老舗レナウンも!コロナに喘ぐアパレル企業の民事再生【事例】

しまむらと取引「ガゼール」が民事再生

新型コロナの感染拡大は、多くの業界・業種に暗い影を落としました。
他方、感染拡大をおそれ、外出を控えるようになった消費者のテレワーク需要・巣ごもり需要といった新たなニーズも生まれています。

例えばファストファッションの雄・「ユニクロ」「ジーユー」を有する「ファーストリテイリング」も、巣ごもり需要が追い風となり、大幅な増収増益を記録しています。
「ファーストリテイリング」を追う形の「株式会社しまむら」(以下「しまむら」)も、好調。
2021年3~5月期の営業利益、売上高ともに、第1四半期としては過去最高益を上げているのです。

一方同じアパレル業界でも、コロナ禍で業績が悪化の一途をたどっている企業も少なくありません
今回はコロナによる影響で経営難に陥り、民事再生を図ることになった企業の事例を紹介します。

コロナ禍のアパレル業界では、企業経営の明暗がくっきり分かれてしまいました
『明』にあたる「しまむら」と取引があった「株式会社ガゼール」(「ガゼール」)も民事再生を行った企業の1つです。

低価格メンズカジュアルウェアがメイン

「ガゼール」はメンズカジュアルウェア・服飾雑貨を取り扱うアパレル会社で、岐阜県(羽島郡)にあります。岐阜県(主に岐阜市周辺エリア)は戦後、日本有数のアパレル産地として発展を遂げました。

繊維工業もさかんな地域で、「ガゼール」は1948年に創業。1951年に法人化した後、1976年には東京にオフィスを構えるほどになりました。

90年代には90億円の売上を誇り、低価格のメンズウェアを企画・提案し、全国のメンズ専門店や量販店へ卸していました。

低価格競争激化、販売低迷をコロナが追い打ち

近年は不景気やリーズナブルな海外製品が浸透したこともあり、同業他社との低価格競争も激化。
販売低迷が長引く中、顧客である大手量販店の売上も振るわなくなってきていました。

2000年代初頭には64億円近くの売上があったものの、2020年2月期には約27億1679万円に。
事業縮小傾向にあったところをコロナ禍が直撃し、資金繰りのさらなる悪化に歯止めがかからなくなったのです。
2021年6月29日に民事再生法の適用を申請することになりました。負債総額は約19億3000万円です。

取引先企業「コイケ」も民事再生を申請

実は「ガゼール」が民事再生の申請を行う少し前の2021年5月、同様に申請を行っていた企業があります。
「ガゼール」の取引先でもあった愛知県のアパレル会社「株式会社コイケ」(「コイケ」)です

負債総額は68億4400万円となっており、「ガゼール」より大きな倒産事例となっています。「ガゼール」の倒産にも、少なからず影響を与えたのではともいわれています。

2019年には売上高125億円

名古屋で1975年に創業した「コイケ」。
資本金2,000万円、従業員34名を抱える40年以上の歴史を持つアパレル製品の卸売業者です。

得意先のアパレル専門店や大手アパレルメーカー、繊維専門商社・繊維専門問屋からデザイン取得、それをもとに提携先の海外工場に製造委託をするビジネスモデルを展開。
大手カジュアル量販店をメインに、セレクトショップまで幅広く卸販売を手がけ、2019年7月期には125億円2000万円の売上高を上げていました。

OEM生産から在庫を持たずに商品を販売するドロップシップ・中国国内販売の代行納品まで多岐にわたる業務を展開。
最近では若者にも人気の「GERRY」「FRUIT OF THE LOOM」といったブランドも手がけ、関東地区でも好調な事業展開を行ってきていたのです。

 

コロナで資金繰りが悪化

「コイケ」は、紳士・婦人のニット・カットソーを中心にジャケットやシャツまで手広く衣料品を扱い、営業基盤を固めてきました。

業績も好調でしたが、アパレル業界の低価格路線は続き、取引先も疲弊していくこととなります。加えてコロナ禍で業界はピンチにさらされ、外出減などによるニーズが低下。
「コイケ」もその影響は避けられず、販売が落ち込み、業績後退につながっていきます。2020年7月期には売上高が116億円と大幅にダウンしました。

さらに取引先の支払いのが滞るなどして資金繰りが逼迫し、ついには債務弁済が難しくなります。
自力再建を断念し、法的手続きを経て、事業再建の道を目指すことになります。5月14日、民事再生法の適用を申請。
同日、アパレル物流・検品を行うジーエフホールディングス株式会社とスポンサー契約を締結しています。6月中旬~、事業譲渡の予定が伝えられているところです。

老舗「レナウン」は民事再生を断念!経営破綻へ

厳しい状況のおかれていたアパレル業界において、コロナ禍はとどめの一撃を与えることになりました。
それは「ガゼール」や「コイケ」のような中小企業だけでなく、大手企業の「株式会社レナウン」(「レナウン」)も例外ではありません。

1902年、明治時代に創業した老舗中の老舗であるアパレル企業「レナウン」。
「アクアスキュータム」「ダーバン」「アーノルドパーマータイムレス」「シンプルライフ」といった数多くの看板ブランドを持つ東証1部上場企業でした。

その「レナウン」の子会社が東京地裁民事再生法の適用を申請したのは2020年5月15日のことです。
民事再生を申請した後、「レナウン」の事業再建にむけてスポンサー探しが行われます。
しかし、条件が合致する相手は現れませんでした。
老舗企業である「レナウン」は、民事再生を断念し、経営破綻を迎えることとなりました。

世界トップクラスのアパレル企業から転落

明治の頃、大阪の衣料品会社として誕生した「佐々木商会」が「レナウン」のスタートでした。
第2次世界大戦を経て、最初に脚光を浴びたのが1960年代です。「ワンサカ娘」「イエイエガールズ」のプロモーションで女性から人気を博し、CMソングで知られるようになりました。

また俳優のアラン・ドロンを起用した「アーノルドパーマー」のCMも話題に。
高度成長期からバブルまで驚異的な成長を遂げる一大アパレル企業となったのです。1990年12月期の売上高約2317億6500万円を誇り、まさに絶頂期を迎えていました。

ところがバブル崩壊後、「レナウン」のブランド力に陰りが見られるようになります。
取引先の百貨店の低迷や同業他社、特に「ユニクロ」「しまむら」などの製造小売り店との競争にも勝つことができませんでした。

2004年1月期の売上高は約591億5500万円まで落ち込んでいきます。経営再建の危機に至り、グループ会社のダーバンと経営統合、2006年3月これにレナウンとダーバンを吸収し、新生「レナウン」として再出発します。

 

再建策を出せず破産へ

新生「レナウン」となった後も、業績は悪化をたどり、中国の繊維商社「山東如意科技集団有限公司」(「山東社」)の傘下に。
しかし、「山東社」の子会社への売掛金が2019年12月期に回収できず、資金繰りは悪化し、さらにコロナ禍がダメージを与えます。

「山東社」との関係もどんどん悪くなり売掛金(67億円)は回収できず、さらにコロナで百貨店というメイン販路を失ったのです。
2020年5月に子会社から民事再生法の適用が申請された後、看板ブランドの「アクアスキュータム」「ダーバン」は小泉グループに売却されました。

しかし、その他のブランドの譲渡先が見つからず、再建策を打ち出せませんでした。
2020年11月、名門ブランドは破産手続きに入ることが決定しました。

コロナ不況を乗り切るには

コロナ禍の影響以前から、長らくアパレル不況がさけばれてきました。
業界は旧態依然とした古い体質の企業が多く、特に百貨店をメインにするメーカーに不振が目立ちます。
「レナウン」は自社の歴史とブランド力を過信し、EC(電子商取引)など新しいビジネスモデルに乗り遅れた感があります。

一方で時代を読み、ユーザーのニーズをつかむ「しまむら」や「ファーストリテイリング」のように、コロナ禍でも活路を見いだし、好調をキープするアパレル企業があるのも事実です。つまり不振のアパレル業界においても、多角的に状況を判断できれば、十分に再生は可能だといえるでしょう。

コロナの不況で事業不振に陥っているのであれば、多角的に状況判断ができるプロ視点のアドバイスが必要になります
まずは事業再生を多く手がけている専門家への相談をおすすめします。

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