しており、企業が存続していく再建型の事業再生方法を選択した割合の合計は1割未満に止まっています。

このような現状を打開するべく、政府では「私的整理のガイドライン」の見直しを始めています

私的整理のガイドラインとは?

企業の事業を再生する際、破産や会社更生法、民事再生法などといった、法的整理に基づかず、企業と債務者の合意によって再建する方法のことは私的整理と呼んでいます。

そして、再建関係者の共通認識を醸成するために、私的整理に関する基本的な考え方を整理して、私的整理の対象となる企業や進め方、債権計画案の内容などについて、政府により策定されたのが「私的整理に関するガイドライン」です。

法的整理との違い

破産や会社更生法、民事再生法などは裁判所で手続きが行われるため法的整理と呼ばれています。

このように裁判所を通さず、融資を受けている金融機関などと直接交渉し、月々の返済額を減額して長期間にわたる分割払いの期間をリスケジュールしてもらったり債権カットをお願いしたりするほか、事業の一部やある程度の資産をスポンサー企業に売却。その売却代金を債権者に分配することで私的整理は進められます

以下に、法的整理と私的整理、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

メリット デメリット
法的整理
  • 裁判所が関与して手続を進めていくため、透明性や公平性の観点では疑念を持たれない
  • 全債権者の賛成がなくとも、裁判所が認めることで再建計画の実施ができる
  • 裁判所に申し立てる際、多額の予納金や弁護士費用などが必要になる
  • 全債権者が対象となってしまうため、多くの場合、会社の信用度が悪化してしまう
私的整理
  • 法的整理の場合よりも資産を多く残していける余地がある
  • 金融機関など、特定の債権者との間だけで非公開で協議するため、取引先や一般消費者に知られることなく事業再生を進められる
  • 協議対象となる債権者全員の同意を得る必要があるが、負債カットを伴う場合、債権者の同意はなかなか得られない

経済対策により導入

「私的整理に関するガイドライン」は、不良債権処理を加速させるために2001年4月に政府が発表した緊急経済対策を受けて採択されました。これは 主に大企業の事業再生に向けたガイドラインだといえます。

そして10年後である2011年には、3月11日に発生した東日本大震災からの復興を目的に、多重債務問題への対応として、2011年7月15日に「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」が策定されています。

このように、大企業向けおよび個人向けの「私的整理に関するガイドライン」は存在しますが、中小企業に向けた「私的整理に関するガイドライン」はまだ策定されていません。

中小企業向けガイドライン作成が急務

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、倒産件数が激増している現在、中小企業向けの「私的整理に関するガイドライン」の策定が求められています。2021年6月1日付けの日経新聞によると、 政府では中小企業の私的整理に向けた新指針の策定を検討しているとアナウンスされています。

現時点で存在する「私的整理に関するガイドライン」は、債権者の全員同意が原則であり、私的整理が成立するための利害調整のハードルが高く中小企業には導入しにくいものでした。

コロナ禍が続き、中小企業の財務体質が悪化していることを受けて、中小企業でも使いやすい新たな指針をつくることを政府が検討しているわけです。

DX化など、ビジネス環境の変化に対応するためには、中小企業の事業転換に向けた前向きな投資が必要です。政府はアフターコロナを見据え、中小企業の事業再生を後押ししていくことが急務だといえます。

まとめ

中小企業に向けた「私的整理のガイドライン」の策定はまだ政府の検討段階です。

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